一週間ほどネブロ開店休業状態だったわけであります。
実は月曜の朝にパリの某所でメンテナンス、つまり猫屋本体の某部品交換処理を受けてたのである。部分麻酔での処置は2時間半かかった。。。。で、午後にはふらふらしながら自宅まで帰ってきたんだ。本日金曜の夜はさすがに麻酔ボケも消えたし強力痛み止めも必要なくなったけど、あいかわらず抗生物質はガンガン飲み続けております。
てなわけで、この一週間一応プレスやネットに目は通してたけど、とにかく意識朦朧状態、ブログ書き込む気力もなかったのね。
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1月25日の記事でクリップしといたル・モンド紙アンリ・タンクによる記事;M. Sarkozy, la laïcité et la "religion civile" を、論文無事書き終え日本に帰ったKIYONOBUMIE(き) 氏が拾ってくださって、おまけに翻訳してアップ。感謝→サルコジ氏、ライシテ、「市民宗教」(アンリ・タンク)
さすが専門家の翻訳は、テクニカルタームや時代考証とか言葉の選び方にしても悩まず安心して読めるなあ、と単なる門前の(一夜漬け専門)小僧は思うのでした。なお、KIYONOBUMIE(き)氏が、
>あまり議論が掘り下げられていないのが原因なのか、訳してみてもちょっとよくわからないところがあります。ここで市民宗教というのは、サルコジはアメリカモデルに近づいているということなのでしょうか。
と書かれているのですが、これはかえって今現在、つまり2008年1月から2月のサルコジ作戦とそれに対するメディアの対応の微妙な関係が関わってくるからだと、猫屋的には考えます。アタクシ自身、タンクの記事を最初ざっと読んだときは、なにやら奥歯に物の挟まったようなものの言い方だなあ、という印象を持った。
言い換えれば、サルコジ政治のたとえば、バンリュウ・外交・移民・通商・経済・教育・社会・軍事、、とにかくすべての分野で改革を同時進行させるという戦略と、大統領私生活を世間に開放しての人気取り政略にいつしかバグが混入するようになった。どこまでも攻撃的に、ブレア氏の表現を借りればエネルジェティックに、物事を対処してきたサルコジが防御体制に入ったときの“アッチムイテホイ作戦=DIVERSION”の対象が、昨年末のTV演説のあたりから、“文明の政治”だったり“ライシテ”になった。
もともと“哲学・社会学”、あるいは“宗教史”、あるいは“労働運動史”など、サルコジとはチョク結びつかないようなイデーを持ってきて、サルコディスクールの煙幕化を図ってるのが、かのスピンドクター、アンリ・ゲノ特別顧問の役目なんですが、今回は1905年の政教分離法を書き換える意志があると政府が発表したものですから、仏国中の関連団体および個人から大きな反響があったわけです。
たしかにサルコ、ローマでは「小学校教師には村の教会の司祭(curé)の代わりはできない」と発言し、これはカトリックも含む教師たちの顰蹙を買った。宗教にはトント縁のない猫屋でさえ、ジュール・フェリーが墓から生き返っても不思議はない、と思ったよ。
おまけに表立っては語られてはいないものの、サルコジとサイエントロジーの危険な関係も噂される今日この頃なのでありますよ。
神学論争は神学者にまかせるにしても、クサッテモフランス。大統領が信心を語ってはいけないだろうし、サルコ政治の大問題は、繰り返しになってしまいますがcohérence、つまり一貫性、あるいは整合性のないことだ。
今夜あるいは今週末には、このライシテ問題も絡む、サルコとメディアの仁義なき戦いをルポしてみたいと思いますが、そのまえにライシテに関する記事をいくつかクリップしときます。
まずはMarianne2から2月7日の記事、サルコジ、ライックを挑発:Sarkozy provoque les laïcs
アンリ・タンクの記事に先立ちますが、ル・モンドからまず1月24日。作家レジ・ドブレの文章:文明内の居心地の悪さ
そして2月8日の短い記事です。パトリック・ジャロの:ライシテ、片目を開けて眠る論争
ははあ、最近ライシテ問題がクローズ・アップされているのは、サルコの「あっち向いてほい」作戦なんですか。まあ1905年法改正を射程に収めるという話は彼が内務大臣のころからありましたけれども、大統領選でライシテ問題がかすんでまた今になって出てくるというタイミングはなんなのかなというのはありました。マス・メディアの世界では、新しいニュースがちょっと前のニュースをすぐに古くさせるというl'un chasse l'autreの傾向が強く、受け手もそれに影響されざるをえないですが、それには何らかの軸を作って対抗する必要があるかなと。私だったらライシテ問題ということになりますが、不勉強でなかなか手が回っていなかったり、現代社会流の健忘症にかかっていたりでお恥ずかしいかぎりですが。
それはそれとして、どうぞお体にはご自愛下さいまし。
投稿情報: Kiyonobumie | 2008-02-09 13:35
ご心配いただき、かたじけない。
サルコジの引っかきまわし作戦に対しては、各界専門家が専門分野でふんばってるんで、アタクシのような一般人は“忘れず・疲れず・継続は力なり”で見てるだけです。あと、レジスタンスというのは、本来は混ざらないような、別のタコツボの人とも交流するいい機会なんだってのが、ここで分かりました。まだまだSCIENCE HUMAINってのが高く評価されてるせいもありますが、大学再編成の流れはフランスにもやってきています。これにはマジ心配になります。
投稿情報: 猫屋 | 2008-02-12 04:48