何しろ複雑系がパニックしてるわけで、アタクシのような金融・経済・ジオポリ・数学オンチにはもちろん俯瞰的読み方なんぞできるはずもないのだった。
で、“危機” の原因-結果、時間的流れ、多数ある理解と解決策へのアプローチの紹介について書くことは断念(陰謀説法型アプローチは可能だろうが、これはアタクシの方法論に反するのだ。← まあ、これは趣味の問題と言ってもいいが、ここいらへんが猫屋のエティックなのだ。)
でもって、今日はいくつかの断片についてのリンク集です。現実とは細部の集まりであり、それらの細部間のテンション、あるいはヘーゲル風にいえばそれらの間に存在する矛盾が一定限度を越える時に、大いなる変化が起きるわけだ。ネットには膨大な情報が転がっている。拾い読みです。
まずは
High Frequency Trading(HFT)/ハイ・フレコンシー・トレーディング
右の図は7月27日のナスダックでの売買の動き:07-27-10 NASDAQ "Blotter". One of the more unusual repeating Asksize cycles. だそうです。
アタクシに分かったトコだけ説明いたしますと、たとえばニューヨーク・エクスチェンジにおいては80パーセント近くの株売買がHFTによって行われてるんですが、これは市場近くに設置されたメガバンクのハイパーコンピュターを使って、高度アルゴリズムで構築されたプログラムに沿い、株売買を行うというもの。この株は上がりそうとチャートが示したら、高速度で集中買い、あるいは売りをかける。
このシステム自体が、一般人の株投資家(たとえば猫屋の生きてる御先祖=父)やメガじゃない普通の投資銀行と、巨大な資金つまり巨大コンピューターと超数学オタクを多く抱えるメガバンクとの間に大きなハンデを作ってしまう。
いかに早く正確な情報を得るかによって、すべてのスペキュレーションの敗者・勝者を決定するのは世の習いだとしても、ある意味で現在のテクニックは、敗者と勝者の格差を大きく拡大してしまったのだとアタクシは思います。
しかし話はそれだけではなかった。さらに上手があるらしい。
このHFTをうまく使うと法に引っかからない株価操作ができるという説です:HFTは11秒間に15000のオーダーを出すことができる。で、まずはある価格ラインに買いあるいは売りのオファーを出して即オーダーキャンセルする。つまり市場のレジスターに実際の売り買いが記録される前にキャンセルするんだが、大量のオファーは価格取引を引き上げるんですねえ(あるいは逆)。15000のこの偽オファーは価格想定を約10パーセント引き上げ(あるいは引き下げる)そうです。で、マシンは上がった(あるいは下がった)あとにリアルな売り買いをする。結果10パーセント儲かる:ウマー。この10パーを性懲りもなく続けたら、結果はもちろんメガバンクの膨大な利益ですね。操作過程と売買のスピードのため、インサイダー取引の疑いはあったとしても、証拠はどこにも見つからないと言う新手です。
アタクシの理解が正しいものかどうかは、自慢じゃないけどまったく眉唾なんですが、いずれにしろ上のや、他のグラフィック・パターンは、アタクシの知っている人間判断が作る線ではないぐらいは分かります(どっちかってゆーとフラクタル)。
人間と言うのは変なものを発明するのだが、でも、これって(銭儲け以外)何の役にたってるんだろうか?
えっと、以下のゼロヘッジではちゃんと説明がなされている(はずなんですけどわし分からん)。英語です。
ゼロヘッジの元ネタサイトでグラフィック・パターン拡大図画がいろいろ提示されてます。nanex.netから:Crop Circle of the Day - Quote Stuffing and Strange Sequences
フロリダの怒ったおにいちゃん解説ヴィデオも貼っておきます(しかしBBC英語になれると米語聞きはちょっと辛かったりしますが)。
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中国シャーク・ローン
こっちもメリケン英語ですが中国の不動産バブル内で大いに活動してるらしいシャーク・ローンの話題です。yahoo ! financ から。このヴィデオは貼れないので下のリンクからどうぞ:なおポンジーとは“ねずみ講”なり。マードックのデリバティヴ中国版です。まあこちら仏国での中華の方々も出身地系のコミュニティ内で資本を現金で貸し借りしてますからその延長でもあるかな(なおパリ13区や20区のチャイナタウンには銀行がやたら少なくATMも当然なくて困ることが多い。)
Shark Loan Phenomenon: China Watch*
クルッグマン教授とデプレッション
米語聞きに疲れたので、今度は読みです:7月27日のクルッグマン教授NYTコラム。教授もちょっと語調が変わってきました。ドルを刷っても刷っても、景気の回復(少なくともそれに見合ったGDPの上昇はないし、失業率ばかりが上がって)はやってこない。リセッションではなくデプレッションというボキャを使ってる:やばいね。最初のは1873年、2回めは1929-31なんだそうですが、今回の危機は2007年のサブプライムに始まってるからNo2との比較で言えばそろそろ大詰めに近づきつつあるのかも。。。コワー。
これはアタクシのかかった外科医(歴史オタク)の言なんですが、ひとつの“帝国”が崩壊するまでにはだいたい一世紀かかるんだそうです。合衆国の怖いところは住民の多くが銃砲を所持しちゃってることと、輸出物としては借金のほかには軍産力ぐらいしか残ってないことだ。クリントン時代にはライセンスを売り物にしたかったけど、それもポシャッタから金融にフロンティアを探した。その流れで考えると、生産・金融ともあかん現時点では、ダントツの軍事力を行使して世界の傭兵役に活路を見出す路線も想定できます。その意味ではイランのラインが非常に焦げ臭い。
以下続くはず。。。