昨日の夜11時過ぎに、金融メモを続けようといろんな関連記事やブログ読んでたら、フランス株式市場監査するAMF(米でのsec にあたる)が、15日間パリ上場の金融および保険会社15の株に対する「空売り/ショート・セリング」を禁止すると発表。
これはEMSA(欧州株式監査機関)との合意の下に決められ、スペイン・イタリア・ベルギーもそれぞれの市場での「空売り」の一時的禁止を発表。(ドイツはすでにメルケル首相の単独決定で禁止されてる)。
説明しますと、「空売り」あるいは「ショート」「vente à découverte」とは:持ってない株の値下がりで儲けようと、A社株(たとえば一株1000円の)を大量に誰かから借りてきて即売ります。大量なウリが発生しまして株価がドット下がる(たとえば500円になっちゃう)。この500円になっちゃったところで、借りてた株をやっと下がった価格で買う。結果500円×株数が儲かるわけ。naked short なんて曲芸もありますが。
2008年のリーマンショック直後には、米国・英国・欧州でもたしか翌年2月ぐらいまでだったかこの「空売り禁止」が実行されてましたが、御存知のように株価劇落を食い止める大きなストッパーとしては機能しなかったという評価があります。
AMFの「空売り禁止」決定を受けて、FTが即批判記事を掲載、フランスのビジネス・スクールEdhecのアブラハム・リウイ教授の意見「これは、かなり危ない事態が起きているというシグナルを市場に向けて示すことになり、最悪の選択」を載せています。
なおEUメンバーではあるがユーロゾーン外の英国は(今のところ)この「空売り禁止」をする移行はない模様。。。
かなりの神経戦が展開されてるわけ。
参考
AMFが「空売り禁止」対象の15金融企業リスト:April Group, Axa, BNP Paribas, CIC, CNP Assurances, Crédit Agricole, Euler Hermès, Natixis, Paris Ré, Scor et la Société Générale
ル・モンド:France, Espagne, Italie et Belgique restreignent les ventes à découvert
FT記事CNN版:Short selling ban lifts bank shares
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このAMFの発表(AFP電)に先立って、昨夜のフランス金融系ブログとフォーラムでは、今回の仏国債と銀行(ソックジェン、翌日はBNP)に関する噂は英国発で、これはフランスとユーロをターゲットにシティが仕掛けた攻撃だ、という意見が広まっていました。
つまり、
ソシエテ・ジェネラルが倒産?と言う記事を最初に出したの誰?デイリー・メイル
ドル市場に続き、ユーロ市場が痛手を受けて一番得するのは誰? シティ
という流れ。
今日のル・モンドが関連説明記事を出しています。これによると、ル・モンド紙がバカンス時の読み物として掲載しているフィクション:ユーロが消滅する日、というシリーズ連載を事実ととった英タブロイド紙が、ネット版に「ソックジェン倒産間近」と報道。その内容がツイッターでシティの株関係者に拡散。それを大手専門誌が話題にした。というのがル・モンドの説明です。(猫;あー疲れた)
参考ル・モンドから
Société générale : la rumeur, l’autre rumeur... et "Le Monde"
"Terminus pour l'euro", l'intrigante série du "Monde"
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買い物とストレッチと夕飯、ネット探索を終わりまして再開です。
本日のパリ市場CAC40は4.02パーアップで終了、続くダウジョーンズ・ナスダックも0.91と0.47と上げ幅は少なかったですがマイナスではなかった。昨日の欧州「ショートはだめよ」作戦がイットキだと思いますが効いた。
長期的にはこんなブリコラージュで現在進行形の金融危機を乗り越えることはできないでしょう。しかし、あの介入がなければソックジェンは欧州でのリーマン・ブラッズになっていたかもしれないわけで、かくして“闘争”は続いていくのです。
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いくつかクリップ。
The Economist :The global debt clock 世界中のの国家負債額総計金額と各国ソブリン債マップです。各国にアポイントしますとその総額や内容がポップアップします。
ここんとこ(なぜか)光ってるウォールストリートジャーナルから、
なお、右画像は本日のWSJ本家ネット版の第一面。ルビーニ教授インタヴュー記事のタイトルがなんと「マルクスは正しかった」。。。。なんとなんとWSJがマルクスを語る時代なのですよ:ジョリオンブログから拾った。
ルビーニ先生のインタヴューヴィデオはこちら。←イスタンブール生まれのイラン系ジュイシュで米国在住教授の英語は、東京下町生まれ米国口語習得後、在仏26年のアタクシには分かりにくいザマス。
ロイターから:再送:米バンカメ、最大622億ドルの住宅ローン買い戻し迫られる可能性=調査会社
次はあのクルッグマン教授のNYTコラムです。
仏語版(ベルギーの新聞):Détournement de crise
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この戦いはまだまだ続きます。金融危機は当初から経済危機・社会危機を各地で巻き起こした。
ロンドンのトッテナムから始まり、マンチェスターやブリストル・ノッティンガム等の都市に広がった“略奪暴動”に対しキャムロン保守政府は強い態度で応酬。フランスでの2005年バンリュー暴動例にならい、即刻裁判・ゴム弾使用・放水車出動など、さらに軍隊派遣までを発表しています:これは1980年代のサッチャー・ゴリゴリ保守政権政策リメイクだ。
11歳の少女や12歳の少年も連行され、タブロイド紙などは略奪写真を手がかりに市民からの犯行人身元判明報告を募っています。(←これって昔“密告”とか呼んでなかった?)
アタクシがこの英国発ニュースを読みながら心配するのは、たとえば地元の(アルコール度のあがった)自警団が“略奪少年・少女”を金属バットやその他の道具を使って追い払い、それが乗じれば市民戦争にもなりかねないと言う点です。
2005年のフランス・バンリュー暴動も2008年のギリシャでの騒動も、初めは警察による青少年殺害から始まりました。今は治まっている仏郊外ゲットーですが、あそこではいまだ何も変わっていません。とくに若年層の高い失業率、かつてあった公共・民間施設(警察署・店舗・体育館・医師)の撤退、そしてドラッグ密売の増加です。フランス郊外のゲットーには略奪するべき店舗がなかった:バンリュー“暴徒”が燃やしたのは隣人たちの車と、ただひとつ残っていた国家組織である学校だった(6年後の英国“暴徒”はより“消費型”だったですね)。
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社会的暴力
今すぐ思い浮かべられる例だけでも、チリでは学生たちがデモとストを繰り返しています。←チリ、教育改革求める大規模デモが暴徒化
イスラエルでは(中東の春の影響でしょう)、物価高に苦しむ市民たちが反政府デモを繰り返しています:テルアビブでは30万人集まったそうだ。
シリア・イエメンでは多くの死傷者数にもかかわらず、大規模のデモが続いています。
エジプトでもタハリール広場で抗議集会がまだまだ続けられている。
米国ではフードチケット(あの配給券)総数がどんどん増加している。
半面で、金相場はオンスあたり1800ドルを越えた。ビルゲイツは今夏も地中海をあの大型ハイテクヨットで回っている。パリの不動産価格は上がるイッポウである。
そして、ソマリア・ケニア等の東アフリカ諸国では子供たちが食べるものも、飲む水もない。
日本の避難地域では、90歳代・100歳代の爺婆が首をくくって死んだ。千葉では、離婚したシングルマザーが1歳の赤ん坊を部屋に閉じ込め、死なせた。同じ千葉では、若い夫婦が2歳10ヶ月の長男を餓死させた。父親は無職、子供は3人:父親は「猫の方がかわいかった」と言ったとか、「猫と同じぐらいかわいかった」だったとか、、、(猫的疑問;無職で猫買って子供3人作るか?)
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占めは先日、日本のtwitter で見つけたトゥイット:国民に求められているのは愛国心ではなく国家に忠誠を誓うことだ。(neko;まじに?)
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