久しぶりに映画記事です。
バットマン新作もカンヌでグランプリとったイタリア映画ゴモラも、映画館で観たのは8月中旬に封切られてすぐだったんだけど、オリンピックにグルジア騒動、それから私的パペラス紛争再開とかいろいろあり書いてる暇なかったのだった。
"Way you are so serious ?"
バットマン・ビギンに続く、シリーズ第六作目です。ビギンがどうも好きじゃなくて、本来ならアタクシ、見にいかないはずが(とは言うものの結局シリーズ6本全部見ているんだけど)、28歳で死んでしまった(オーイ!コノヤロ!勝手に死にやがって、の)ヒース・レジャー最後の出演映画なのである。
封切り初日から3日後の土曜昼前(割引価格)、レアールのシネマコンプレックス大ホールに並ぶ観客たちの列にも、子供皆無。この手の映画にしては年齢層も案外高く20歳代から50歳代まで。なんだか、いつもの封切り新作SF系ウキウキ感もなく、見回すと、なんかヒースの埋葬式を待ってる雰囲気だったよ。
タイトルは BATMAN THE DARK KNIGHT 、暗い夜と黒い騎士をかけてる。ストーリーについて言うことはない。ニューヨーク・タイムスのレヴューも読んだけれど、アタクシには、そこまで911を絡ませて解釈するつもりもない。
子供のころファンだったTVシリーズ・バットマンのあの軽さどこにもない、ただただタイトルの示すごとく暗い映画である。
ブルース・ウェイン(BMの昼の姿)と正義派政治家ハービー・デント(のちにダブル・フェイス)の二人が恋慕する法律家レイチェル(Maggie Gyllenhaal)は、まああれがアメリカン美人スタンダードなのかもしれないが、はっきり言って魅力ないのでしらける。
カー・チェイスシーンではCGではなく本物のトレーラーをひっくる返したんだそうだが、ご苦労様なことです。
で、問題はヒース・レジャーだ。
ネタバレなんで申し訳ないが書いちゃうけど、ジョーカーは子供のころアル中の父親に「なんで、おまえはそんなにくそまじめなんだ?なんで笑わないんだ?」とからまれ、あげくナイフで口を切り裂かれた、という設定である。ああ、ひどい。
それで無残な傷口を隠すため、口裂け少年はジョーカー・メイクするようになる。で、金でも権力でもなく、ただただ“悪=カオス” をゴッダム・シティにもたらすのが生きがいの怪物ジョーカーになってしまう。ああ、あんともひどい話だ。
ハリウッド的には、悪とは要するに psychopath のことだったようです。ジョーカーが、すばやくかつ効率よく他者を痛めつける場面では、こっちの観客は笑っちゃったりしてたけど、これでもかあ、と痛いシーンが続くと笑いたくもなるのですよ(まじに反応してたらおかしくなるもんね)。
ブローク・バック・マウンテンでは孤独なカウボーイのしゃべりを、びっくりするほどうまくこなしていたたヒースだが、この作品でさらにその術に磨きをかけ、おまけにメイクのせいで表情が見えにくいだけ余計、口裂きジョーカーのせりふまわしは凄みの極地となっている。
思えばアタクシ、映画観にいくのは2ヶ月にいっぺんぐらいなのに、《グリム兄弟》 《ブロークバック・マウンテン》 《I'm Not There》 とヒースの映画は4本観てるわけだ。しかしなあ、もうちょっと長生きしてもらいたかった。ジョーカー役はトム・クルーズかブラッド・ピットあたりにでもやらせりゃよかったんだよなあ。。まったく。
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つぎはナポリ・マフィアをハードに撮った映画ゴモラ猫評を用意してたんだけど、突然の来客(厳密に言えば客ではない、単なる居候難民:南仏5人組のうち4人が腹減らして来たので急遽飯炊いてチャーハン作っただけ)でストップでございます。というわけで、一応アップロード。