ル・モンド4月20日の記事です。元となったニューヨークタイムス記事(ウェブで11ページ)は、米国務省がTVジャーナリストをいかに参戦プロパガンダのツールとして使ったかを書いています。
いかに米国政権は国内報道を加工したか
ル・モンド 2008年4月20日これは、8000ページの資料読み込みを基にした、米国プレスと綿密な調査がどう作られるか知っている人間たちが書いた、大河記事である。4月20日のニューヨークタイムスは、多くの米国メディアに雇用される軍事エキスパートとペンタゴン国防省間の、罪ある関係を告発している。当紙のネット・サイトには、それらアナリストの写真が、“嘘製造マシーン”という説明と共に掲載されている。
記事は、何人かのこれらエキスパートのためにブッシュ政権が企画したグアンタナモ・ツアーで始まる。『現代の収容所』(アムネスティ・インターナショナルの表現)スキャンダルで動揺した米国政府は、このツアーに副大統領用飛行機を使用し、オピニオンのリレー役を果たすようになった退職仕官たちに報いた。
これはひとつの例にしか過ぎない。権力と報道コンサルタントの危険な関係を解読する目的で、当紙は裁判所から膨大な数のメール・ファックス・資料の提示許可を得た。それら文献の読み込みの結果、当紙は、ジャーナリストと政権の間を分かつべき一線を越えた『緊密な関係』が存在すると結論づけた。
『テロリズムの扱いを加工する』
国防省の資料は、これらコンサルタントを『メッセージの威力を倍増し』政権の『テーマとメッセージ』を『かれらの独自なオピニオン』であるように流通させる任務を負った『補佐役』と評価している。この関係は、多くの場合極めて具体的なものだ:エキスパートのほとんどが、時としてはメディアにそのことを明かさずに、同時に国防省と契約する軍事企業のために働いている。彼らにとって、たとえば2003年末に行われたイラク・ツアーは、軍備購入の決定者たちとのコンタクトを取り付けるという、極めてまれな機会をもたらした。
タイム誌によれば、このシステムはイラク戦争が準備されていた時期に構築され、以来休まず機能している。目的はひとつのみ:『専門家を、一種のメディア内トロイの木馬と変身させる、つまりテロリズムの扱い方を加工するため、大手ラジオ・テレビチェーンの内側からツール化することだ。』
コンサルタントたちとのコラボレーションに関して当紙からインタヴューを受けた国防省は、つねに正確な情報のみを供給したと弁護している。ドッド・ブライアン-ウィットマン(DoD Bryan Whitman)の広報官にとって、『意図と目的は、米国市民に情報を伝えるというシリアスな試み以外の何物でもなかった。』 彼は付け加えて、退職士官たちが『国防省からマペット人形のように』扱われていたと考えることは『信じがたい』と語った。
訳者後記:もちろんイラク戦イケイケ・キャンペーンにはNYTタカ派コラムニストであるサフィールをはじめ、編集部全体が参加してたわけですが、ここに来てNYTが この長い記事を掲載するのは、9月の米大統領選挙に向けた意図もあるのでしょう。理由は何であれ、政治と軍産メディア業界の危険な関係は、もちろん米国ば かりの登録商標ではなく、フランスでもダソー(航空・新聞フィガロ)・ラガルデール(EADS・パリマッチ・カナルプリュスやルモンドの株も所有)をはじ め、グループ内にTV局や新聞、雑誌を持ってる親族系コングロマリットは多いです。
なおこの小記事、一昨日にいったん翻訳終えてたんですがアップロードにミスってアチャー。今夜2回目訳しなおしました。そんなわけで20日の記事紹介が25日になってしまった。さて、これから11ページあるNYT記事を斜め読みしてみます。
時間があまりない方にはヴィデオ版もあり:How the Pentagon Spread Its Message
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