- 本:ジョナサン・リテルの本、Les Bienveillantes は全900ページ中、只今140ページ目あたりで小休止。現在はウクライナで、いかに“作業”をより効率よく遂行するかという“任務”が問題となっている。ウクライナでのボルシェビキとユダヤ人の関連、ウクライナ・ナショナリストのドイツ軍とのコラボについての事実を始めて知る。現在38才の作家リテルは“この本を書かざるを得なかった”のだと思う。この本は今書かれるべきだったのだと思う。しかし、行間の詰まった、そして強い(そうでなくては書かれえないだろう)文体を読んでいく行為は、それ自体が苦痛でもありうる。そういったわけで、体力の落ちている今は小休止である。
- 本:アフォにも分かるフランス史。やっとシャルルマーニュまで行き着いた。これから第二部の La France en quete d'elle-meme /自己を捜し求めるフランス。一時は、フランス史をこっちの高校教科書で読もうか、とも考えたけどアタクシは別にフランス国民になろうってわけでもないのであるから、こっちの方が好都合なのであるよ。まあ教科書のほうもどんどんヨーロッパをベースにした仏国史という形に移行しつつあるようだ。生徒達のオリジンの多様性もあるし、実際に高校間での交換留学も盛んであるからめったなことは教えられない情況になっているわけだ。
- 今年のガリマール文学賞候補(第2選)が発表になった。今読んでるリテルの本ももちろん入っている。前評判というか前宣伝の凄かった作家 Christine Angot は初めからリスト落ちしていた。最終発表は11月6日だそう。
- 《愛人》でこの賞をとったあのマルグリット・デュラスの手記ノートがアーカイブから見つかりこの秋出版された。これは当時のインドシナにいた彼女が1943年から1949年に綴ったもの。《太平洋の防波堤》で語られている母親と兄が、実は若いデュラスに暴力を振るっていた様。《愛人》に登場するエレガントな“アンディジェン/土着民”との出会い、、が描かれている。タイトルは Cahiers de la guerre et autres textes 。出版社はPOL、22ユーロ。
- 選挙前線はすでに、まったくもって何でもあり状態になってきた。セゴレンヌ・ロワイアルの家族関係(レインボー・ウォーリアを含む)についてはだいぶ前のル・モンド記事等で読んでいたいたから新事実でもなんでもないが、それをロワイアルの候補宣言の翌日の第一面に持ってくるフィガロ紙はなんともいたい。参考:ウィキペディア。たまたま見つけたZouk/ズーク(姉妹コーラス)のセゴレン応援歌はここで聞けます。話題の種ではフランスNo1のサルコジ氏についてはアタクシ語ることはないので無視。
- ガザが(もっと)ひどいことになっている。内戦一歩前。かのコンディ・ライス女史は「だったら政府を変えなさい」と言ったとか。あのマリー・アントワネットは腹を空かし、パンを求める民衆を前に「パンがないならブリオッシュをお食べなさい」といったとか。。。
>フランス史
日本だと「縄文人と弥生人がいて…」あたりから始まりますけど、フランスではどうなんでしょ?
やっぱガリア人としてローマ人と戦うところから始まるんですか? でもその場合、「オレたちのご先祖様は野蛮人として文明人たちと戦ってた」って話になっちゃいますよね。それ、アイデンティティとしてどうなんだろ?
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2006-10-07 01:29
んーと、西暦前200万年から、つまり度重なる氷河期の話から始まってますな、、氷河期ってのが“ニンゲン”のもとの出現を促した、と、そういうわけ。フランス先住“民”のものと思われる骨が東南部で見つかってますが、これが約40万年前の(どうも共食いしていたらしいですが)直立してる“民”。それからネアンダルタール-クロマニオン。ラスコーの壁画が今からだいたい1万5000年前。それからは、ケルト民族が押し寄せるは、ブルトンがイギリスから追われてブルターニューに住み着くわ、ガリアだって結局は先住じゃないですし、あとはまあ侵略と略奪と(ローマ支配化では安定)ゲルマンもだし、アッティラも来るわけだし、ね。クロヴィスとシャルルマーニュはそれぞれ国家統一を果たすものの、子孫の間で争にになるケースが多いね。さて、これから中世に入ります。十字軍です。(以上が最初約100ページの内容、アネクドットとかも入れて紹介されています)
お答えが長くなってしまった。エントリでこの本の目次だけコピペ翻訳してみるかも、です。
投稿情報: 猫屋 | 2006-10-07 22:03
>民族が押し寄せる
ふーむ。
「このときフランスに○○という血が加わった」
「○○がフランスを侵略した」
どちらなんでしょうな。
いや、そのように二分する考え方自体が島国的な発想なのですかね。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2006-10-08 00:46
まあ混ざったんでしょうね、カッコつきでの原住民にケルト・ブルトン・ローマ・ゲルマン・アフリカ北部やらなにやらが混ざってるということなのだと思う。それからもちろんスペインから来るユダヤ人もあったし、、いや歴史オンチなんで正確ではないでしょうが。
日本の場合もかなり混ざってると思いますが(顔や姿でなんとなく違いはありますよね)、歴史って結局書きのこされた物がベースになるから、日本史ってのは案外限定されてるんじゃないでしょうか。中央集権になると歴史編纂ってのをやるしね。
投稿情報: 猫屋 | 2006-10-08 02:12
日本史って「日本の中で争った」話はいっぱいあるけど、「日本VS○○」って元寇以外はほとんどスルーじゃないですか。
それと比べれば、欧州とかの自国史ってずいぶん違うんだろうなあ、と妄想。
そのあたりが、それぞれのアイデンティティに及ぼしている影響って知りたいですね。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2006-10-08 12:57