この日曜日寒い中、午前中の割引料金(MK2で6.5ユーロだったか)で見たのはこの映画 Palais Royal !。久しぶりのフランス映画でした。最初に書いちゃうと、感想は“まあまあ中の上ランク”。少なくとも観ても損はない映画です。笑えます。(しかし2002年のアステリックスとオベリックス ミッション・クレオパトラには及ばないな)
この映画の脚本・監督・主演をこなしたヴァレリー・ルメルシエ/Valérie Lemercier 嬢は、異色仏TVコメディ Palace で“どうしたらハイソになれるか”のレッスン担当マドモワゼル・ロチルドでデヴュー、きわめて(下ネタ多い)ポリティカリー・アンコレクトなワン・ウーマン・ライヴ・ショーとすでに2本の映画製作を経験しているフランス・コメディ界の女性版ジェリー・ルイス。
出来た映画は、シャネル・プランタン・エヴィアン・イケア等のスポンサー付きで、カトリーヌ・ドヌーヴ、ランベール・ウィルソンはじめ出演陣も豪華、これまでのルメルシエ映画とは一線を引く“大衆路線”で、大枠としての作りはあくまでクラシック、伝統のパイ投げ/Tarte à la crèmeまで出てきます。
それでも細部を良く見ると、ヴァレリー嬢の毒気がそこここに。ポケモン国王を迎えてのディナーでのロワイアルなマナー・プロトコル、プリンセスの愛人トレーナーが北アフリカ系子育て離婚父だったり、笑えます。シャネル・マークのスキーにプレジデント・マークのバーターとか。過食症になったプリンセスがキンダー・ショコラを無茶食いするとか、、うっふっふ。
結局、ダイアナ妃の話がストーリーのおおもとになってますが、この映画自体英国で撮影され、カミラ・ダイアナとこの映画での人物との同一視はうまく避けられている。しかし、しかしですよ、プリンセス・アルメルがカイショなし夫の不倫発見から、リヴェンチのためにスーパーアクティフになって、同時に美しくなっていくという分析は鋭い。
そして何よりも、ドヌーヴ、です。見る前は、ドヌーヴはエリザベス女王をパロディ化するのかいな、と思っていたんですが、これは見事に間違いだった。ドヌーヴはドヌーヴ。この人は地のままで女王役が出来てしまうのだよ。おお、何たる気品。何たる下品。何たるマキャベリズム。ブニュエルも、草葉の陰で喜んでいるに違いない。
てか、結局のところ、元気のいいのは女性ばかり。父性オーソリティは終焉したのでしょうか。父権の国と信じられていたドイツでさえ、メルケル女史が政権をとりました。というような論説、これってやっぱりセクシスト?
猫屋さま
ミッション・クレオパトラはこの前テレビでやってました。 ドイツ語だったけど。
シャネル・プランタン・エヴィアン・イケア等のスポンサーって・・・イケアもシャネルと一緒にスポンサーできるくらい、偉くなったんですねえ。 イケアの創業者がスイス在住ですが
「彼の家の家具は、やはりイケア製品なのか?」が大いなる疑問点であります。
ドヌーブがエリザベス女王のパロディ・・・本物よりずっと美人だから・・・ グレースケリーのパロディだったりして。 ドイツでシュレーダーが人気があったのは、マッチョだからだそうで、そうなるとメルケル女史の政権も長いことなさそうですね。 そういやウクライナの首相がすごい美人だったような。 日本に女性首相って? それよりアメリカ女性大統領? 黒人大統領とどっちが先か? これってイギリスで絶対賭けになってると思う。
投稿情報: Mari | 2005-11-29 09:20
この映画、みに行きたいと思いつつ未見です。ルメルシエとランベール・ウィルソンのコンビというだけで面白そうです。
ドヌーヴは、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でどうも貧乏工場労働者役に不釣合いでものすごい違和感を感じました。にじみ出る気品というか。
やっぱ彼女は「女王様」ですね。
投稿情報: shiba | 2005-11-29 15:48
mariさん、shibaさん、
もうこの映画でドヌーヴ女王は役作りもなしというか、いつもの早口と押しでまんま女王なのですよ。この“存在感”はかつての美空ひばりをホウフツとさせると書いてはお叱りを受けるか。。。映画見ながらわが母国のあるプリンセスの深い憂鬱にも思い至り、また、スターアックなどに見るメディアという“鏡”に映される歪んだ現実についても思いをはせたわけで、これは大衆路線にしてもやっぱりそれなりに毒を孕んだ映画であると、勝手に決め込んだわけです。
でも見に行ってがっかりしても猫屋のせいにはしないでね。
投稿情報: 猫屋 | 2005-11-29 22:02