昨日からアタクシ、暗澹たる気分でございます。
あとから気がついたが、昨日9月11日は日本東北大地震から1年半、NYの事件から11年目にあたる。バグダッドでは悲惨な自爆テロがまた起こってるし、アフガンでは首都のカブールでさえコアリションによる治安がまったく維持できないでいる。
(カブールでは毎日数人の子供が殺害されており、その自爆テロを仕掛けるほうもティーンエイジャーだったりする)
(ソヴィエト連邦はアフガン戦争とチェルノ事故で疲弊し崩壊したとすると、アメちゃん帝国はイラク・アフガン戦での敗北と極東ATM担当国での原発事故が帝国崩壊の〆かなあ。。問題は今回、世界中が共倒れ、に帰結しそうなことだ)
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その9月11日に、福島の子供ひとりから甲状腺がんが見つかった。参考(福島民報):甲状腺がん1人確認 福島医大「放射線の影響ない」
医療ジャーナリストの伊藤隼也さんも関わった、昨日のTV番組「特ダネ」でも、福島甲状腺検査の問題を扱っていた。1 2
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フク1労働者に白血病・心肺不全の死者が出たときの報道もそうでしたが、タイトルにまず「放射能の影響なし」が付加される。
「直ちに健康に被害はない」 「想定外」 「風評被害」 「冷温停止状態宣言」 「再稼動が必要」「放射能の影響ない」。。。。
しかしアタクシが腹を立てているのは、言語を曲げてまで現実を隠そうとする政府や自治体、そしてそれらを繰っている官僚や経済界・多国籍企業に対してばかりではない。
あのぼろぼろになった4基のプラントと、事故直後に政府・自治体の(行わなかった)対策、広範囲の『低線量』汚染(米国防省値で東京5ミリシーベルトだそうだ)、そして日本の都市部人口を考えれば、なんらの疾病も発生しないと考える方がおかしいし、チェルノビル事故後、国際的原発推進オーソリティでさえ、認めざるを得なかったほど発病数が多かったのが「小児甲状腺がん」だった。この疾病のみがオーソリティによる「認定チェルノ放射線障害」なのだ。
フランスでも当局は「甲状腺がん」を含め、チェルノ性症候群と事故との関連を一切否定しています。それは市民や現場の医師が事故との関連を考えることを妨げない。
こちらでチェルノ関連とみなされている疾病には、白血病・白内障・脳腫瘍・DNA損傷等がある。若年性心不全は全発病数が多いからでしょうか、放射能との関連が語られる機会は少ないように思う。
今までのところ、出産や癌を含めた難病治療を社会保険が100パーセントカバーする欧州でさえ、子供の大病は本人にも家族にもいたって辛い経験です。
日本では、今回のフクシマ核災害に意識的な人のなかでさえ、今度のニュースに冷淡な反応を示している人物が少なからずいて驚いた(あるいは311直後と同様に、受け入れがたい現実に対する拒否反応なのだろうか)。
残念ながら、ひとりの子供の「甲状腺がん」の背後には、まだ第一検査も受けていない福島の子供たち、福島以外の地区に住む「フクシマの子供たち」が大勢いる。
当初、日本当局が想定したように、福島を封鎖し、ゲットー化して事は収まるわけではない。現実とはあくまでガンコなのですよ。隠しても隠しきれるものではない。
(日本の戦後史自体が、現実、つまり貧困や死、老いや病や孤独を隠して成り立った文化だったようにも思う。その隠された現実がフクシマを機に可視化されたと見るべきか。。)
(チェルノでは実際に疾病が目に見えて多くなった時点、たしか5年後だかに第二次大型強制避難を行っている)
繰り返しになるが、小児甲状腺がんは放射線起因の疾病のひとつであって、他にもフクシマ・ディザスターは幅広い年齢層に多く出てくるだろう。
いかに、数字を操作し言葉をひしゃげて被災モデルを構築しても、現実というのは常にモデルを裏切る。我々は「自然には勝てない」が、人為元素は自然を逸脱した「力」であることも考えるべきだろう(スピノザ的自然には、たとえばヨウ素131やストロンチウム90が含まれるとはどうしても考えがたい)。
また、現実と事実と真実の差異、これは時間の問題なのだと、言葉に執着するアタクシは思うのです。
けれど、現実である放射線は待ってくれない。1960年代の核実験最盛期の影響も、1986年のチェルノの影響に関しても、いまだ信用しうる「疫学的」見地など、どこにもない。
広島・長崎、チェルノビル、水俣公害、アスベスト(アミアント)裁判、エイズ(血友病)裁判、過去におけるこれら全ての「事件」の流れを知り、同時に現在の世界各国の経済状態を考えれば、誰が誰を守るのか?という質問への答えはおのずと見えてくる。
911を機会に、もう一度避難や、なすべき抗議・要求について考える人が増えることをアタクシは切に望んでいます。
Run, Angel, Run !
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表題は、米国産B級映画とは一切関係ありません。昔、NYCで買った安物Tシャツに印刷してあった:(ライ麦畑のカパーフィールド君の言葉かとずっと思っていたですが)。
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