昨日(6月29日)は官邸前集会のようすを見ようと昼すぎ(日本時間夜7時)家に帰ってIWJのチェンネル探してるうちになんと終わってしまった:あれはもうフラッシュ・モヴですね。
7千人から20万人まで参加者数評価が分かれて、かなり真面目に“解析”してらっしゃる方が少なからずいらして、ほほえましい:んなもん分かるわけない(仏在住が言うんだからホントウです)。
先週22日の官邸前運動の報道は探したんですが、見つかったのはスイスなどの仏語圏の記事だけで、フランス内発は見つかりませんでした。今週は同日夜にリベラシオンがちゃんとした記事を写真つきで載せていた。やっつけ訳してみます。なおル・モンドとその系列ブログには今のところ関連記事はない模様。
Retour contesté à la case nucléaire au Japon
Par ARNAUD VAULERIN
抗議受ける原子力ふりだしへの回帰
アルノ・ヴォルラン
《解読する》:金曜夜の東京で、大飯原発再稼動に反対し数十万の市民が金曜の夜に意思表明(猫注;マニフェスト)した。
2011年3月11日、東北(日本列島東北部)地震と津波によって起こされたフクシマの核大災害からほぼ16ヶ月の今、日本の西部である大飯の2基が再稼動しようとしている。この日曜日には、大飯原発の第3原子炉が再起動され、その後数日で第4原子炉が再起動となる。しかし、関西電力が管理するこのふたつの原子炉が、実際に電力を供給するまでには7月の後半を待たねばならない。これは、昨年のカタストロフ以来、初めての現実的な再稼動である。そして、核エネルギーなしの日本のおしまいでもある:5月5日以来、潜在的リスクと検査作業のため、日本列島はすべてのアトムを遮断していた。コンセンサスが重視されるこの国での6月のノダ首相再の稼動決定は、人々を混乱に落としいれ、議員たちは核依存に関してこれまでになかったほど分裂した。金曜日の東京では、何十万と言う市民が政府の政策に反対して意思表明した。
なぜ、政府は二基の原子炉を再稼動するのか?
この一年、日本は原子力発電に代替する火力発電所のため、多量の天然ガスと原油を輸入してきた。結果、貿易赤字は3月で420億ユーロにおよび、エネルギー価格は上昇している。9社の電力民間企業はこの一年、驚くべき損失額を発表してきた。東京は、2011年以来沈滞する貿易収支をこれ以上悪化したくない。
局面的には、日本では通常電力消費がピークとなる暑くて湿気が多い夏の電力不足を当局は懸念している。「原子力発電は決定的電力源である」とノダは言い切った。その傍らで、大飯原発地元の関西経団連の主席ショウスケ・モリは、間をあけず、再稼動なしでは15.7パーセントの電力不足するリスクがあるとの理由を挙げて再稼動を訴えた。
なにが分裂と不満の理由なのか?
フクシマのカタストロフ以来、その間違いと嘘によって信用を失った政治-経済界に対する抗議と疑いは日本社会を駆け巡った。核安全神話をその基盤として作られた列島の工業的成功の一部は砕け散った。大手メディアによる報道はほぼ皆無だったにもかかわらず、ニッポン反核ムーヴメント(Sayonara genpatsu, «au revoir le nucléaire»)は力を取り戻した。「市民の安全より経済を重要視する権力は停止」と、スキャンダル暴露ジャーナリストのサトシ・タナカは叫んだ。彼はノーベル文学賞受賞者ケンザブロウ・オオエも支持者の一人であるサヨナラ・ゲンパツ主導者のひとりであり、この団体は750万の署名を集めた。
性急と受け取られた首相の決定は、安全に関してこれ以上の妥協を望まない多くの日本人にショックを与えた。6月8日ノダは、地震・津波があっても大飯ではフクシマ型事故はない、と断言した。首相は、大飯の第3第4基が安全だとした原子力保安委員会(Nisa)の調査を元に論を進めた。問題は、このレギュレーション機関が、公然とした原子力肯定側であり今でも影響力の極めて強い産業省 Meti の管轄下にあることだ。これは、Nisa をMeti から独立させよというAIEAのたび重なる要請にもかかわらずだ。この分離構想はいまだに議員たちによって検討されている。
もうひとつの失敗:新しい安全基準設置の遅れ。大飯の原発は若狭湾内に孤立しており交通の便が悪い。関西電力の計画では、プラント安全の様々な強化を予定しているが、すべてが終わるのは早くても2015年となる。反原子力派であるソフトバンクCEOマサヨシ・ソンはこう疑問を投げかけた:「それ以前に災害が起こったらどうするのだ?」
2人の卓越した地震地震学者の鑑定が、アンチ原子力派の懸念を強めた。神戸大学のカツヒロ・イシバシによると、安全基準機関が使った地震モデルでは大飯原発に近い活断層が正しく評価されていない。「原発再稼動のためのストレステストと新しい安全基準は、事故可能性を残したままだ。(...)規範を強化するかわりに、それらは安全基準の重大な後退を示している。」
ニッポン原発の状況は?
2011年3月11日のカタストロフ以前、日本は54基の原発を有し全電力のほぼ30%を供給していた(フランスでは78%)。2030年にはこの率を50%近くにまで上げたいと当局は期待していた。けれどフクシマはこの目算を反古にした。昨日公表された、ある議会グループによる原発50基の危険度を評価した調査結果も考慮に入れるべきだろう。その結論では、活断層上にあるかあるいは他の重要な理由により24基はすぐさま廃炉すべきだとしている。様々な党派からなる両議会議員グループ《ゲンパツ・ゼロ》(«zéro centrale nucléaire»)によれば、列島にあるプラントの半数近くは脆弱で、永久停止と解体が必要とされる程だと言う。リスクがもっとも高いのは大飯の第3第4号機のすぐ横にある第1第2ユニットだ。問題となっている24基には、稼動可能と考えられているフクシマ・ダイイチの5号機6号機、そして隣接するフクシマ・ダイニの4ユニットがあり、これら二箇所の原子力コンプレックス/コンビナートは余震の危険にさらされている。
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ニューヨーク・タイムスも関連記事を出していました(まだ読んでいないが)。
In Tokyo, Thousands Protest the Restarting of a Nuclear Power Plantこっちで一番ヒトが出た運動はCPEの時だったか、定年制度改正のときだったか:「1 et 2 et 3 millions」ってのがスローガンでした(^^)。100、200、300万 ! と威勢良くやって、CPE のときは政府は譲歩しましたが、定年制度時はサルコジ政府は一歩だに譲らず結局運動はそのまま消えてしまった(厳しい集会規制と報道規制と政府の無反応それに参加者の疲れが原因)。
29日の東京動員、いろいろヴィデオ見ててアタクシ的には6万人ぐらいじゃないかと思った。だいたいパリのストーンズ・コンサートの人数だ。(追記:IWJのヘリからの映像を見た。6万は越えているだろう。)
しかし、肝心の大飯原発の2基再稼動は7月1日ということで、これはなんとも止めていただきたいが、かといって運動が激化し、ギリシャやかつてフランスでもあったように死者が出たりするのも多いに困る。こちらの運動でもフラッシュ・ボールが当たって片目をなくしたり、催涙弾を拾ったらそれが爆発して片手を失ったといった若い子たちの被害が出た。
68年の労組と学生の5月全国運動では、死者は出なかった。あれは軍隊も出動したほどの「暴力的」なものではあったが、当時の首相ポンピドゥの才覚もあったし、反運動ドゴール支持派のデモも大きくなり、夏休みに入った学生や市民がヴァカンスに出て運動そのものが治まった。だが、その運動の結果、翌年の国民投票後のド・ゴール退陣へとつながったという流れがあります。
現在も、反政府反機構反資本抗議運動は、世界中で広がり続けています。私たちは歴史の大きな節目に立ち会っている。というよりもこの転換期の鍵は私たち自身なのだということを忘れてはいけないと思います。
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