これ、昨日の夜(8月10日)書き始めて終わらず。そのまま寝ちゃったので目指した内容のの半分ぐらいなんですが、ひとまずアップします。ロンドンに始まった英国暴動のこと、また他の地でも次々に起きている抗議運動、日本での「暴力」とかについても今夜あたり「その2」として書いてみたいと思います。
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しかしいったい、何が起こっているのか。
無理やり答えれば、システムが崩壊してるんだよ、になるんだろう。5ヶ月の間、日本の地震と津波と原発事故および放射能問題の連鎖危機にすっかり気をとられている間に、2007-2008年に始まった金融危機がさらに拡大して再び世界メディアの第一面を占めるようになった。
同時にロンドンで火がついた若年層の暴動が、英国各地に広まっている。
何しろ、いろいろなことが地球上のいろいろな場所で、同時に、あるいは連鎖的に起きているから、こちらの考えをまとめることもできない。
てなわけで、まとまりのない書きっぱなしメモです。
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5日のS&Pの米国国債ランク引き下げ(AAA からAA+)以来、日曜日のテルアビブをかわきりに世界の株式市場が大幅下げを続けている。クラッシュ、つまり暴落とは数日で20パーセントを超える下げをさすんだそうである。
1987年の暴落では一気にたしか27パーセント(WSt)さげてるが、その後の株価回復も案外早かった。それに比べ今回の連動は、1987年以来世界株式市場のIT化、世界金融のグロバリ化、さらに金融システム自体の複雑商品化(=ギャンブル化)も猛烈な速度で進んだから、歯止めがない。津波は世界を駆け巡り、おまけに雪崩のように規模を大きくしていく。
バーナンキ(FED/FRB)が、QE(量的緩和)3をしない旨宣言し、同時に2013年まで今の低金利(早い話がかつての日本と同じ0金利)と語った。こういったのは他に言えることがなかったからだ。
QE1もQE2も、さしたる効果をもたらさなかった。現在の米国失業率はたしか9.6パーセントで高止まりしているが、職探し(あれは金もかかるし、精神的にもかなり重荷)をあきらめた人口が多いと想定できるし、実際の失業率はもっと高いはずだ。
イラク、そしてアフガンでの軍事出費に加え、産業空洞化があり、IT系ライセンスでも韓国・中国追い上げられ、(クレジットを含む)金融産業の開発で局面を打開しようとした。だが、低金利と量的緩和でだぶついたキャッシュ(+リバレッジ)を使って、これまでのように巨大な利益を計上できないメガバンク・ヘッジファンドはますます複雑化した金融商品に、あるいはますますリスキーな市場に投資するようになった。
今起こっていることは、2007年夏に始まったサブプライム問題と2008年のリーマン・ショック以来の危機の延長であって、別口の金融危機ではない。というか、2008年以来の米国経済回復が単に数字上のものでしかなく、実質的な景気復帰を許す基盤はどこにもなかったんだ。
きのうオバマは「米国にはAAAの価値がある(=S&Pの評価は正しくない)。米国にはこの危機を乗り越える力がある。我々はこの危機を乗り越える方法を知っている」と宣言したそうである。これ、エヴァンジリストの説教ですか?
2005年1月に米国大統領に就任した時点で、オバマは米国金融システムの大型再編成をなすべきだった。上下院とも民主党が過半数を占めていたあの時、国民の大きな支持をバックに大胆な政治内人選を行い、米国の株式・金融業の大幅な“汚染除去”を進めていれば、こんあことにはならなかっただろう。
だが、バラコバマはクリントン政権時の金融チームを招聘し、クリントン(男の方、ITバブルの責任者)政策をそのまま続けてしまった。あるいは、クライアント(ロビー=政治献金元)に忠実な政治をしたにすぎないのか。。。
と、書いててため息でちゃうわけですが、実にドルは世界の基軸通貨でありまして、困ったもんだ。
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こちら欧州もひどい。
きょう10日は、昨日の株価安定で一息ついたところを、フランスがAAA評価を失うと言う噂が流れ、それからギリシャ金融に大きく投資しているソシエテ・ジェネラル(ソックジェン)支払い不能の噂も流れ、金融系を中心にパリ市場が大幅に下げた。ソックジェンの下げ率は一時21パーセントにまでなり、政府はパニック。お大統領もお休暇を切り上げパリに戻り、エリゼ宮に金融業社お偉いさんをお招集されたとか。
ジャック・アタリによると、S&Pが米国に関するレポートの中で「USAに続いてAAAを失う可能性があるのは、財政赤字率の高いフランスだろう」と書いたから、だそうです。ホントかね。参考;ル・モンドのアタリ・インタヴュー Jacques Attali : "La France est explicitement désignée pour perdre son AAA".
ま、仏国貧乏市民にとっては、さらに厳しい現実が待っているのでしょう(目線の先は英国です)。緊急財政引締めは今日すでに発表されましたが、来年度大統領選挙をひかえ、現大統領支持層の(ネット読まない)年寄り+小金持ち+中金もち+大金持ちを対象とした増税あるいは援助・減税カットは自殺行為だからしないだろうし、ルペン支持層を狙った、若年層+移民への圧力を増してくことは目に見えている。
このところ仏国国債CDS(まあ、要するに不払いよけ保険)レートがすごい勢いで上がっていて、一面では仏国の財政状態・産業生産性の悪化は明白なんですが、比較の問題では英国の状況の方がもっとキツイんじゃないか。メガバンクやヘッジが、仏国の弱みに目をつけてあることないことリーク、対仏攻撃態勢にはいった観あり。
それって「陰謀論」系の筋書きでしょ?ってお思いの方もいるかと察せられますが、今の金融、特に株式・相場というのはあるいみギャンブル場ですから、ポーカーとおなじ原理で動く。おまけにアルゴリズム売買とかS&Pでさえワカランとさじ投げた複雑系金融商品がワンサカあるし、パニック状態の市場では何が出てきてもおかしくないです。
ま、外交で情報局がやってる(と推定される)のと似たようなもんですが、円が対ドルで76円台になって兜町も大幅下げのとき、日経ネットのトップ記事が《[FT]トリプルAを次に失うのはフランスか 》(←猫注:ファイナンシャル・タイムズ・エディト翻訳もの)ですもの:ナニオカユワンヤ。
あわてて、仏政府、それからフィッチ・S&P・ムーディーズ、それから経済紙が噂の否定を発表したんですが、ダメージってのは消せない。ちなみに、マードック事件後かつての元気が見られないWSJに比較してもさらにネオリベ派旗持ちFT(←ちゃんとした記者もいるんですがエディトリアルは臭う)が、偽情報リークし、あとから小さい間違い訂正記事出すのはよくある。でも、それをネット大一面でアップしちゃうニッケイもたいしたもんです。
というわけで、米国債ランクが下がってそのショック波は世界一周し、ギリシャ財政問題発生後もなんら抜本的策を打ち出さないままひたすら時間稼ぎで逃げてきた欧州を襲ったわけです。で、その効果はまた威力を増して大西洋を渡りウォール・ストリートをパニックに陥らせる。
今回の世界金融危機はさらに長引くだろうし、すでに起こっている経済と社会への影響もこれからさらに厳しいものになるだろう。
と、ここまででいったんアップ:以下続く(はず)。
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なお右上の画像、NEVERMIND がリリースされて20年目ってことでネットで見つけた写真。この画像に関してひとつ文章書いてやろうかと思ったけどこれもヤメタ:やたら疲れそうなのだ。
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