フランス中サルコ一色であります。
つまり、TV・ラジオ・新聞雑誌・市民の会話・広告、、、。結局サルコジは売れるんです。選挙関連の本もドサドサ出版され、出版危機もなんのその。。。
たった一つの例外は、ル・モンド女性記者ふたりが書いたラ・ファム・ファタル。オランド・ロワイヤルカップルの不和が、ロワイヤルを大統領選出馬に向かわせた真の理由だったというのが売りの暴露本でありまして、オランドをはじめ社会党幹部の、もちろんロワイヤルもですが、悪口雑言をこまめに集めた本であるようで、こりゃ売れるでしょう。社会党内部抗争もこれでまた無残なことになりそうである。まあ、この本の目的はそれなんでしょうね。(出版社はアルバン・ミシェッル。フランスの新聞界と同様、以前の手作り出版社もしだいに大手企業グループに組み込まれつつあるわけです。)
結果は手段を正当化するわけでして、3日間で取りやめたあの豪勢なサルコ・ツアーも、フランス人の過半数が(60%ぐらいだったか)、あれはやりすぎでもなんでもない、と答えてチョン、手締め。なにも、アンケート調査する必要ないのに。ひっきりなしのアンケートのおかげで、フランス国民もやっと自分で考えなくてすむ世の中になったようです。
そもそも、サルコジ選挙事務所はプロのマーケティング会社が仕切っていて、パネル市民を集めては新しいキャンペーンをテスト、結果がよければ採用するという、たとえばヨーグルト新製品市場開発なんかと同じ方法を使っていたそうです。これもサルコジ事務所ですが、ネット担当要員はもちろんプロ。それだけで会社が作れそうな人数で、なんと英語・中国語・アラブ語ヴァージョンのヴィデオ番組まであったそうだ。 UMPの若い党員が、ゴーグルやYouTube、デイリーモーション、新聞や社会党系、・アンチ・サルコブログなどのBBSでセゴレンヌ・アタックに動員されていたのは知ってましたが、ここまでやってるとは知らなかった。多分邦人スタッフもいたんだろうなあ、と能天気猫屋は思う。
党員の動因はセゴレンヌ・サイドもやってたでしょうが、、かかってる金が違う。だいたいウェブ責任者は息子のトマ君だったように思います。(それを考えれば、47パーセントという選挙結果は悪くないでしょう。)
結局のところ、サルコジ一世は単に他国でもはやりの、政治の商品化をやったにすぎない。大体サルコジ選挙参謀は企業人です。たとえばミッテランは当時の広告業人をアドバイザーとして使ったけれど、選挙参謀に政治が本職じゃない人物を持ってきたってのは、フランスじゃあは初めてだろう。メディアを牛耳る大株主のほとんどが友人で、ご当人はUPM党首、内務大臣、セシリア・サルコジの戸籍上の夫という肩書きをフルに使って一日3回TVにでれば、「ニコラ・サルコジ」という商品を売るのは、赤子の手首をひねくるぐらい簡単なんだ。
明日サルコジは大統領に正式任命されるのわけですが、今話題になってるのは、バイルーの党だったUDF所属の政治家、および社会党の何人かを内閣の要職に任命するらしい、という話です。なんだかハリウッド映画の売り込みを思わせますな。封切り前は、ひたすら話題になるけど、封切られてそれなりの客を呼べたらもういいってゆー、あれです。映画の内容なんてどうでもいい。話題になりさえすればいいんだよね。
政治派閥を超えた「開かれた内閣」とかサルコは宣伝してますが、要するにバイルーと社会党が6月の総選挙で票を集め、議会でアンチ・サルコ同盟を張るのを牽制するためだろう、というのがネットすずめ達の意見ですね。これはきわめてサルコジ流だ。たぶんそうでしょう。議会で圧倒的多数を確保してから、UDF、社会党系大臣にはお引取り願う。そうじゃなきゃ、これまでサルコに(お腰の団子目当てで)くっついてきたコペとかドベジオンとかが反乱おこしかねませんでしょ。
というわけで、ここフランスはどこを向いてもサルコジだらけ。まあ選挙が済むまでは、サルコジ羊のごとくにおとなしいだろう(街頭での警察のアンチ・サルコ攻撃は別)。しばしの静寂の5月(といっても異常天候でかなり変ですが)を、TVもラジオも消して、のんびり過ごしたいと思います。
追加:結局のところ、第一回投票でのバイルー投票者のうちの20パーセントが白票、残りはサルコ・セゴに五分五分投票。ルペン票のたしか八割がたはサルコに入れたようです。記憶で書いてるから数字に確信ないですが、だいたいそんなところ。
また、サルコジ投票者には高年齢者が多いんですが、20歳台中ごろから30歳台中ごろも多かった。これはセルフメイドマン・サルコに魅了された若い衆でしょう。ホリエモン現象と同じかと思う。また、セゴレンヌ投票者は男性のほうが多いんだそうで(たしか56%)、フランスでの、ある一定年齢以上の女性のミゾジニー(女性蔑視)傾向は根深いんだな、と思ったしだいです。(ロワイヤル暴露本も2女性ジャーナリストによるもの。UMPのセゴ叩きも女性政治家がやってたですね。) かえって男性のほうが(能力ある)女性の仕事振りを知ってるんじゃないでしょうか。
以下、原文のままで申し訳ないですが、選挙運動中の大学に関するサルコジ演説の一部です。コピエ・コレしときます。(アスーリンのブログから拾ってきました) 何処も同じ春の人文系というか。教育も文化もプレスも出版も政治もヒューマニズムも社会も、ようするに産業なんですか、そうですか。ヒューマンもリソースなんだよね、ヒューマン・リソース。
Dans les universités, chacun choisira sa filière, mais l’Etat n’est pas obligé de financer les filières qui conduisent au chômage. L’Etat financera davantage de places dans les filières qui proposent des emplois, que dans des filières où on a 5000 étudiants pour 250 places (…) Vous avez le droit de faire littérature ancienne, mais le contribuable n’a pas forcément à payer vos études de littérature ancienne si au bout il y a 1000 étudiants pour deux places. Les universités auront davantage d’argent pour créer des filières dans l’informatique, dans les mathématiques, dans les sciences économiques. Le plaisir de la connaissance est formidable mais l’Etat doit se préoccuper d’abord de la réussite professionnelle des jeunes.