I'm Not There、最高でした。とにかく楽しい映画。なんと、6人の俳優が入れ替わり立ち代り、ボブ・ディラン伝説のあちゃらこちゃらを、それぞれ違った画像で組み立てていくんですね。映画・映像としての完成度について、 なんだかんだ言っても始まらない。愉快にむちゃくちゃです。
まあ、ディランを知らない人、あるいはディラン・オタクの人が見たらどう思うんだろうか。これはわかりません。
アタクシとしては、ブロンシェットの演じたディラン=Jude と 英国俳優ベン・ウィショーの演じたディラン=アルチュール・ランボーの白黒部が大好きだし、少年マルクス・C・フランクリンのディラン=ウディが、古びたランチのポーチで2人の爺さんと歌うところと病院で死にかけてるウディ・ガスリーを訪ねるところがグッときた。
スコセッシのNo Way Direction Home や、ぺネベイカーの D'ont look back を何回も見た連中にはもう、キターーーー!!としかいえないようなシーンが満杯です。きゃいん。
ただね、猫屋的にはSlow train とかちゃんと聞いたことがないせいもあるんだろうけど、born again 時代とか、リチャード・ギアの演じるディラン=ビリー・ザ・キッドの部分は、ちょっとダレた。これはしょうがない。ディランはあのとおり、千の顔を持ち、千の声を持つ。でも彼のどこかが、そう、あなたに手袋のようにぴったり来るんだ。
ブロークン・バックにでてたへイス・レドガーのディラン=ロビーの、スーズとサラを一緒にした彼女・奥さん役を、なんと、シャルロット・ゲインズブールがやってる。彼女よい。I want you にかぶる映像最高(ところでシェルロット、母親ジェーン・バーキンに似てるのはあたりまえだけど、パティ・スミスにも似てるぞ)。
アルバート・ホールでのアネクドットだとか、アシッド状態の彼が公園に突然現れるBXXXXと戯れちゃうとか、エレクトリックに寝返ってファンに嫌われるとことか、ゲインズバーグやファクリーとか、BBCのインタヴュアーとか、ボーナスだらけの映画です。おまけに音つき。
ビリー・ザ・キッド部の映像は凝っててファンタスティック。でもキッドだけで別映画作ったほうがよかったかもしれない。そんな気がした。あと、バエズ役のジュリアン・モアは、申し訳ないけど、よろしくない。
レイモン・クノーの小説、Exercice de style みたいに、いろんなテクと俳優とが試されている。最初に書いたけど、ブロンシュのセクシーさと、尋問されるウィショーのアルテュールの純粋は、美しい。
奇妙なordinary people/普通の人々を、ロングなトラベリングで撮ってるところは、ウォーカー・エヴァンスの写真を思わせる。おまけに人々は動いてるんだ。
あああ、ディランは女たらしで、嘘つきで、気まぐれで、ジャンキーだったり、とにかくとんでもない人間なのだ。そして詩人で、彼はボブ・ディランなのだ。
1961年生まれの監督、トッド・へインズ(Todd hayes)が作ったこの作品は、ボブ・ディランに関する極めて個人的な映画です。私たちにできるのはただ、個人的にこの映画を楽しむことだけなのです。
エンディングでは、相棒と一緒にライク・ア・ローロング・ストーンを上機嫌で歌ってしまいました。
前回のと同じだけど、トレイラー貼っておきます。
アップありがとうございます
私は80年代に中年ロッカーとしてのボブ・ディランを聴いてた程度なので、師のライフ・ヒストリーについてはほとんど知らないんです。
幸か不幸か私の地元で観られるのは当分先のようだし、スコセッシの『ノー・ディレクション・ホーム』あたりで予習しておかないと楽しめないでしょうかねえ。
シャルロット=JB=パティ・スミスの相似性については私も思ってました〜
投稿情報: imasaru | 2007-12-19 03:03
こっちは朝マイナス5度ぐらいで凍ってます。
スコセッシの映画タイトル間違えてるね、いいかげんなファンだ。。。なおしときます。
あの映画、インタヴュ盛りだくさんで長い。ライヴのところはいいんですが、ついでにアメリカ現代史をやっちゃってるからちょっと疲れたりもします。D'ont lood back のほうがステキです。いい加減さが今回の映画にちかい。ちなみでブロークバックでかわいそうな奥さんやってた人が、ここではファクトリーのファンキーおねえさんやってます。
独り言:カルラのBF歴読んでビックラ、億万長者とかケヴィン・コスナー、クラプトン、リチャード・ベーリングはじめ、元亭主の父親とか。。。サルコは英語勉強して次回はケイト・モスにアタックしてほしいです。いやパリス・ヒルトンのほうがいいかなあ。。ではでは。
投稿情報: 猫屋 | 2007-12-19 11:05