正月3日の午後にはシャルルドゴール空港に着いたのですが、翌日は荷物の整理と食料買出しをしながら自己勝手申告三が日延長ということで一日酒を飲んでおりました。
あけましておめでとうございます。
日本では、たくさんの友人・知人やいとこ達に会い、楽しい時間が過ごせました。おいしい酒とおいしいものをたくさん頂いた。京都と奈良では、金閣寺・竜安寺・清水寺・八坂神社・三十三間堂と東寺に、法隆寺と東大寺(今回は戒壇院と二月・三月堂も)春日大社、それから温泉の帰りには信貴山にまでお参りして、「世の安泰」をお願いしてきた。
初めてお会いした園子さんには、しゃれた和食と日本酒をご馳走になり、酒には強いはずのアタクシが不覚にも酩酊状態になっちゃった。母が早死にしたせいなのかも知れないが、猫屋は年上の女性にはついつい甘えてしまう習性があるようだ。反省(園子さん、ご馳走様でした)。
今日のこちらは、夜明け前から降り始めた雪が午後1時半の今でも降り続いています。気温は零下3度ぐらいかな。あしたはもっと寒くなるようです。雪が降ると、ついつい、あれは中学校の国語の教科書だったかに載っていた「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降り積む。次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降り積む」という三好達治の詩を思い出す(記憶では雪降り積もる、だったけど調べたら違っていた)。
ボーっと降りしきる雪を見ながら「三郎眠らせ、、、」と、アルテの羊のごとく続けていたらいつの間にか「ジュウシ松を眠らせ、ジュウシ松の屋根に雪が」積もってしまった。あくまで文化的にズッコケル猫屋の新春である。
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イスラエル軍がガザで地上戦を展開している。Times 誌報道によると、2006年の対レバノン戦でも使われ、またイラクで米英軍も使ったwhite phosphorus shells(神浦さんの語彙によると「白燐弾」)を再度使用しているようだ。酷い事である。
全長40キロ、幅10キロのガザには、150万人の人々が生きている。背後は地中海だ。停電が続き水の供給もない状態で、おまけにこの季節は気温が下がっているから、海外からの援助医療・食料が途絶えれば大変なことになる。イスラエルのガザ攻撃作戦はかなり前から準備されていたとする報道もあるが、いずれにしろ今回の攻撃でポイントを稼いでいるのはハマス中枢だろう。戦争屋である。
対するイスラエル政府には、選挙を控えて、荒廃した経済と政治抗争や汚職・スキャンダルから国民の目をそらせる目的と、米国政府の権力不在時期にオバマをガチガチ軍事型プロ・イスラエルに誘導しようとする目的があるんだろう。だが、長期的に見れば、イスラエルは罠にはまったとしか思えない。米国の世界政治牽引力自体が落ちている以上、イスラエルの今回の軍事攻撃にマイナス要因はあってもプラス要因は少ないのではないか。
イスラエルがパレスティナ自治領での植民政策を終わらせない限り、イスラエルには平和は訪れないだろう。イスラエルには自国を守る権利があると、安全保障理事会で米国は「停戦議決」に反対したようだが、大体、パレスチナは国家でさえないから、これは「戦争」でもない。
イスラエルが恐怖するのは、人口のバランスでいつか「イスラエル」と言う国が旧約聖書に約束された地ではなくなってしまうことなんだが、この恐怖観念には一種の病的なものを感じてしまう。少なくともアタクシの「理性」では、申し訳ないが理解できないんだ。
昨日のニュースでは、フランス2がイスラエルよりと感じられる報道をしていた。今、ガザには外国ジャーナリストは入ってないからなのか。フランスでのTVニュースはもう何ヶ月も見てないのでなんとも言えないけれど、奇妙な違和感があった。
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世界株価の下落は一時ストップした感じだが、まだまだ底値が見えたとは言えないだろう。いつかドルの下落が始まると思う。予想外に寒い冬になって、原油価格も中東不安からまた急上昇する可能性もあるし、ガスプロムを盾にプーチン・ロシアがまたしても「力」外交を進めている。ロシアと南米(ベネズエラ・ボリビア)の接近もなにやらきな臭い。イランの沈黙もいやなカンジである。
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そんなこんなで、2009年も大変な年になるだろう。
なぜか今は熊本で農業をやってる高校時代の友人が、自作の米を実家まで宅配便で送ってくれた。日向の出の別の友人はまたしても祖母ちゃんが漬けた見事な梅干を1.5キロぐらいかなあ、分けてくれた。その友人のやっている飲み屋で出してくれた田舎のこんにゃくも、干ししいたけや干したけのこで作った煮しめも、舌触りや香りが尋常ではない美味さだった。
こちらに帰っても京都で買ってきた漬物もあるし、これも高校の同級生にもらったデパート商品券でゲットした佃煮福袋もストックしてあるから、空港で買った日本酒は昨日飲んじゃったけれど、今のところ猫屋は元気である←(サルコの嫌がらせには負けないゾ)。奈良の友人の母上が作ってくれたド派手な袖なしちゃんちゃんこは、これ着てブログを続けよと言うメッセージであるかも知れぬ。
本は、三省堂と紀伊国屋で古典:噂の「蟹工船」と、「きけわだつみのこえ」、マルクスの「フランスの内乱」、「フーコー・コレクション6;生政治・統治」を購入。目に付いた中山元氏編・訳の「メルロ・ポンティコレクション」も買った。以上すべて文庫。新書は、買っても読まないうちに賞味期限が切れるのは分かりきってるから無視したんだけど、なんとなく後ろ髪惹かれるカンジがした塩川伸明さんの「民族とネイション;ナショナリズムという難問」というのを購入。あとから調べたら、塩川さんは前に買ってまだパラパラとしか読んでなかったE・H・カーの「ロシア革命」を訳した先生である。(いらないものは買わない主義にしたんだから)全部読まなきゃね。
別送で届くはずの武道の先生から頂いた手焼き草加せんべいと、長野の友人にもらった蕎麦(たれつき)および銘菓「雷鳥の里」を待ちながら。。。母国とは、言葉とかつて時間を共有した人々と、味覚と、要するに記憶のようである。記憶をたどって、自分が誰だったのかを確認するのが里帰りか。
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力をつけなきゃ。理性力も。
みなさま、今年もよろしくお願いいたします。