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I'm Not There、最高でした。とにかく楽しい映画。なんと、6人の俳優が入れ替わり立ち代り、ボブ・ディラン伝説のあちゃらこちゃらを、それぞれ違った画像で組み立てていくんですね。映画・映像としての完成度について、 なんだかんだ言っても始まらない。愉快にむちゃくちゃです。
まあ、ディランを知らない人、あるいはディラン・オタクの人が見たらどう思うんだろうか。これはわかりません。
アタクシとしては、ブロンシェットの演じたディラン=Jude と 英国俳優ベン・ウィショーの演じたディラン=アルチュール・ランボーの白黒部が大好きだし、少年マルクス・C・フランクリンのディラン=ウディが、古びたランチのポーチで2人の爺さんと歌うところと病院で死にかけてるウディ・ガスリーを訪ねるところがグッときた。
スコセッシのNo Way Direction Home や、ぺネベイカーの D'ont look back を何回も見た連中にはもう、キターーーー!!としかいえないようなシーンが満杯です。きゃいん。
ただね、猫屋的にはSlow train とかちゃんと聞いたことがないせいもあるんだろうけど、born again 時代とか、リチャード・ギアの演じるディラン=ビリー・ザ・キッドの部分は、ちょっとダレた。これはしょうがない。ディランはあのとおり、千の顔を持ち、千の声を持つ。でも彼のどこかが、そう、あなたに手袋のようにぴったり来るんだ。
ブロークン・バックにでてたへイス・レドガーのディラン=ロビーの、スーズとサラを一緒にした彼女・奥さん役を、なんと、シャルロット・ゲインズブールがやってる。彼女よい。I want you にかぶる映像最高(ところでシェルロット、母親ジェーン・バーキンに似てるのはあたりまえだけど、パティ・スミスにも似てるぞ)。
アルバート・ホールでのアネクドットだとか、アシッド状態の彼が公園に突然現れるBXXXXと戯れちゃうとか、エレクトリックに寝返ってファンに嫌われるとことか、ゲインズバーグやファクリーとか、BBCのインタヴュアーとか、ボーナスだらけの映画です。おまけに音つき。
ビリー・ザ・キッド部の映像は凝っててファンタスティック。でもキッドだけで別映画作ったほうがよかったかもしれない。そんな気がした。あと、バエズ役のジュリアン・モアは、申し訳ないけど、よろしくない。
レイモン・クノーの小説、Exercice de style みたいに、いろんなテクと俳優とが試されている。最初に書いたけど、ブロンシュのセクシーさと、尋問されるウィショーのアルテュールの純粋は、美しい。
奇妙なordinary people/普通の人々を、ロングなトラベリングで撮ってるところは、ウォーカー・エヴァンスの写真を思わせる。おまけに人々は動いてるんだ。
あああ、ディランは女たらしで、嘘つきで、気まぐれで、ジャンキーだったり、とにかくとんでもない人間なのだ。そして詩人で、彼はボブ・ディランなのだ。
1961年生まれの監督、トッド・へインズ(Todd hayes)が作ったこの作品は、ボブ・ディランに関する極めて個人的な映画です。私たちにできるのはただ、個人的にこの映画を楽しむことだけなのです。
エンディングでは、相棒と一緒にライク・ア・ローロング・ストーンを上機嫌で歌ってしまいました。
前回のと同じだけど、トレイラー貼っておきます。
投稿情報: 2007-12-17 カテゴリー: Cinema | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (2)
翻訳します。とはいってもタイトルが訳せません。参照:about com による写真つき英文解説をご覧ください。本記事は12月12日発行のカナール・アンシェネ第2ページから。前エントリーにスキャンしたのをアップしてますので、原文およびイラストはそちらで参照ください。
サルコのles bras d'honneur
「realpolitikってのが何にも分かってないんだったら、それは彼らの自業自得さ(tant pis pour eux)。」パリでの盛大なカダフィ歓待に関する批判に対して、ニコラ・サルコはこう反応したのだった。そして顧問たちの前でこう続けた。「いずれにしても、連中がわめきたてる(gueulent)分だけ、les bras d'honneurを送りつづけてやる。その分、長々とカダフィと握手してやろうじゃないか。」
そして、リビアの将軍への常軌を逸したもてなしについて、次の言葉をもって締めくくったのだった:あれもこれも、すべては経済成長のためである。
「噛み付いてでも足りない成長率を上げてみせる、と言った。そうさ!だから実行しているんだ。仏企業にとって100億ユーロの契約はたいしたもんだ。」
もうひとつの大統領の論点:アフリカと中東にしめるリビア・リーダー(guide)の重要性だ。「2003年以来、彼はテロリズムに見切りをつけた。もともと原理主義には反対している。ビン・ラデンの逮捕を最初から要求している。そのうえ、ダルフール危機解決で重要な役を演じる可能性もある。」
大統領の結論:「いくら気まぐれな人物にしても、彼の国際協調への社会復帰(réinsérer)に貢献するのは悪いことじゃない。」 社会復帰を強調するのは例外であるにしろ。。。
「サロンから説教する連中ほどいやなものはない。」と語ったあとサルコジは、カダフィと...ディオールを全身にまとって“パリマッチ”の表紙を飾ったばかりのラシダ・ダティを比較するという危険な試みをした。「どっちの場合も、悪に対しては悪をもって処するのだよ。カダフィと一緒にいるところを見たいのか?できる限り一緒にいようじゃないか!ラシダはミーハー(peaple) 過ぎる、有名デザイナーと付き合いすぎると人は言う。だから彼女に言ってやったんだ:みんなをうんざり(emmerder)させりゃいいんだ。楽しめばいいんだよ。」
政治路線と同様、les bras d'honneur の繰り返しは、どちらかといえば愉快であるわけだが、いかんせん短絡すぎる。特に、大統領選挙運動中の3月2日に、“たとえフランスの友人であろうとも”独裁者とのいかなる妥協も断じて拒否すると公表した人物の言葉としては。そして、外交政策の中心要素を人権保護として強調していた人物の言葉としては。
*イラストのせりふ:カダのことで嫌がらせるつもりなら、サルコはあいつに功労勲章を授けてやるぞ!
投稿情報: 2007-12-16 カテゴリー: France, trad/翻訳 | 個別ページ | コメント (5) | トラックバック (0)
なんか結局、みっともない展開になっておりますね。大昔ですが“駅前社長シリーズ”というお気楽映画がありましたが、駅前の社長さん御一行が温泉旅行にでも行ってる雰囲気というか、そして対するサルコ・チームはなんだかタケシ軍団。
Boufffonnerie という言葉がありますが、笑い飛ばすにしても、国家予算(赤字)と仏国の国際信用が絡んでるんで微妙です、、、しかし真面目に観察してたら腹立つばかりであります。
大雑把に解説いたします。
今は影をおヒソメになられているプリンセス・セシリアが大活躍し、1999年来カダフィ将軍下のリビア政権によって捕らえら死刑まで宣告されていたブルガリアの看護婦5人とパレスティナ医師は、今年の七月に解放されたわけです。まあ、世界中の人権団体・ノーベル賞受賞者やもちろんEUもこの件ではいろいろ手を尽くしていた。解放は、仏国大統領なりたてのサルコジがトリッキーに根回しなしでごり押し展開しちゃった観があります。これはあくまで猫屋的観ね。
この看護婦解放時のネゴシエーション・メニューに、たぶんカダフィのフランス公式訪問も入っていたんだろう。
カダフィは国際世論への餌としての“ブルガリア看護婦解放”と引き換えに、自分の国際社会復帰を希望したんだね。サルコのほうは、彼の十八番である“人質解放”力を再び、おまけに世界レベルで広報できる。仏大統領の国際政治舞台デヴューとしては悪くない。おまけに、原油と天然ガスを豊富に有するリビアに、ラファル戦闘機・エアバス・核開発etc.を売るという約束まで取り付けた。ラッキ。
そしてカダフィが、お約束通り、フランス公式訪問の運びとなった。だが、到着日が世界人権宣言の日だったことをサルコ・スタッフは見過ごしていた。(なんかシラクの核実験を思い出しますな)
かつてはフランス民間旅客機を爆破するというテロ行為を行い、また世界のテロ組織を援助し、いまだに選挙制も報道の自由もない、そしてブルガリア看護婦に対して拷問さえ行った独裁国の独裁者を、なにも、人権宣言が発せられた地であるパリに、人権宣言の発せられた記念日(12月10日)にジャスト招待するのは非常識である、と仏国人民は感じたのでした。
しかし、この国に反政府勢力は不在なのでした。
そこで、現フィヨン政権の外務省つき人権担当相である、ラマ・ヤデがle Parisien とラジオのフランス・アンフォでカダフィフランス訪問を批判したわけ。
"Le colonel Kadhafi doit comprendre que notre pays n'est pas un paillasson sur lequel un dirigeant, terroriste ou non, peut venir s'essuyer les pieds du sang de ses forfaits."
「わたしたちの国は、テロリストであろうとなかろうと、一国元首が、過去の大罪の血痕をふき取るための足拭きマットじゃないんだと、カダフィ将軍は理解すべきだ。」
ほかにも「血のくちづけ」など、なかなかインパクトの強い発言をしたわけです。詳しくは上記リンク先のインタヴュー、あるいは下のル・モンド記事をお読みください。
とにもかくにもカダフィ将軍、パリに来ちゃった。アマゾンと呼ばれる迷彩服の女性護衛隊を含む400人を越える人員を率い、べドウィン野営テントをシャンゼリゼ近くのホテルの庭におっ建て、真っ白なリムジンでエリゼ宮(ホテルから50m)に多数の仏国警察護衛を引き連れてお出ましになるわ、ホテル・リッツで知識人・経済界人を招いて(あのアラン・デュマが仕切って)レセプションしちゃうは、バトームッシュでセーヌ川散策しちゃって、パリの橋は通行禁止になるわ、、大変です。ラクダを連れてこなかったのは、個人的にはちょっと残念でしたが。。
対するサルコおやびんは、フィヨン政権の研修生ラマちゃんについて、「よう言った。自分の意見があるというのは大変いいことですね。」と花丸をあげた。でもラマちゃん、次の日にはフィヨン教頭に呼び出されて、それからは大変おとなしくなってしまったのだったよ。(なおラマちゃん、この木曜が誕生日で31歳になった)
以下ル・モンドより参考記事
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さてサルコジ人権の国フランス大統領は “やくざな人権無視独裁者も、まともな政治家として扱うことでしだいに普通な人になる”説を採用。“核兵器・化学兵器開発も断念し、テロリスト集団への援助もやめたと言っているのだから、彼はすでに独裁者ではないのだよ”ということであるらしい。。以上、かなりなレジュメby 猫屋でありますから、詳しいところはオプスに載ってる緊急インタヴューでお読みください。(左派誌にインタヴュー載せさせるというのもサルコ技ですね)
«Il faut parler à Kadhafi !» Sarkozy s'explique
まあ、論理として一応説得力がないわけではない、かも知れない。だけど、問題はそこにはない。真実は別のところにあるんですよね、Xファイル。
戦闘機・核開発・ことによったらウラニウムまで独裁者に売ってどうするんですか?← これで「独裁者をまっとうな政治家にニューリアルするサルコ作戦」説の信憑性はまるっきり失われてしまう。
だいたい、アメリカ合衆国や他の欧州各国を訪問しても、「今回のxx国訪問でゲットした契約は何億ユーロ!」とか、サルコ報告しない。中国・リビア・アルジェリアが相手になるとすぐ契約・契約、(正確に言うととった契約ではなく、ネゴシエーションの開始の話に過ぎない場合が多い。それに過去何年かにすでにサインされてる契約額を上乗せして、契約取りました感を強調してますね、サルコ)。書き加えれば、われらが人権研修員相ラマ・ヤデは中国訪問団に入ってなかったですね。
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さて、翌晩になってしまいました。続けてみます。なお、昨夜の文章、若干書き加えました。もう一回読んでね。
カダフィの人権逆襲;「フランスのアフリカ人民の人権は迫害されてないとでもおっしゃるのか?」
サルコジ人権の国フランス大統領は、結局3回にわたってカダフィ将軍会見したわけですが、インタヴューで、『リビアが人権を尊重する国家となることを期待する』旨のメッセージをしっかり伝えた、と言った。会見に立ち会ったクロード・ゲオ ン大統領府官房も、サルコジはカダフィとの対話のなかで2回にわたって人権について話したと報告してる。
しかしだ。シャンゼリゼ近くのホテルの庭の野営テントで France2 キャスターのインタヴューを受けたカダフィ将軍は「サルコジ大統領と人権について話し合ったのですか」という質問に、「いや、そんな話は一切なかった」と返答。
おまけに、国民議会訪問(左派議会員はボイコット)・ホテルリッツでのレセプション、それからルーブル見学、ヴェルサイユ宮殿見学などの定番(エスコート人員数が定番枠を超えている)観光のほかにも、ユネスコ本部を訪れ、“偉大なる指導者”としてスピーチしたんですね。演説レトリックとしては、よくあるパターンですが、たいしたculot(あつかまし)であります。参考:ロイター記事
「われわれアフリカ人は不正義の犠牲者である。彼ら(ヨーロピアン)は、汚く辛い仕事をさせるために、家畜のごとくわれわれをここまで連れてきて、そして都市周辺のバンリュウにわれわれを投げ込み、権利を要求すれば警察に打ちのめされる。」
また、“女性解放”のための集会も開きまして、フランス女性を代表させるってんでしょうか、昔風の衣装をこっちの女の子に着せて写真とってましたね。
ま、一言で言えばやりたい放題。ヴェルサイユの森で狩りを御所望という話もありましたが、ラクダと同じで現実化しなかったようです(残念と、猫屋に思えるのはなぜでしょう)。追記:ヴェルサイユ宮殿見学の後、将軍はランブイエの森で狩りをなさった模様。フィガロから:Partie de chasse pour Kadhafi
人民:「いったいあのひといつまでいるの?」
フランス大好き独裁者であるカダフィ将軍は、テロ行為たとえばUTA旅客機爆破テロ行為(リ
ビアによって起こされ、被害者家族にはリビアから遺書料が支払われている;1989年)やテロリスト支援外交政策が原因で、この34年間、フランスの地
に足を踏み入れていなかった。K夫人からご指摘いただいたように、当初将軍は10日間のフランス滞在を希望、しかしさすがに、過去に10日もフランスに公
式滞在した外国首脳は存在しないという理由で、仏政府は10日を56日に減らすことに成功(なお政府は広報、つまりメディアを通じて5日訂正;6日のうち公式滞在はたったの3日半だと言い訳してます)、基本的にはこの土曜日15日にパリをお離れになる予定であります。ただ、次の滞在地マドリッド訪問は来週月曜に予定されてるわけで、将軍、この週末はどちらに行くのやら?心配ですねえ。
今週のフランス(少なくともメディア界)はカダフィに引き回された感があります。11日にはアルジェリアで自爆連続テロがあり、60人以上が死亡(またしても11日です)。けれどこの報道はカダフィ報道の影になっちゃった。
あまりのフィーバーぶりで、さすがサルコ・ノンストップ・ショーに馴らされつつある国民も、今回の駅前シリーズにはゲンナリ。何にゲンナリしてるのかというと、これは分析が微妙ですが、結局はグロバリメルカート世界でマイナー国になっちゃったフランスは、独裁者にあれだけぺこぺこしなきゃ生き残れないんだ、、という印象を持っちゃった。この印象が、事実であるのか、あるいは単なる印象であるのかはまた別の問題です。
独裁国のリーダーを世界の外交舞台に向かいいれることで、独裁制の民主化への移行を図る、、というのはなんとも20世紀的ディスクールじゃないかな、と思います。21世紀の、政治は経済に従属する、というシェーマで言えば、米国・ロシア・フランス等の民主国と見なされてる国々が、逆に“第三世界”独裁国的性格を強く持つようになった。イラク戦争・グアンタナモ・選挙不正・武器売買・メディア管理・警察国家etc.etc.
経団連:なんぼ売れるんやろか?戦闘機ラファルはほんまに売れるんか?
噛み付いてでも経済成長率を上げてみせる、とタンカを切ったサルコジ人権国家大統領の発表によると、今回のクライアント、カダフィ将軍との契約は総額100億ユーロだそうです。えっと、たぶん16兆円か。。
けど、実際には軍備・エアバス・核開発・建設契約の多くは、ネゴシエーションに入るお約束がとれた段階で、具体的な、たとえば戦闘機やヘリコプター・タイガー一機のお値段は、まだ見積もりもできてない。まあ、いつものサルコ前宣伝の枠内で考えたほうがいいんでしょう。
それより、アフリカの一国がまとめて軍備を新調すると、周辺各国がそれにレベルをあわせようと軍備均衡競争が始まる恐れがある、と警告する専門家もいるわけです。
なお、ダッソー社が大幅な投資をして20年前に開発した“最新式・高性能”戦闘機ラファルなんですが、なんとこの20年間一機も海外に売れてないんだそうだ。
下の記事は、“契約内容”についてのル・モンド記事です。《リビアとの契約額に関する疑問》
カナール・アンシェネによるすっぱ抜き:サルコ・オフ語録「悪を持って悪を征するのじゃ」紹介
えっとですね。この記事短いんだけれど的をついてる見事なものでありまして、このエントリーがやたら長くなっちゃったこともあるし、暇あったら明日あたり別エントリとして訳してみたいと思います。さすがカナール。インサイダー通報者の存在と内容の信憑性には驚くばかりだし、おまけに広告なし=スポンサーなしですから、今のフランスに残っている、ただひとつのインディペンデント・メディアと猫屋は考えます。
結論:“タケシ城の対決カダフィvsサルコ”の結果は、カダフィの勝ちー。
ラマちゃんの一時的健闘も、結局は政府内部の小さな嵐で終わってしまいました。爆弾発言以前に、12月10日は人権宣言の日だと政府関連者にメールで警告するも誰も聞いてくれなかった。それでラマちゃんパリジャン紙とフランス・アンフォで発言した、て経過らしい。しかし、dans tous ça 、どこを見回してもクシュネール外相(あるいはオクラント女史の亭主)が見当たらない。
このごろ、フランス外務省はフランス・グローバル貿易省と、呼ばれてますね。
なお、カダフィ将軍が冬の雨の降りしきるパリの空港に着いたとき、出迎えたのは予定されていたオルトフー移民と国家アイデンティティ相ではなくアイヨ-マリ内務相だった。これは、出迎えは女性がいい、という将軍のリクエストがあったための変更だそうであります。あーあ。お客様は神様です。
なお今日のル・モンドも、サルコジ外交について署名つき長いエディトリアルを載せてるんで貼っておきます。 リスクの外交、エリック・フォトリノ
投稿情報: 2007-12-15 カテゴリー: France | 個別ページ | コメント (4) | トラックバック (0)
20minutes から、Rama Yade reçue à l'Elysée /ラマ・ヤッドヤデ、エリゼ宮に呼ばれる。
K夫人のコメント欄報告のとおり、本日からのカダフィフランス訪問を、ラマちゃん直球で批判しています。
まずはブログ界、それから新聞でもサルコ外交;つまり中国・リビアそれからロシアとの仏親密外交への批判が高まってる。フランスは独裁政治サークルに寛大すぎるってわけですね。いくら契約が欲しいからって、そりゃやりすぎ、ということ。
おまけに売ってる商品は、戦闘機も含む飛行機だったり、核開発だったり、きな臭い。
プーチンが選挙で選ばれたとたん、サルコは電話かけて祝福;大掛かりな選挙違反も報道されてるのに、電話なんてかけてんのサルコだけだそうだが。。。
夜にでも、も少し続けてみます。
*
と、夕方に別エントリーほぼ書き上げたんですが、「あ、腹減った」と、昨日の残りのとんかつでカツ丼作って食べ終えたら、下書きアップロードしたはずのエントリーが、、、、また消えてしまってたのでした。シックスアパートさん、やたらサーバー重いんですけど。。。いや確認しなかった自己責任だよなあ。。。pc古すぎ。サンタ・クロースさん助けてください。って無理か。
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さて、いくつか付け加えてみます。
サルコジ外交
サルコジ得意“人質解放作戦”のコロンビア・ヴァージョン、つまりコロンビア・フランス二重国籍をもつイングリッド・べトンクール(2002年からコロンビアの反政府組織FARCの人質となってるコロンビア政治家)を本年クリスマスまでに解放する、とサルコジは選挙戦で公約の一つにあげたんですね。ところが、これがなかなかうまく行かない。ベネズエラのチャベスをエリゼ宮に招いたけど、たいしか収穫は得られなかった。サルコジはFARCに直接ヴィデオ・メッセージを送って、“べトンクールを返せ!”と迫っていますが、大体彼女はコロンビアで生きることを選んだ人だ。2003年にもフランス政府は、現地に軍用機を内密に送っているが、隠密作戦は失敗に終わっている。サルコジは、チャベスばかりではなく、カダフィにもこの件での仲介者を期待しているようですが。。でも、これって内政干渉にはならないんでしょうか、、、
プーチン再選後、祝いの電話をかけたのは、タジキスタンとイランと、、フランスの大統領の3人だけだったとか。。。
カダフィー:リビアに赴いた国家元首はブレアをはじめ、何人かいるようですが、国賓として自国に招いたのはサルコジが初めてだそうであります。たとえばミッテランはトリポリでカダフィに会ってるけど、あれは隠密作戦だった。核兵器開発断念を声明してはいても、今でも民主選挙制・報道の自由・反政府党などのない、また拷問を国家統制の手段としてる国家の独裁者であるカダフィを国家元首官邸に招くのは、“人権”国家としてはサルコ・フランスが始めて。
カダフィは、400名からなる訪問団を引き連れ、これは確認取れてないけど、ベドウィンの夜営テント、さらにはラクダまで大型軍用機に乗せてやってきたらしい。フランス滞在8日間でありますね。
サルコがカダフィに売りたいのは、エアバス21機、買い手の見つからない戦闘機ラファル14機プラス軍用ヘリコプター35機(いずれもサルコに親しいダッソー社製品)、“海水を淡水化するための”核原子炉が一台かそれ以上、ことによったらウラニューム隔離装置、もちろんメンテナンス込みであります。
中国での契約については、(今はホノルルでマラソンしてるはずの)日本のネット軍事評論家である神浦さんが書いてましたけど、ありゃ危ない。
こうやって考えて見ますと、サルコ外交のアウトラインが見えてきます。ブッシュ・チャベス・中国・プーチンロシア・アルジェリア、そしてリビアだ。
なんか、ネオ“悪の機軸”的ですが、共通項はそう、、オイルと天然ガスでがす。ちなみにリビアはアフリカで二番目の原油・天然ガス産出国。
サルコジがエリゼ宮にカダフィを迎えた、12月10日は、世界人権宣言の日です。
でもって、ラマちゃんがんばれ、がメインテーマのはずのこのエントリ、ラマちゃんがんばれ第二章は、ラマ初期語録もつけて明日の夜にでも続けてみたい。
なお、セネガル評論家でもあるK夫人からの本日の電話アラートよると、ラマちゃんのフル本名 Ramatoulaye Yade-Zimet のYADE は仏語発音ではヤッドになるけど、本来はヤデと読むのだそうだ。
投稿情報: 2007-12-11 カテゴリー: France | 個別ページ | コメント (6) | トラックバック (0)
Rachida Dati /ラシダ・ダティ 42歳 仏法務大臣: 両親はたしかモロッコとアルジェリアからの移民、11人 後日訂正、12人だって、の子沢山家庭に育ったけどガムバッテ勉強して、サルコジに見出され仏国法務相に就任。
けど、MBA と履歴書に書かれてたのに、実際は単位が足りずに卒業証書もらえなかったんだとか、通常はたしか3年かかる法学メトリーズ(日本では法学修士になるのかな)を、職業経験ありってんで一年で終えてるとか、もともと真面目が看板の仏法曹界では、実際の裁判所での実経験が4年のこの女性への批判が絶えないわけだ。
法務大臣就任以来、複罪被疑者への即実刑・情状酌量なし法改正(peine plancher)、地方の裁判所・労働調停裁判所の閉鎖(調停件数が少ないと閉めるとか、、なんか中古車販売店みたいですね)のサルコジ路線を忠実に実行し、反対する弁護士・判事・書記官までデモ・ストやってる。
中国へのサルコチーム訪問団に、人権担当相のラマ・ヤデ(29歳、着てる服はH&Mが多いそう、夫は社会党の人)が参加しなかったのは、 どうもダティ法務相のリクエストで、それにサルコが答えた結果であったらしい。
口の悪い連中は、ダティ法務相を「プペ」と呼んでる。英語の doll であるね、人形。ヘイ・ベイビー。
今週はかつての親友セシリアに代わり、パリ・マッチ誌(ラガルデール所有)表紙になってるようだが、ちなみに(k夫人情報によると)先週は国会尋問でも着ていたこのピンクの袖なしトラトラ パンサー模様ドレスはディオールだそうだ。靴のコレクションも多数。って、仏国の法務大臣は着せ替え人形ですか?はあ。
法務省ヘッド・スタッフの半分が“プペ”の横暴さに耐えられず、次々と辞任。まずはミッション・アンポシブルを二件(サルコが夢見、ダティが)現実化したんで任務完了、次回の内閣改造では法務省に残らんだろうといわれてる。
あーあ。
このラシダ・ダティが(UMP公認の兼務職で)来年三月の全国市町村選挙では、パリ市七区に立候補する。最初は彼女12区立候補を希望してたらしけど、当選の見込みなしで、サルおやびんはパリでも一番保守な七区にプペ号を任命。でも年寄りの多い七区は保守過ぎて、フランス・モロッコ二重国籍のダティは当選なるか。。。おやびんのお気に入りも苦労は多いよね。明日着るドレスのチョイスとかさ。
パリ市では、ドラノエ現市長を中心に対サル勢力の元気がいい。ドラノエ組、サルコ帝国に拮抗する21世紀のパリ・コミューンたるか。ヌイイに引っ越したヴェルサイユ派サルコチームは、いつまで“うどん屋の鍋=ゆーだけ”政治を続けるのであろうか。
*
翌日追加;20minutes から拾ってきました。アコースティック・デュオla chanson du dimanche/日曜の唄、によるパーフォーマンス、タイトル訳すと“スーパー購買力”ですね。
購買力あったら鉛筆も買えるし、もしかしたら1000ユーロ貯金できるかもしれない、、という極めてパリ・コミューンな唄であります。スト中のパリを訪れた英国人の困惑を歌った petit cheminot も極めて楽しい。
**
あくまで不真面目が売りの左浪人猫屋、現在は、ね式フランス抵抗運動の星who'swho特集を企画中であります。
なお、今週末は絶対、映画 I'm not there を観にいくぞ。
投稿情報: 2007-12-07 カテゴリー: France | 個別ページ | コメント (6) | トラックバック (0)
道行く人々の表情は暗い。天気も暗い。今は風が出て雨も降り出した。12月だ。
明日のパリは最低気温5度、最高が10度だそうだ。うちのアパートは集中暖房ががんがん効いているから家にいる分には寒くはない。ラジエーターのバルブを閉めても寒くないくらいだ。幸せというべきか、、、でも年末にやってくる管理費代が、、、予想できずに恐怖する。
今年の末はプレゼントも外出もパーティーもナシになるのかあ。さびしいなあ。
今日の午後は一週間ぶり、プールに行った。冬のプールは人気もなくて、暗くなりつつある外の光と、プールサイドの明かりで水の中が不思議な具合に明るくなる。
いつものパターンをゆっくり繰り返す。1500メートル。寒くて、硬くなってる身体がしだいにほぐれていく。
クロールばかりなんだが、それでもゆっくり手先に意識を集中してみたり、ローリングを抑えてみたり、スクロール回数を数えてみたり、いろいろやってみる。
ターンを、なんていうんだったか、回転してみたら失敗したり。鼻に水、イテエ。
週一や週ニのプール通いでは、タイムはよくはならないなあ。でもなんとなく、水のつかみ方とか、水の中での身体の動かし方がスムーズにできるようになった。もう5年もクロール一本で泳いでいるのだから当たり前か。。
今頃分かった、のはクロールって背中で泳ぐもんだということ:マノドゥーやポポフが泳ぐと水の上に浮いて進んでいるように見えるのは、背筋のせいなんだよね。つまり、水の中でスクロールする両腕の力が強いから身体が浮くんだ。そしてそれだけの肩と腕の力を出すのは背筋なんだね。
自分の身体は大体こっちの服サイズのSなんだけど、この頃はTシャツはフランスサイズでL、米サイズでM。まあ、腕の短いのは変わらないんだけど、肩と首と背中に筋肉がついたから、昔の上着では肩が浮いてしまう。下半身のほうは、20歳のころと(ウエストは別としても)ホボおんなじSサイズだ。
ただ、やっぱり左腕のスクロールがまだ弱い。鏡の前でポパイスタイルしてみると左上腕の筋肉が右腕に比べると貧弱なので分かる。
でも、パドル使って150泳いでもそんなに息が苦しくなることはなくなった。泳ぎながらモノを考えていると何回めのターンなんだかすぐ忘れるのは直らない。
まあ、泳いで、あと(喜び勇んでワイン飲みながら料理を作ってから)食事がうまく食べられて、来年の夏にはまた南仏の青い海で遠泳したいなあ、と海のにおいを思いだして、簡単に私は幸福になる。
投稿情報: 2007-12-01 カテゴリー: Privé / 私事 | 個別ページ | コメント (1) | トラックバック (4)