本日は一日外出、したがって買った新聞・雑誌はオプスとカナール・アンシェネだけ、ル・モンドウェブ版もちゃんと見てないしTVもラジオも聞いてないんですが、いくつか。
これは本当は訳したいル・モンド記事です。ニコラ・サルコジ、フランスとその歴史。選挙戦のあいだにサルコジが引用した歴史的人物のレジュメですな。書き手の名が入った署名記事です(当たり前だが)。
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ファム・ファタルというロワイヤルの政治・私生活暴露本が11日に出るんだそうだ。まだ出てない本なんでアタクシは読んでませんが、なんかエリック・ベッソン的な本。
昨日のエントリで紹介した偽ウヨ・デモ、最初アタクシも引っかかった。二回目ちゃんとスローガンの内容わかってやっと了解。それだけ現在のメディアとかウェブは複雑化してる、というか読み取り方がメンドイ。世界の田中うーちゃんもいつの間にか陰謀論に行っってしまうという、21世紀コミュニケーションにはプロもだまされるパワーとテクがあるんですね。
具体的にゆーと、サルコジ戦法は案外簡単。日本でもやってましたけど、敵対サイドの批判を同じ論方でもって三倍返しするわけ。
例:選挙が終わってすぐ、プライベート・ジェットにのってヨットでヴァカンス真面目じゃないじゃん!
展開サルコ例:国費使ってないもん。オヤビンは疲れてんだよ、ゴラア。
例:んでもっても、だいたいフーケッツのレストランで一緒に食事したのは、フランス株式上場の親玉たちじゃん。なにが貧乏人の見方だ!怒ったぞ!おまけにジェット費用もヨット費用も(一企業家;m6の大株主、フリーペパーととネットTVをいくつか所有)フーケッツのスイートルームも、アレキサンダー橋下のディスコ借りきり代もみんなスポンサーが出してるじゃんか(アンケート会社CSAの社長もそのひとり)。政治モラルなし。
展開サルコ例:何をおっしゃる社会党。サルコにはその価値があるの。ロレアルなの。そしたらミッテランはなにしてた?国費で隠し子養ってなかったかい?(以下略
というわけで一番重要な、ただほど高いものはないというのが(以下略 に追いやられるんですねえ。解説すれば、スポンサーにはいつか見返りを返すという仁義です。そして肝心な重要事項は(以下略 のままに、明日はサルコジまた新しい中小企業的スキャンダルを作り出し、おばかな大衆は昨日の重要(以下略 を忘れてしまう。
サルコのメディア王たちへのサンキュ見返りは回りまわって税金で払われるのだよ。これを経済学では投資といいますね。軍産・オイル・マードックのブッシュと同じ。サルコ・プチ・ブッシュなり。
以下はル・モンドのサルコジの金露出趣味に関する記事です。フランスでもっとも裕福な人々を友人とするサルコジ氏は、リッチな生活を隠そうとしない、とでも訳しましょうか。
LE MONDE | 09.05.07
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でも面白いのは、先に書いたロワイヤル暴露本内容をいち早く大々的に掲載したヌーベル・オブセルバタールのテクニックなんです。ロワイヤル支持左派雑誌ですね。つまり批判の返し技を、また返してる。批判される前に公表しちゃう、という手。合気道ですな。
いやー、政治って大変です。フォーラム読んでて思い出したんですが、一週間前のサルコジ・ロワイヤルテレビ討論で、セゴは五分五分で対決と、やたら真面目な服装でアクセサリーは何もなしで挑んだ。対するサルコジも普通の紺色のスーツだったけど、なんかピカピカ光る重そうなローレックス(話によればデイトナのプラチナタイプというヤツらしい。スイス価格で15000ユーロだとか。。450万円なりー)が袖口から、これ見んかい、って感じではみ出しておりました。
討論内容に聞き入ってたんでそんなに気にしなかったけど、あれって凄い。おまけにサルコはスゴスゴ縮まってたから余計目立った、下種でニューリッチなローレックス。二時間半にわたる討論ですから、一言も聞き逃すまいと緊張して、テクニカルタームとかで疲れた(たとえば猫屋のような)通常人がフニャとする、と画面ではサルコの腕に、007のロレックスがオモオモ・ピカピカ。これがマーケティングだよ、スピンドクター君。貧乏人はTVを見て金持ちにあこがれるわけだ。リッチ&フェイマスの魅力であります。日本では(今は刑務所だけど)ホリエモンがこの役やってた(by 電X)。
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最後になりましたが、カナール第一面のオヤジギャクは最高でした。Ca commence malte ! 本来は、出はじめからダメじゃん、という常套句なんだけど、最後の “悪い/マル” と “マルタ島/マルト” を引っ掛けてる。←冗談を解説するほど無粋なことはないんですが、仏・日のギャップ埋めなんで許してください。
なお、4日酔いの猫屋はこのままベッドにドロンとゴロン。いただいたコメントへのお返事と、昨日アルテで見たウェブ選挙戦の裏側についての印象も、5日酔いじゃなかったら、きっとたぶん明日書きます。
なお、上の写真は今日の問題であるマルタ島で、スタスキー&ハッチにジョギングするサルコジ165号。バックミュージックはもちろん太めロッキー。あるいはクインシー・ジョーンズによるアンアンサイドのイントロ。
猫屋さま。エレファンとたちにセゴつぶされると思います?なんかPS内部争い見てると、日本の民主党思い出して、悲しくなります。
投稿情報: じゃんぬ | 2007-05-10 03:11
偽ウヨ・デモ、私も初め見たときはムカついて、パロディと分ってからはケタケタ笑っていたのですが、いかんせん、これを選挙後に見たもので、笑えるんだけど笑えない状態に陥ってしまったのでございます。。。
だって、これから(すべてとは言わなくても)こうなっちゃうんですよー(涙)。
私は、20歳そこそこのフランス人の若者が、ソリダリテ!って、日本の今時の若者だったらダサっ(死語?)ていいそうな言葉を誇らしげに言うのをみて感動していたのですが、それでも減る傾向にあるそうで、この先またどんどん物質主義、資本主義アンディビジュアリスト万歳メディアに毒されていくんでしょうか。。。まだカナールとかあるし、デモしようって気があるだけ健全かな?(それも逆手に取られてますが。。)
サルコジ戦法って、よくアメリカの弁護士が使う手ですねえ。他人の欠点探しして、自分のこと棚にあげちゃうの。。。あんまりフランスの弁護士出身って感じじゃない。そこがまたフランス人には新鮮にみえるのでしょうか。
投稿情報: Amina | 2007-05-10 10:31
みなさま、
ホントどうなるんでしょうねえ。サルコジという人には一定の思想というのはありませんで、これはブッシュ(当人)も同じですが、単なる状況で人柄も言動もすぐ変える。これは小泉の変革とか、ぶっ潰すとかの発言とも同様ですが、極めて批判の対象としにくいし、とにかくメディアのあつい壁があるし、サルコジ支持者つまり高年齢者とかつての社会党運動とはまったく関係ない世代は、フーコーとか社会学が、自由がなどと言ってみても話しにならない。実はいまはド・ゴール主義の終焉なんだけど、そんなことは無料新聞とか夜20時の無料テレビでは語らないですよ。
ただ、このようなポピュリズム政治はヨーロッパ初めてでもないわけですし、ベルルスコーニ、にしてもアズナールにしても、ちょっと政治環境は変わりますが、ブレアだって見ても、長い時間と複雑な過程を経てですが、政権交代に持っていくのは不可能ではないです。米国だって、払った代価が大きすぎるんだが、風向きは変わりつつあります。
いちばん怖いのは、ある意味日本がそうですけれど、一種の宿命主義に陥ることだと思う。あれだけのアンケート攻撃があってもロワイヤル支持者の多くは投票をした。邦人だったら、アホクサ選挙なんてイカネーヨ、になりそうだけど、ここではそうなりませんでした。
この宿命論って、TVの見過ぎ刷り込み効果だとか思うんですが、アチラ側で言ってることをそのまま飲み込む作法が“教育”されちゃっている。これは(猫屋自身にもある程度ある傾向だろうけれど)、自分より若い世代の邦人と話してると、なんで言いたいこといえないんだか、聞いてていらいらしたりすることがあります。たぶんあれが日本のスタンダードなんだろうけど。
もう一点は、これはどこでも言われてますが、ネットTVも含めたネット政治がフランスでどこまで伸びるか、ですよね。
投稿情報: 猫屋 | 2007-05-10 14:04
猫屋さんいいこと言いますね。
これが宿命だから受け入れなくちゃ、と思うのが一番まずい。
フランス人が簡単にそういう方向に流されないのは、比較的時間があって消耗させられていないからだと思う。中高年だって元気じゃないですか。
うちの管理人は「私は日本人みたいに働いてる」と言って機嫌が悪いとからんでくるけれど、内心「こんなもんじゃないよー」って思いながら愚痴を聞いてやります。ではでは。
投稿情報: pol | 2007-05-10 17:54
うん、ヨーロッパにはまだいい意味での頑固爺とかナイーヴかもしれないけれどフラテルニテなんて言っちゃう若い人がいるわけで、米国の事情は知りませんが、欧州も日本とおんなじじゃん、と思っちゃあイケマセンね。
投稿情報: 猫屋 | 2007-05-10 18:07
猫屋さま、投票のお返事ありがとうございました。
>世界同時多発選挙攻撃ですよ
と読んで、「普通の広告代理店は企業と契約し、その知名度やイメージを高めることが仕事である。米の大手広告代理店ルーダー・フィン社の幹部社員ジム・ハーフは国際紛争を戦う一方の国家を顧客として、国際世論を味方につけるようなPRをするという仕事である。」と読んだの
を思い出しました。ネガティブキャンペーンは攻撃的で好きじゃないですね。反日煽り等も、そういう一環でしょうし。
独仏日、とポストが民営化みたいになっていますが、これも国民の財産がマジックであら、誰かの私物に?という事態になるかも?という危惧を、フランス人で申誇示氏に入れたご老人は持たないのかな、と。日本とフランスでは、ポストでも多少、機構が違うのでしょうけど。エンロンみたいな事件も今後はありうるのかなとか妄想してしまいます。
雨祈祷は、笑っちゃいました。天気は確か、費用をかけて空に何かを巻くと、晴れにできると読んだことがあります。ロック歌手の野外コンサート前にそういうことをするとか。
投稿情報: 悩める羊 | 2007-05-10 21:17
そういえば、
褒め殺しというテクニックは、フランスでは通用するのでしょうか?
「あーら、ムッシュサルコジ、貴方のそのロレックスとてもお似合いですわ。どなたからのプレゼントですの?」、みたいなことをちらとセゴ女史が本番、言ったとして、効果あるのかしら。セゴ女史としては、そういう手口は使いたくない人柄かもしれませんが。お金持ち層には、ジョスパン氏、ミシェルBarnier氏のようなエリート校出身かつ見栄えするタイプが好まれるのかと思っていたのですが。
投稿情報: 迷える羊 | 2007-05-10 21:50
今出てる Le Point のBHL のセゴ評価はとっても気分がいいですよ。読んで下さい。BHLはネオリベのアメリカ好きだから嫌いだったんですが、奥さんのいうことをちゃんと聞いて、グリュクスマンに反発してたので、見直してました。この記事で高感度アップです。
サルコについての記事を日本の雑誌に書くことになりました。編集者が次のように書いてきました。
>ある朝のワイドショーの司会者など、
「フランスでも格差是正が問題になっていて、それでサルコジが選ばれた」
などというトンチンカンなことを言っていました。
サルコジになったら、格差は広がるのに……。
あまり知りもしないのに、コメントできるのが、テレビ人のすごいところです。
だそうです。サルの顔を見るのも不愉快でしたが、書く場所を提供されてフラストレーションが解消されそうです。猫屋さんもがんばって。
投稿情報: 竹下節子 | 2007-05-10 22:52
悩める羊氏、
選挙前にはれちゃうと高年齢者の投票率が高くなるからダメなんっすよ。2002年のジョスパンが第一次選挙でルペンに抜かれちゃったのは天気がよすぎたし、学校が春休みだったので、(教師を含む)社会党支持者の投票率がめちゃ低かったのも原因のひとつでした。ポストは、ファイナンス部門は(たしか)すでに民営化してるですし、クロノポストとか郵便配達行も民間が請け負う部分がしだいに増えています。SNCFも、多くの分野を下請けに出しているわけで、国家企業から民間へ、と言う流れはかならずしもサルコジが出てこなくても、進んでいたでしょう。実は、ユーロの為替相場にしても、金利を決めるのは欧州銀行ですし、産業空洞化にしてもフランス一国で止められるものではない。サルコジの一番痛い点は、それを知りながら、自分はユーロも下げられる、産業促進で完全雇用もやると、完璧なデマゴギーで票集めしたこと。不幸なのは、それを批判すべき大手報道が最後の最後まで動かなかったこと、でしょう。なお、ほめ殺しは、いま一部のジャーナリストがやってるけど、政治討論ではむりでしょう。セゴ・バイルーのときぐらいリラックスしていたら別ですが。
なお、サルコジ自体が、かなりひねくれたコンプレックスにうえに政治野望を気づいた男です。UMPに投票した国民の多くが、そのなにやらネガティヴなパワーに魅了されているんですが、オンフレイみたいな中途半端ではないサルコジ分析が書かれてもいい。まあ出版は難しいでしょうが。
竹下節子姉、
アタクシは、もう日本はダミダと思ったり、同時に日本事情はもうまったく理解できないわけで、欧州内の邦人あるいは日本に帰国した邦友人を想定して、このブログを書いています。同時に住民の感じる欧州での動きを通じて、読んでくれる人が日本の事象を考え直す契機になれば理想的なんですが。。。節子さん、(でも難しそうだなあー)いつものキッパリ明快な記事をお願いします。
しかし、putain、 encore 5 ans ! ですよ。おまけにまだ始まってない(笑)。書くのも不服従運動の一部です。黙ってしまうのは腹ふくれちゃう業なりい。 ル・ポワンのBHL読んでみます。
投稿情報: | 2007-05-11 00:04
↑サインしわすれました。猫屋でがす。
投稿情報: 猫屋 | 2007-05-11 04:19