このところかなり暑くて、おかげさまで高台にあるアパート内は風が通るから過ごしやすい。それで自宅でヴァカンス(意;なんにもしない)中です。
さきおとといの夜、開け放ったベランダの窓からハチの大きなのが居間に入り込んで、びっくりするようなブンブン音を発し、ライトのある上の天井あたりに止まってたので、(極力殺傷を控えたい非原理的平和主義者の)アタクシは新聞とプラスチックの容器を使って「無駄な抵抗はやめて、当局の指示に従いたまえ。君を傷つける意志はないのだ」とフランス語で言いながら(日本語よりは通じそうな気がしたのだ)5cmぐらいあるハチ君を無事捕獲、ベランダから外に逃がしたのだった。
その後で気になったからググって見た。あれはこっちで言うゲップ/guêpe = スズメバチのようだ。昔行ってたアルプスの夏山でもスズメバチに刺され死亡した御婦人の話を聞いていたから、調べてからちょっと恐くなった。アベイと呼ばれるミツバチは、ベランダの花によく飛んできてるけど、あれはなかなか愛嬌があるし、ひとりひとり(まあ、一応)コステュームとかに個性があって見てるのは好きだけど、我が家にスズメバチが入ってくるなんて初めてである。
ネット・ニュース記事で、Six personnes piquées par des insectes hospitalisées というのを見つけた:虫に刺されて6人が入院。Lot-et-Garonne だから、大雑把にいえばボルドーとトゥールーズの間ぐらいか。。。刺した昆虫はfrelons asiatiques と記事にある。ふーむ。調べてみるとwiki.fr ではVespa velutinawikiのページに行き着くんだけど、手元の辞書によるとfrelonはモンスズメバチ。英語ではhornet。. スクーターのヴェスパ命名はこの蜂から来てるんですね;知らなかった。たしか、仏軍用ヘリコプターでもFRELON というのがありました。これも確かにスズメ蜂に似てる。仏軍用ヘリはsuper frelon、また米戦闘機F-18 はhornet でこれもスズメ蜂なんですねえ。いや、アタクシの知らないことって実にたくさんあります。また、ウィキfrでは、Frelon/Vespa はその多くがアジアにオリジンを持つ社会的昆虫となってますが、ここでのアジアという意味は日本で考えるよりもより大きな地帯と考えていいと思う。
と、これまでが今日の前口上なのであります。
そうやって色々調べて(失礼;正確には遊んで)いたらYou でこんなの見つけた。案外恐い映像なんですが、ちょっと引っかかる。ご覧ください。
タイトルがJapanese Hornets になってて、ヴィデオの右側キャプションの頭に、『Giant Japanese hornets slaughter European honeybee hive. 』と書き込んである。ふーん、変じゃん:ヴィデオ注意して聞くとジャパニーズ・ホルネッツとは言わずにチャイニーズ・ホルネッツと言ってるし、攻撃を受けてる蜜蜂がヨーロピアンとはどこにも出てこない。おまけに、from権威あるナショナル・ジオグラフィーからと記してあるんで、(めんどくさいので英語キャプション全部読んでないけど)、(意図的とは思わないにしても)どうも誤解を生じさせる可能性ありです。
また、これはナショナル・ジオグラフィーに限ったことではないですが、“啓蒙的”映像番組の編集の仕方も気になる;ここでは歴史・軍事的フィルモグラフィーのテクニックを用いてるし、後ろの音楽もまるっきりアポカリプス・ナウ。本題からちょっと外れますが、フィクションにあらずの歴史TV番組で再現シーン入れるのも個人的には好きではない。
さて、公式ナショナル・ジオグラフィーのアップしたヴィデオを見てみましょう。同じソークエンスではないですが、こちらのタイトルも案外恐くて:Hornets From Hell。日本で撮影されたものですね。
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と、いうわけで今日は蜂のお勉強をいたしました。それと、今の日本語で言うと“リテラシー”だったかな、要するに“読み方”ですが、あんまり言われた通りを信じちゃいけないよ、という話でした。
しかし、地球レベルで蜂が消滅する現象は確かに起こってるし、商業活動の結果と思われますが、アジアのリスやアメリカの緑ガメなどが野生化し、これまでの生命環境を大きく変化させている。おまけに温暖化で生物・植物分布自体もかなりなスピードで変化してます。南仏まで下りなくても、パリで蝉の声が聞こえるようになるのももうすぐなのかもしれません。。。
また、WW2にいたる時点で外国発の害虫・伝染疾患が、たとえばフランスでは反ユダヤ・プロパガンダのメタファーとして使われた歴史的事実もあるわけでありまして、ソース;つまり映像なり文献の編集(agencement)にはくれぐれも気をつけようと思う今日この頃なのでした。
追記:ナショナル・ジオグラフィーの映像は玉川大学で佐々木先生のチームが行ってる研究を撮ったものの模様。
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