少なくともこの2・3年はそれなりに色々調べて納得してからブログ記事書いてたんですが、今夜はいい加減に並べます。つまり猫屋がボンヤリ思いついた主観集なり。
日本:どうなるんでしょうか。まずの心配は地震や火山の自然災害と、それに重なる過剰な人的開発による被害だ。放射能汚染による人体被害も遅かれ早かれ出てくるだろう。それに経済的問題。経済成長率に重きを置いた社会モデルがもたらす疲弊はどの国でも問題になっていますが、日本では311被害の総額も予想できない額に及ぶことは必至で、これに加え政治的混乱が加わる。これを転機として、社会・経済モデルを大きく変える動きがあれば、新しい道も見えてくるだろうが、そりゃ簡単じゃない。
前にも書きましたが、毎回東京に行くたびにあまりの大きさと人の多さと騒音とに怖くなる。2日もたてば慣れるんですが、それでも5日もいると息がしにくくなってくる。ついでにお金もなくなってくる:あそこは金を使わせる街だよね。
それでたとえば京都や奈良、長野や九州に行くとやっとほっとする。山が見えたり海が見えたり、京都の町はたとえば歩くのが楽しい(一度新幹線で京都について、あんまりにもうれしくてそのまま祇園四条の松葉まで歩いちゃったことがある;にしんそばにはちょっとガッカリしたけれど...)。
東京都心で歩けるところというのは浅草や巣鴨。銀座は今でも好きな街ですが、以前のような裏通りの影みたいな風情はなくなったように感じます。ピルゼンもなくなったし、高級クラブのホステスさん(のお客さん)御用達、高いけどチョーおいしいケーキ屋もなくなった。スエヒロもなくなった。有楽町よりの粥がおいしい台湾料理屋もなくなった。ラングドシャがおいしかったジャーマンベイカリーもなくなった(でも今考えると、猫舌クッキ、なんでドイツパン屋で売ってたんだろ?)。
ドイツ:今のところドイツでの失業率は高くないし、後ろと横にはポーランドやトルコが控えていて下請けと労働力供給してる。オーストリアは同文化だし、ユーロ圏には入っていないがデンマークも色々な意味で近い。エネルギー面で言えばロシアとの関係が深い(元首相シュレーダー等がガスプロム系企業の顧問になっている)。こういった背景もあってドイツ・メルケルは原発モラトリアムをあっさり決められたと想像する。(こう書いてみると結局ドイツは欧州連合なんて必要ないのかも、とか思えてくる)
ただ、独首相やショイブレ財務相が「鞭と鞭/père fouetteur」作戦:「私のように質実剛健・勤勉にして規則を守り、私のように輸出に励まないとお金は貸せません。違反したら罰金」と「ヨーロッパはそう望んでいるのです」と繰り返しても、怒られた国々は萎縮するばかりだ。考えてみれば分かるけど、欧州全部がメルセデスベンツ作るようになってもドイツは困るでしょうが。商売は売るばっかりでは回りません。買い手がいなければ成立しません。今世界中で起こっている現象はまさにそれで、小売店がどんどん消滅してる。それに気づいていないはずはないんだが、なぜか逆目に固執している。よく分からない。
ドイツの10年国債クーポンも上がったようです。今まではあまった“キャッシュ”がドイツ国債に流れていたんだけど、ドイツ地方銀行もかなりのアイマイ負債を抱えているし、ドイツバンクも米国発の不良債権をかなり所有しているはずで、中国経済の減速も重なり、輸出国ドイツの先行きは誰にも分からない。またドイツは出産率が以前から低く、将来にはこれも問題化してくるでしょう。
中国:共産資本主義の中国ですが、成長率の低下に対し(と言っても8パーセント台から7パーセント台への低下ですけど..)金利を0.25ポイント下げました。これはねえ、危ないように思います。不動産バブル問題が解決できてないところの金利下げですからリスキーと思う。
中国は、これまで資本国つまり米国や欧州、日本がやって来た失敗を学んで(人道的やりかたではないにしろ)うまくクリアするんじゃないかと期待してたんですが、たとえばこっちで日本のtv番組をネットで探すとだいたい中国サイトでそく翻訳つき流している。この2・3年パリのデパートに黒塗りベンツを乗り付けて買い物している中華ニューリッチたちの風情もバブルの頃の日本人観光客と同じだ。
子息を米国に留学させるってのも、以前の日本がやってたことですよね。土地や企業・ビルの買い付けもそう。かつての日本が自国の過去を忘れて見境のない国土開発にのめりこんだように、中国も同じ道をたどっているように見える。結局日本やアメリカをモデルにしている。ラスヴェガスやベニスを国内に作っても大多数の中間層の生活が豊かになるわけではない。ルイヴィトンを持つことが豊かさではない。公害がなくなるわけでもない。
もいっかい日本:日本の国債の(たしか)8パーセントを外国資本が占めるようになったそうですが、これはあまった“キャッシュ”の行き先が見つからず、ひとまず安全圏に避難させた動きです。上にも書きましたようにドイツ国債と同様、米国国債も金利が上がりつつある。原油価格や他の原料価格も世界的景気後退を受け下がっている(スペキュレーションの減少もある)。そんな状態でリスクの少ない、つまり金利が低い日本国債が避難先として選ばれたんでしょう。一時的な動きと思います。
ただ、日本のこれからの課題である核災害対策と補償費用、7月に組まれているらしい東電解体国営化、人口高齢化、それからひと世代先には大きく目減りするだろう国民の預金総高などをどう誘導していくのか。これはどの国も同様ですが、自分の任期保守と再選プラス天下りのことしか頭にない政治家と、いままでやってきたことを繰り返すしか能のない官僚にとっては怖くて手が出せない問題なのでしょう。トヨタ・メソッドでとにかく効率の良い子供ばかりを育ててきた日本の教育も変えていく必要があるんだろうと思えます。
米国:バーナンキの声明もなんだかホニャララで、必要ならQE3を打ち出す用意があるという気が抜けたものに終わりました。ドル刷ってそれで米国債買って、銀行の不良債権買って、横ではリーマン後に国から大額援助を受けていたアメリカで一番大きな銀行GPモーガンチェイスがリスク・マネージメントに失敗した。損害は20兆ドルとも40兆ドルとも言われているが同銀行の経営陣にも被害総額の予想がつかないんだそうだ。
ギリシャ:青息吐息のギリシャですが、聞いたところによると今でも首切られてない学校教員も給料25パーセントカットで手取りは700ユーロだそうだ。年金も同様に25パーカット。税制や社会制度の“正しい”改革は必要だがそれにだって金がかかるわけで、おまけにユーロ2012(サッカー)ではドイツに負けちゃうし、同情の感を禁じえません(というか明日はわが身、いやフランスはすでに負けとるしサッカー)。
おまけに本日、再選挙でやっと首相になったアントニス・サマラス氏が網膜はく離で手術を受け、当分執務にはつけないという報道があった。役職についたばかりの経済相も辞任した。現実というのは実に非線上に進む。急進左派のツィプラスはまだ30台だし、今首相にならなかったのはかえってラッキーだったかも知れん。
しかし、アイルランドにしろ、ギリシャもスペインもポルトガルも、そんな遠くない過去に独裁政治下の弾圧に苦しんだ国々なんだが、今は財政危機の中心で苦しんでいる。若い民主主義の国は大資本の攻撃(そしてバブル)に弱かったんだろう。
為替:今のところ1ユーロ=ほぼ100円。ユーロしか持ってないアタクシはこうなるとちょっとやそっとでは日本に帰れない。ただひとつの利点は、日本の物価とこちらの物価の比較がとてもカーンタンになったことですね:それだけ。全体的にみて物価はもちろん日本のほうが安いです。だが、日本はいやでもなんでも物を買わせる文化なので結局あそこにいると金かかる。高いのは交通費・医療・教育と、ビール。缶ビール、こっちじゃハイネケンでも一個一ユーロちょっと。日本のビールは200円とかした記憶がある。
今ドル=80円ぐらいか。。。アタクシは古いヒトなので一ドル360円の記憶が強く残っていますが、インフレ動向を考えに入れても、この差は凄いです。
為替の変動を何らかの形で抑制すれば、それだけでも今の危機の何分のいちかは解消されるだろう。ケインズが提唱し、けれど彼の死によって忘れ去られたBancor/バンコール(このメカニズムはちょっと難解でまだ自分理解してないんですが)、あるいはそれをアレンジしたシステムが必要と思います。
まあ、金融系は言いたいこと一杯あるんだけどね。別に書きましょう。
フランス:これも別の記事で。フロンビー(仏版プッチンプリン)・オランドのこととかね。
なお写真は6月21日フェットドラミュジクの日の午後のルーヴル。急な嵐で広場にいた人々がいっせいに建物の下に逃げ込んだ時の様子。色々なとこから来た外国観光客ばかりだったけど、200人ほどの人々が、ぶつかることも騒ぐこともなく見事に一緒に避難してて感心したです。
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