昨日(6月20日)夜8時にフランスのプライベートTV局で、総選挙後初めての大統領インタヴューがあるのは知っていましたが、もともとtf1(持ち主ブイグ、ディレクターは元サルコジ官房長)はみないことにしてるのでスルー。あとでル・モンド、リベで関連記事を読み、・サルコジは公約した改革案を、同時に、さらに加速・さらに強く推し進める。・G8では会見に遅刻したため階段を四段ずつ駆け上って息が切れていた。・総選挙での結果は国民の危惧を表明したもので理解できる。。。と言った内容だったらしい、ってのはわかった。
リベの関連記事エディトリアル読んでも特に突っ込みガイのある内容じゃないし、ル・モンドウェブ版の読者の投票みてみると、大統領インタヴュー自体はそこそこ説得力あると判断されてるようだ。ふーん。
そこで今度はジャーナリストの個人ブログに目を通してみたら、えっ?
PPDAとクレール・シャザル(tf1の名物キャスター;同時にこのふたりは過去に愛人関係にあったときの子供がいる)がインタヴューしてるんだけど、場所はなんとエリゼ宮の、おまけに大統領執務室。おまけのおまけは、インタヴューの前にPPDAは大統領官邸からニュース報道しちゃったんだそうだ。
こりゃアパティが書くように、前代見ものであります。いつかtf1のTV局で行われたインタヴューでは、サルコジ靴脱いで答えてて「ありゃ自分の家なんだからトーゼン」というネットでの反応があったけど、今回はレベルが違う。フィガロとル・ポワンの記者を大統領と首相の補佐官として雇用、サルコチームの新鋭をtf1のディレクターに送り込んだその次は、大統領官邸をママTV局にしちゃった。
つか、本来はインタヴューを受けるのはTV局で、パリ祭とか、あるいは重要な声明がある場合にだけ、大統領は官邸で公式演説するんじゃなかったっけ。。。いや、ミッテランはたしか晩年に、エルカバッシュとたしかギヨーム・デュラン(自信なし)に官邸でインタヴュー受けてた記憶があるが。。
サルコジ政権の真の参謀 Henri Guaino / アンリ・ガイノ とセシリアの打ち出すメディア兵法には恐ろしいものがある。映像と繰り返しで、我々カルテジアンの言語的限界を超えたところで勝負してるわけだ。
こちらはテアトル・ド・ソレイユ(太陽劇場)のムヌーシュキン女史、言葉と動作と人間のつながりの専門家である演出家は、サルコジという人間の“得たいの知れなさ”についてリベの個人ブログで展開していたわけだけど、最終の(5月29日)エントリーで、こうしるしている。
Ma modératrice me presse «d’écrire quelque chose». On ne
comprend pas mon silence, me dit-elle. Si c’est vrai, c’est étrange. Le
silence, pourtant, est compréhensible. Après un coup de massue pareil,
on tombe, on reste silencieux. On est triste. Très triste. On est en
colère. Très en colère.
Président de tous les Français, mon œil ! On ne veut pas prononcer
tous les gros mots, les reproches, les insultes, les accusations, les
malédictions qui se pressent au fond de nos cervelles incrédules. Non,
on ne veut pas tomber si bas. C’est la démocratie se répète-t-on. Oui,
c’est la démocratie, mais on ne redevient pas tout de suite démocrate
quand on a perdu. Il faut un peu de temps. Un peu de silence, d’humour,
de réflexion et beaucoup de convictions démocratiques justement.
Et puis il y a tous ces messages. Les sévères, les doux, les
subtils, les beaux, les bons pour l’âme et les autres, les durs, les
violents, les injustes, les fous, les vulgaires, les méchants. Tous ces
messages auxquels je me suis juré de répondre et auxquels je n’ai
évidemment pas encore répondu, même collectivement.
Et si, parce que je n’écris pas assez souvent, Libération me retirait mon blog ?
Je sens que ça me pend au nez.
同感である。
力が抜ける。
昨夜たまたま目を通した番組 ce soir ou jamais にはドヌーヴとその娘、、、とここまで書いたら急にPCの具合がヘン。ひとまずアップロードして、続きはまたあとで、、では
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今夜続けるつもりが、田川氏の突っ込み(感謝!)をはじめ、コメントをいただいたその返事が長くなり(前のとその前の前のエントリのコメント欄もさっき書きましたので流れは同じですが)、ちょっと結論っぽくなりましたのでして、コピエコレ+加筆手直し。これで続きとさせていただきます(つまりサボる)。
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たとえばミッテランも、公式インタヴューでは官邸の(たしか)図書館を使って、エルカバッシュとかのインタヴューに答えていましたが、今回のは、明らかにサルコジの企画でしょう。
“on(主語、極めて話体的かつあいまい)”とか“truque(モノ、これも俗語)”の多用や、インタヴュアーの話を聞き終わらずに、インタヴュアーの話をさえぎる形で答える。また、ロワイヤルとのTV討論では抑えられていた、元来のアグレッシブさが全開になってました。
結局、このインタヴューの目的とは、PPDAとシャザル(つまりフランスで最も視聴率の高いテレビ局tf1)が、サルコジ支配下にあることと、粗野でアグレッシブな大統領は粗野でアグレッシブな仏国民の代表であって、演繹的にいえば、国家もメディアも、実に“平民”たるサルコの前にひれ伏すんだ、、というデモンストレーションだったわけです。
ニュースを大統領執務室から伝える、というショウのインパクトは大きいです。となりでサルコが見張ってるわけで。なお、PPDAの“ひるみ”なのか、いずれにしろ居心地の悪さが、彼の言葉の選び方、しゃべり方に出ていました。これとサルコジの尊大さ、とのコントラストが際立っていた。PPDAには同情さえ感じたです。PPDA(パトリック・ポアーブル・ダボール)は名前にdeもつく、homme de lettre 、本も書く文化人ですからねえ。
たしかに、サルコジの語彙や話法、チック(癖)や、ヌイイとは関係ないあの独特なアクセントとか、フランス語で言えば“grande geuele”ですね、あと論法でも、微妙に論理をひん曲げて結論(サルコはえらい)にもってくるというお作法にしても、これまでのフランスの政治家を見回して、比べられるのはルペンとか、タピぐらいしかいない。けれど、タピに関して言えば、新興実業家で、たまたま政治に入っただけですから比較対象にはなりません。それだけ、サルコジという人間は“型破り”なわけで、政治の流れを変えた(また日本市場を外貨に対して開放した)スタイルから見れば、日本でのコイズミ氏の行った“貢献”との比較は有効だと思う。
これは以前にも書いたんですが、サルコジの容姿については、誰だって、どうしたって言及したくなる。これは、容姿や父親の不在といった家庭の事情が、サルコジの政治モティベーイションの原動になっているからであって、たとえば背は低いは・ブスだわってのはアタクシだって自慢しちゃうが、かなりなセンいってますが(デブじゃないです)、アタクシは(すくなくとも自分の知る限りでは)誰にもメイワクかけていない。だから誰も猫屋をチビ・ブス・デブとは批判しませんね。。。なんの話じゃ。
ジャーナリスト85%が左派、というのは10年前の話です、今は昔。現在では半分半分でしょう。現場で働く30台は、ベルリンの壁が落ちてからの世代です。40台でも、さすがサルコ支持は少ないですが、社会党からバイルー支持に移った人間は多いです。
名前は失念しましたが、内閣に入ったセネガル生まれの女性がいますが、彼女はたしかシヨンス・ポ出。ご主人は社会党系の人間。彼女自身左的ですが、社会党ではアッサンサー・ソシアル、つまり上昇機械には乗れないと判断して、サルコジについた。結果は、セネガルというのをサルコにカワレテ30歳で内閣入りです。これはダティ司法相にも当てはまります。もちろん彼女たちはジャーナリストではないですが、ジャーナリズム畑にも同じように考える人材は多い。
問題は各メディアの番組ヘッドレベルでの自己検閲です。fr3ニュース編集会議ではまだ、上部(外部)からの直接注文はないって聞きましたが、あとはみごとにコントロールされている(ル・ポワンとフィガロには内閣に入った同僚から、オーダーが入るようです)。
このブログでも話題にした、国営フランス5のarret sur image はやはり終了だそう。シュナイダーマンは、(またしても)怒りまくっていますが。。。
マタン・プリュスとディレクト・ソワールでしたっけ、タイトル。新しいフリー・ぺーパーですが、かなりアグレッシブな、アルバイトを使った手渡し配布でシェアをあげてますが、あれはボロレの新聞(20ミニュツ、わるくないのにまったく人気なしです)。
また、サルコ一族がフーケッツで無賃宿泊、ボロレのジェットとヨットでマルタ休暇したとき、フランス人の65パーセントは“問題ない”ってアンケートに答えてましたが、あれもボロレが大株主のアンケート会社の出した数字でした。
反面、ジョフランが編集長になったリベの売り上げが伸びているようで、これは良報。
サルコは、アルジェリアをはじめアフリカ北部と(たぶんセネガルとかも、あとレバノンなど)中近東訪問を準備・打診しているらしい。アルジェリア系あるいはモロッコ系、およびレバノン系、もちろんイスラエル系、またセネガルをはじめとしたアフリカ系も、仏選挙民には多いわけ。イスラエル系を除いては、今回の連続選挙では、多くがロワイヤルに投票してた選挙民層である。
“政治とメディアはイクオール”インパクトが優先され、国家赤字は“あっち見てホイ!”の作戦でしょう。しかし、今の状況でパレスティナとかレバノンまで行けるんだろうか、、、なにしろUUSA大統領になるのが夢だったけど、そりゃやっぱり無理なんで、ひとまずフランスをUSAにしちゃいたい大統領であります。メガロ・サルコの夢が、クリキントンの後続としたら、、可能性はあるですね、、、ひとまず情報収集してみます。
ああ、“文化と教養”のネブロのはずが、なんでこうなるの?
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追加です;大統領インタヴューに関するプレス記事紹介、20minuts から。«Sarkozy a dit…», «Sarkozy fera ?» 《サルコジはこういった》、《サルコジは実現するか?》