新聞はもうカナール・アンシェネしか買わないし、いままでは掃除とか料理しながら聞いてたラジオのフランス・アンフォも、やたらアナウンサーがうれしそうに“ニコラ・サルコジ”と連呼するので、すぐスイッチオフ。TVカナル・プルスも、結局は株主のプレッシャーに転んだんだろう、ギニョルもパンチが失せてしまった。
ル・モンドの編集上部にはサルコ派アラン・マンク(もとミッテラン取り巻きの一人)もいるわけだったりして、多くは期待できない。リベだって、廃刊を逃れたのはエドワード・ド・ロチルドが大株主として名乗りを上げたおかげなんで、これではジョフランもおおっぴらに社会党支持を打ち出せない。(案外、ウェブ紙面読者とのチャットでは言いたいこと言ってるけど)。
とにかくTVは、M6のヌーベルスターは見逃さないんだけど、あとはアルテとかでやってる映画(注)とFR3 のちょっと毛色の変わったトーク番組Ce soir ou jamais 、ギヨーム・ドゥロンの文化系 Esprits libres とか、FR2のOn n'est pas couché も気が向いたら見る。注:ガス・バン・サントのエレファント、ジェリーをもういちど見た。オレンジメカニックも久しぶりに見て関心したりもした。なおカンヌで上映されたガス・バン・サントの新作Paranoid Park 、フランス資本で作られたんだそうですが、よさげ。なおカンヌ上映映画トレイラー集はここ。なお、期待されたZodiacですが、見た友人の伝では駄作だそうだ。
こないだ日曜夜の政治番組France Europe Express ではバイルーがメインゲストだったんで、ちょっと見てみたけど、バイルーの落胆ぶりと司会のクリスティーヌ・オクラント(現外務相夫人)の歯切れの悪さに滅入ってすぐ消した。FR2 の夜のニュースなんて、まんま全体サルコ・コマーシャル。プジャダス(小男)もやたら張り切っちゃってオヤビン持ち上げっぱなしで、見られたもんじゃない。
というわけで、ブログ書くネタ不足なんです。で、アタクシが何やってるかというと、ツィガン君の応援と(冗談ですってば)、買ってきたスティーヴィー・ワンダーのCDを聞くことぐらい。
ああ、そうなんですよ。我らが世界に足りないのはこの明るさなんですね。この喜びなんです。身体の内側からフツフツ沸いてくる無垢の pleasure / plésir なんす。
と、フナックの入り口近くに、モータウンの新版CD(5枚で100曲)が並んでいて思わず買いそうになったけど、あんな昔の音集めただけで39ユーロって、ちょっとひどいよお。
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と、モータウンってのはですねえ、モー(ター)タウンと呼ばれたデトロイトの自動車工場で、単純作業してる黒人工員たちが、こんな安い賃金でやってらんねーよーと言いながら聞いてた音楽なのね。テーマは簡単、love & sex であります。しかしなんとも、シュープリームスとかマービン・ゲイ、ジャクソン・ファイヴに、そそそそう、スティーヴィー・ワンダーもここから出てきたわけだ。こうなると風俗を越えた、プロレタリア文化といえる。(マイルスやディラン、キューブリックは言うに及ばず)あのころの米国には文化があったんです。
米国自動車業界不振のもたらした社会問題は、もうだいぶ前ですが、マイケル・ムーアが Roger & Me で描いています。Toyota 世界進出で一般化されたコスト・カットの究極である無人工場の現代には、もうプロレタリアートはいなくなっちゃったわけで、ネオ“ルンペン・プロレタイアート”の我々には、モータウン・サウンドが極めてノスタルジックにうれしいのかもしれません。
(直接関係はないんですが、少なくともあの時代にはAutomutilation という症例は少なかったんじゃないかと思う。母親を切り刻む息子とかって、そうでしょう。)
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結局のところ、シラク元大統領はボルテール河岸のルーヴルが見える180m平米のアパートに引っ越したそうですが、このアパートの持ち主は暗殺されたレバノンのハリリ首相の息子(現在サウジ・アラビア在住)。一時的に提供(?)されたんだそうですけど、シラク夫妻入居にむけて半年かけて全面改装したんだって。豪勢ですねえ。ネタモト
レイバン・サングラスにプラチナ・ローレックスがトレードマークのピーポー仏新大統領(この頃の噂では164cm説があがってますけど)の資産はキャッシュだけで2ミリオン、つまり3億3千万円だ。あとはヌイイの自宅と、自分の名がついた弁護士事務所があるんですからかなりなもん。おまけに、今は仏大統領職に付随するジェット機、自動車+運転手、エリゼ宮、数戸におよぶ別宅。。。シラク大統領は大統領就任期間に大統領官邸費を800パーセント増額しちゃったんだそうで(なぜか監査はないんですよエリゼ宮)、サルコはシラクに足向けて寝られないわけだよ。。参照:サルコジとマネーについての長い記事。
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今のところフィヨン内閣は(とは言うものもサルコ・オヤビンが全部一人で決めるんだろうけど)、エコロジー関連、労働団体をはじめ多くの人間と“対話”、具体的政治政策内容のプランはまだ出していない。言うだけ聞くだけってタダなんだよ、諸君。
きつい法改正(高額所得者に甘い減税、移民に辛い移民法、労働者にイタイスト権法)とかは6月の総選挙が終わってから、一挙に雪崩れ式(夏休み中)議会通過のつもりであろう。貧乏なフランスの皆さん(このブログ読んでないだろうけど)ちゃんと選挙に行きましょう。
大株主の友、リーガン・サッチャー式国家改造を夢見るサルコジ164号は、金の前にはみな平等、というフランスを築こうとしているわけだ。そこでの文化とは映画ブロンゼとジョニー・アリデーとスパイダー・マン。ケ。
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以下は、フィヨン内閣に果敢として乗り込んでいった、ピエール神父のエマウス後継者にしてENA(国立行政院)出のマルタン・イルシュのル・モンドインタヴューです。あとで訳して別エントリとしてアップするつもりなり。