ロラン・ギャロスなんで久しぶりにTV見てたんだけど、ツォンガのあとガエル・モンフィスもあっけなく負けちゃった。手持ち無沙汰で、5番を覗いてみたら、(最近は政府御用達のカホリになってた)カルヴィの番組にダニエル・コーエンが出てたんで、夜になってからウェブでもう一度見直した。
C dans l'air :Système D et plan B
出演者は、コーエンの他にも、CGT(大手労組)のMaryse DUMAS、ソルボンヌの経済史の先生Jacques Marseille、あともう一人たしか経済地理学の先生。
話はジェネラル・モータースの破綻の話から始まり、今回の経済危機によって失われたキャッシュの総額が55兆8千億ドル、つまり世界のPIB/GDP一年分にあたるって話になり、それからフランスでのインパクトと特殊性の話になり、ユーロのこと、それから将来の展望の話になる。
17世紀に“解放”された人間活動がそれからの大きな“繁栄”と“消費”の世界の拡大を許したんだが、21世紀にはその逆の収縮が起こるべきだ、とコーエンは語る。人間の価値観が大きく変わらないことには、地球はおしまいなのだ。
GMの終焉は、エネルギー依存経済と加速したスペキューレーションの結果、人口の1パーセントの超金持ちが見せびらかす権力誇示道具;(ガス食い)大型四輪駆動、そして借金を重ねて超金持たちを模倣する一般人という、米型大消費社会の終わりを告げてるんだ、という考え。20世紀は1908年のフォード社のT開発から始まったが、結局GMで終わりなんだということ、などなど。
ヴィデオは一時間ちょっとありますが、中身がつまってます。フランスでは、毎日3万人が失業してるとか。。。
*
Ce soir ou jamais では、ボードリヤールの友人だったアーバニストのポール・ヴィリリオ/ Paul Virilio がタデイの番組でカタストロフについて語っていました。
Ce soir (ou jamais !) : Emission du mercredi juin
こちらも約一時間。
ヴィリリオは“時間”概念を基軸に考えようとします。“即時性”すなわち推考の不在とエーモーション・恐怖がドミノントな現在の社会のことです。かつては大きな出来事があれば人は過去や出来事間の関係について思考し、原因なり結果なりを推し量ろうとした。だが現在では、911や戦争や津波やサブプライムや地震やパンデミーetc. と出来事/カタストロフあるいは事故ばかりが絶え間なく引き起こり(=大々的に報道され)、新しいカタストロフがその前の、昨日のカタストロフを消し去ってしまう。かつて、報道とは事象を伝えるものだったのだが、今はメディアがプロパガンダ機械になっている(この流れの元はヒットラー)。今必要なのは、空間概念にならって時間概念を思想に導入すべきである。(←と、多分言ってたと思う。)可能性はそこにしかないだろう。。。
と、結局のところ、経済系討論会も、思想家ヴィリリオが若手哲学者たちと語った対談も、話はそんなに遠くない。
両方とも21世紀における個々人の、ライフ・スタイルの話である。また、いずれの討論でも、最近の仏報道映像がトピックを進める素材として使われてるから、その意味でも興味深いかも。。。
コメント