うちのアパートに暖房が入った。秋だ。
おとといの夜の嵐で、英国では死者が5人でている。洪水は英国・欧州ばかりではなく、インドでもメキシコ湾でも大きな被害が出た。
地球温暖化にともなう異常気象に対して、これは単なる地球気候のロング・スパンサイクルなんで何も心配することなんかない(たとえばクロード・アレーグル先生の意見)のだとしても、実際に欧州での台風現象を前にして、あるいはバングラデッシュ・インド、ハイチでの大きな被害を目前にして、これは単なるロング・スパンでの気象変化にすぎないと解説してみても、死人は生き返らないのだ。
たとえば、オランダ(仏語でペイ・バ、つまり低いところの国)では大規模な対海水計画が取られて、巨大な防波堤や、緊急時には家自体が浮く(対地震建築と発想が似てる)住宅建築も試験的に行われているようだ。
だが、バングラデッシュや大洋に浮かぶ島々には、なんらかの対策を打とうにも経済力がない。たとえば旱魃と洪水に苦しむアフリカの人口も、農地を捨て、都市部に、さらには海を隔てた欧州に、仕事を求めてやってくる。
しかし、エコロジーは大型企業や政治グループによって、すでに戦略的ストーリー・テリングの一部として内在化されはしたが、エコロジーを21世紀のニュー・ディールとして計画するほどの、政治力は誰も持っていない。
このシステムを動かしているのは、大型企業群であり、あるいは企業としての国家群だからね。構造改革・人員整理。
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アフガニスタンで殺害された10人のフランス兵士の死亡状況に関する、矛盾した報告がいろいろ出てきている。
カナール・アンシェネは、兵士の一人はナイフで刺されており、何人かの兵士の遺体は道沿いに並んでいた。またユニホームや小銃などがなくなっていたと報道。またカブールで仕官が書いた報告書の部分を掲載して、政府のアフガン戦争介入策を批判している。
カナールによれば、サルコジ政府はさらにアフガニスタンに特殊部隊を送る意向だが、米国はフランスに、より多い兵士に加え、ヘリコプター・ドローン(無人偵察機)・迫撃砲・大砲、さらには戦車のアフガン投入を望んでいる。なお、現在のアフガン駐留仏兵は3300。それに加えてアフガン兵教育に当たる兵士が350人。
NATO軍のカナダは、ヘリコプターをロシア(MI-8 八機)、ボーイング(CH-47 Chinook 六機)を借りつけ、また米国とイスラエルからドローンをレンタルしている。英国とイタリアは米国のジェネラル・アトミックス社からドローンを購入予定だ。
米副大統領ディック・チェイニーが欧州とウクライナ・アゼルバイジャンを回ってるが、こうなると、NATO軍拡大ってのは、原油獲得軍それにハリバートンを含めた軍産バーゲン市場じゃないか。。。
パリマッチ誌は、ブルカをかぶって潜入した30歳の女性フリー・ジャーナリストVéronique de Viguerie による、タリバン・インタヴューと写真を掲載している。殺された9人の兵士を襲ったタリバン部隊はフランス軍ユニホームを着用し、仏兵士の時計と銃を掲げている。
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この事件の前に、国家赤字と“軍の近代化”を理由に、現政権は仏国各地に駐屯する仏軍の再編成策をとった。内容は多くの基地の閉鎖。その際、防衛相エルヴェ・モラン(もとバイルー派)は仏国軍の戦車用の燃料が予算不足で戦車も使い物にならないといっていた。
アフガンでの10兵士死亡以来、サルコジとモランに対する批判が高くなっていたんだが、今日はモラン、何をとち狂ったか政府の危険人物リストアップ計画(EDVIGE)を批判していた。いやとち狂ってはいないな。ありゃいつもの“あっちむいてホイ”作戦だよね。ミエミエ。
なお、エドヴィッジとは、13歳以上の“危険人物”をリストアップし、そのリストには、政治・哲学傾向、宗教、病気、人種、性的傾向等々を記入するというもの。はっきり言って、パトリオット法フランス・バージョンである。
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黒海ではNATO軍の船舶17艘が待機している。対するプーチン・ロシアはあくまで力の外交ラインを崩していない。
トルコのギュル大統領はアルメニアで行われたトルコ・アルメニア戦サッカー試合観戦のためにアルメニアを訪れた。
参考:トルコ人作家Ahmet Altanによるクーリエの仏語翻訳記事。Bienvenue dans la société du mensonge
パキスタンのザルダリ新大統領のニックネームは「ミスター10パーセント」:大統領夫時代、公共事業の際ポケットに入れてた(日本語で汚職といいます)金額が10パーセントだったんだそうだ。
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オイル軍産で世界を回すよりは、新しい発想でなんとか切り盛りできないものだろうか。
ラガルド仏経済相は、2008年の仏国成長率は1パーセント前後の見込みと発表した。
アフガニスタンで戦争してる場合じゃないですよ。NATO枠ではない、アフガニスタンへの実のある援助であれば国民も納得するはずだ。米はイラクで懲りていない。マッケインもイケイケ・ドンドン風になってきた。
しかし、今は長期的にものを考えるべき時だと本気で思います(まあアタクシが思ったってどうなるもんでもないが、世界人口の、そう、三分の一でもそう思ったら変わる可能性はあるんじゃないか)。
これはアフガニスタンでジャーナリストに現地の住人が言ったことばだそうだ:あんたは時計を持ってるけど、われわれは時間を持ってるんだ。
いつか、郵便局のコピー機の順番待ちしてるとき、たぶんアルジェリアの人だと思うけど、失業手当書類コピーしてたおっさんはこう言ったよ:急ぐのは悪魔だけだよ。
サルコジがまたモスクワに飛ぶけれど、今回はバローゾEU委員会委員長とソラナ上級代表が同行するようである。これは悪くない。
下のヴィデオは、今月はじめブリュッセルでのEUコンフェランス画像。ちょっと長いけど見る価値あり。タカ派戦闘型多血症サルコをバローゾがやんわり調整してる。モスクワ政府は、グルジア自治地区でやったように、ウクライナでもロシア・パスポートを配ってるって話もあるが、プーチンはスピーディー・サルコひとりで対処できるような人物ではない。
欧州が、単なる米国政府の走り使いになったら、それこそ危ないだろう。国家分裂の連鎖を食い止め、紛争を回避するための欧州連合という枠が、何の意味も持たなくなってしまう。
参考ル・モンドから(ル・モンド国際関係主任による、コーカサスとコソボの違いについての記事):Caucase, Kosovo : le faux parallèle, par Daniel Vernet
8日のリベから、モスクワでの会談についての記事。EUは多極化時代におけるポスト・モダンのソフト・パワー。切り札は外交しかない(これに独自の軍備があればもっと話を聞いてもらえるだろうが)と最後にあります。L’autorité de l’UE à l’épreuve
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