いや、この映画The Social Network 、実際ちゃんと金を払って映画館で観る価値がある。多いにある。Facebookユーザーじゃなくても、いや、インターネットあるいはコンピューターを使ったことのない人間にもこの映画は勧められる。なぜなら、最新ネット現象を材料としながらも、映画のほうは極めてクラシックなつくりで、そのテーマはITビジネスじゃなく、そこでうごめく人々の関係性自体だからだ。
1. パルム・ドール受賞のタイの監督アピチャッポン・ウィーラセタクンの「LUNG BOONMEE RALUEK CHAT /ONCLE BOONMEE CELUI QUI SE SOUVIENT DE SES VIES ANTERIEURES」 仏語訳のタイトルを直訳いたしますと『前世の命を思い起こすボンミー親父』となります。いつか紹介したデュラス原作の小説をユペール主演で映画化した『太平洋の防波堤』に描かれていた時間空間の延長なのかもしれない(見ないとなんとも言えませんが)。あの湿気と虫さんが一杯のジャングルに住む、生者と死者と動物と植物と聖者の話のようです。ガルシア・マルケスの語った魚の振ってくる話なんかに似てるのかも。。。いや、分からん。こりゃ見てみたい。
2. グザヴィエ・ボーヴォワのDES HOMMES ET DES DIEUX/ 男たちと神たち。現実に起こったアルジェリアでの修道僧殺害事件を元にボーヴォワが作った映画です。8人の僧は、危険がやってくることを知りながら僧院を去らないと言う決断を、長い討論とメディテイションの末決める。(だが、事件を知る私たちは僧たちは殺害され、のちに彼らの首だけが発見されることを知っている;あとの体は見つかっていないし、実際の殺害者が誰だったのかも分かっていない。)
4. 審査員賞を取ったのが、チャド生まれののMahamat-Saleh HAROUN 監督によるUN HOMME QUI CRIE / 叫ぶ男。チャドの一流ホテルで水泳インストラクターを務めていたアダムは、ホテルが中国人に買い取られ職を失う(その後任は自分の息子だ)。かつてチャンピオンだった彼は、職を求め内戦化のチャドを回る。
プライベートジェットでニューヨークから帰ってくるアダム・ラングを、作家は秘書のアメリア(Kim Cattrall), ラングの美しい妻ルース(Olivia Williams)たちとともに迎えに行く。ジェットのタラップを降りたラングは作家に向かって、Hello, who are you ? と声をかけるんだが、作家は、I'm your ghost と答えるんだね。影のライター、ゴースト・ライター(フランス語ではネーグル)のことなんだが、これは映画の結末に向けた伏線でもあるんだ。
話は、19歳の読み書きもできず身よりもないアラブ系フランス人の若い男
Malik El Djebena
が、重刑者を多く収容していることで名高い刑務所 Centraleに送られるところから始まる。6年の刑を“勤める”ためだ。マリックがどんな罪を犯し、この刑務所に送られることになったのかは語られない。この過去のない若い男マリックは、身体検査を受け、衣服を与えられ、何重にも背後で閉められる扉の重い音と鍵束の音を背後に聞き、やがて囚人たちの叫び声が聞こえる独房で始めての夜を迎える。「いったいお前はどれだけの間耐えられるんだろうか」と、独房のベッドに横たわったマリックは自問する。。。