おとといあたりのだと思いますが、iTELE で放映されたモラン・インタヴューを見つけたんでアップ。こりゃ長いので翻訳はいたしません。(もちろん)サルコジに関する部分は限られてるけど、モランのいう“文明の政治”についての概念が、猫屋翻訳のル・モンドチャットより具体的に理解できるかと思います。
またエドガー・モラン長老(86歳のオプティ・ペシミスト!)、哲学者と紹介されていますが、より正確には社会学者あるいは思想家ではあっても哲学者ではないと、猫屋は考えます。
アフリカに出生したエドガー・モランは、第二次世界大戦ではレジスタンス運動に参加し、ル・モンドに寄稿した文のため反ユダヤ主義と告訴されたりしています(彼自身ユダヤ系北アフリカ出身フランス人)。先の大統領選挙では、ニコラ・ユロとエコロジーサイドで活動してたですね。
参考:Edgar MORIN : Wiki 仏語、Wiki 日本語
また、インタヴューはじめでに話題になってる社会学者アラン・トゥレーン(82歳!)のリベ記事はこちらです。Ouvrir les yeux
シモーヌ・ド・ボーボワール生誕100年なわけですが、彼女が今も生きてたら大活躍してるはずだよなあ、、などと夢想したり。
Edgar Morin iTélé Sarkozy politique
envoyé par Repenti
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翌日に追加です。日付11日のル・モンド記事です。先日、モランがエリゼ宮に招かれて40分間にわたってサルコジ大統領およびアンリ・ゲノと会談した時の様子が書かれていて、大統領は機嫌よく、ゲノは自分の教養のあり具合をモランに見せたがった、そうだ。以下はモランの言葉から(ちょいとめんどい構文なんだけど、たぶんこういう意味)。
「あなたの言葉の3/4はおそらく誠実なのだろうが、最後の1/4がそうではないから、結局誠実と思われた部分さえ疑わしくなってしまう。」とモランは会談最後に結論として言うんですね。すると 「大統領は、翌日記者団に向かって、その独特のやり方でモランの言葉を統合化し:『エドガー・モランは私の発言の3/4に同意すると言った。』と発表。その後、多くの友人が『結局、サルコジ側につくのか?』とからかいの電話をかけてきた。」 -- そうだ。サルコロジーですね。
また、最近では緑の党そしてダニエル・コーン・ベンディットと活動していたモランですが、フランス国内でより、イタリア(ロマノ・プロディは教育改革にあたりモランに意見を聞いている)、スペイン(ザパテロ大統領はモランにスペイン国籍を与えたがった)、メキシコ(モランの名がついた大学がある)など、彼の複雑性論理はフランスよりも外国でより評価されている。
以下、記事はミッテランやマルグリッド・デュラスらとのレジスタンスでの経験、また党から追い出されたにもかかわらず彼がマルクス主義者であるのは、マルクスの思想が経済・歴史・哲学を包括するものであるから、またスタンフォード大学ではMichel Serres, Henri Atlan, René Girard, Jean-Pierre Dupuy らと体系思想(la pensée systémique)グループをなし快楽・ワイン・女性を愛した、、、などモランの形跡が紹介されています。
本当は記事全文訳したかったんだけど、時間ないので(かなりいい加減ではございますがな)レジュメにしてみました。
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もひとつ、ル・モンド記事です。
こちらは、バデューの新刊 De quoi Sarkozy est-il le nom ? が口コミ、ネットで評判になり結局17000冊売れた(通常は3000冊ぐらいだそう)。その現象を、この短い記事は、ニコラ・サルコジのパフォーマンスを前に辟易となってる人々が、この本のなかに自分たちの居心地の悪さ(mal-être)の名を見つけたからだ、と分析しています。
なお、記事タイトルは《アラン・バデュー二度目の青春、アンチ・サルコジスムの新たな先駆者》。読者からのコメント欄で、記事タイトル中の héraut のh はhアスピレだから先行するのはnouvel じゃなくてnouveau だよ、と突込みがはいってますね。
あと、バディウ攻撃コメントも多くて、これは哲学系の方々なんだろうか、あるいは帝国の逆襲なのであろうか、、業界に詳しくない猫屋としては判断できないわけですけれども(状況はアマゾンでも同様ナリ)。
ところで注文したこの本、刷り終わって、やっと発送にまでこぎつけたようであります。さっきアマゾン見てみたら、今現在この本、書籍部の売り上げ第17位でしたよ。なお1位から3位はセシリア本、ボーボワールの第二の性も健闘しております(大統領の、たぶん次の奥さんの前の主人の前の奥さん、の本も20位だった、、ああメンドイ)。
エリゼ宮の笛吹き男、賞味期限はそう長くないかもしれない。ふふふ。
今日の日を待ってました!
セゴレン!!! 猿の軍団をぶっとばせ〜。
何があっても、突き進め。
投稿情報: k | 2008-01-12 22:57
おお、K夫人
まだまだ夜明けは遠いかもしれない。したがって、仕掛け人の仕事は終わってはいないのです。まずは、どのようにサルが権力のテッペンにまで上り詰めたのか、これを誰にも分かるようしかも理論的に説明せねばなりません。ほんでもって、サルコの“オープン”政治のカラクリもどうにかせないかんわけで(これはたぶん寝返り組みのトロイの木馬型が理想だけど、、どうかなあ)、、、。今度、サルコはブレア引っ張ってきてますが、しかし、サルコってブッシュやブレアが人気取りになると思ってるわけで、なんたる時代錯誤、、、というか年寄り相手に票集めしてるんだろう。だめだ、アレ。
投稿情報: 猫屋 | 2008-01-13 01:33
ささやかな、抵抗から何かがはじまる,,,と思わねば。
誰かが、「まちがっとる!」と口にださねばね。
投稿情報: k | 2008-01-13 17:27