帝国の逆襲①の続編をすぐ書こうと思ったんだけど、結局土曜の夜は疲れすぎてて夜10時には就寝、日曜に目が覚めたらなんと午前11時だった。2月の初めなのに、やたら天気がよく、気温も上がって、突然はーるですねえ。やたら眠い、なんだこれは。おまけに結局日曜日の夜は、降ってわいた雑用を片付けるのでほぼ一晩つぶれてしまったのでありました。
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天気のいい週末ぐらい、われらが大統領のことは忘れてのんびりしようと、多くの市民(住人の約70パーセントぐらいと想定する)が思ったわけですが、そうは問屋がおろさない。いやサルコが許さない。日曜午後になって、ヨーロッパ憲法(ヴェルサイユ)議会批准をテーマに、サルコジがまたしてもTV演説、とネットにあったから夕方つけてたTVを演説の8時ジャストに消す。
しかし、夜遅くのニュースをつけて、ガーン!!!ヌイイ市長選挙がらみで、息子のJean SARKOZYが大写し。ネット・ニュースも同様。
さっきリベ見てみたら、サルコジ支持率(Ipsos-Le Point)はまた下がって、こんどは39%だそうだ。そういえばイプソスから土曜の昼過ぎに家にも電話かかってきた。政治調査っていってたけど、メンドイのでアタクシニホンジンネ、といって断った。あれね。
なにしろここんとこネタありすぎでついていけないわけです。簡単に拾って解説してみます。
オプズvsサルコ、smsスキャンダル
前回簡単にご説明いたしましたが、もう一度。2月6日のオプス・ウェブ、ゴシップ欄の記事Le SMS de Sarkozy à Cécilia は、 "Si tu reviens, lui a-t-il écrit, j’annule tout" というカルラとの結婚一週間前に、サルコジからセシリアに送られた(とする)携帯メッセージを紹介した。翻訳すると「帰ってきたら、すべてキャンセルする」ですね。これはオモシロイというんで多くのサイトがこれを報道。
で、翌日7日サルコは、"faux, usage de faux et recel" 日本の法ではなんていうのか分かりませんが要するに刑法にある『偽造と偽造の使用、および隠匿』の罪でオプスを訴えたんですね。ついこないだ、アイルランドの格安飛行機会社Ryanairが、広告にサルコとカルラの写真を使ったことに対しては、民事での“difamation”つまり名誉毀損で訴え、サルコ・カルラカップルはそれぞれ1ユーロと6万ユーロの賠償金を飛行機会社から勝ち取っています。
しかし今回は、刑事訴訟であって、オプスは有罪とされた場合、サルコの弁護士Me Herzogによると3年禁固と4万5000ユーロの罰金にあたいするんだそうである。
ここで問題になるのは、あのシラク大統領の汚職についてもそうでしたが、憲法の決まりで、仏国大統領というのは法的拘束の対象となりえないんですねえ。つまり、本件を裁こうにも関係者である大統領へ事情聴取はできないし証拠も大統領サイドから提出しえない。もう一方では、オプスは報道機関ですから、情報ソースを明かす義務はないはずなんですね。1月にあった記者会見でも、サルコジ大統領自ら以下のように発言しているんです。
"D'abord, s'agissant de la protection des sources, qu'elle soit dans les locaux professionnels ou dans le domicile privé, ma réponse c'est oui. Un journaliste digne de ce nom ne donne pas ses sources. Chacun doit le comprendre, doit l'accepter. Il m'arrive d'être mitigé sur le respect d'une certaine déontologie professionnelle de certains de vos confrères. Je ne l'ai jamais caché et je l'assume. Mais de la même façon qu'au moment des caricatures du prophète, j'ai pensé que c'était pas très habile, mais je préfère les excès de caricature à l'absence de caricature. Je préfère les excès de la presse à l'absence de la presse".
長いんで翻訳はゴメンネなんですが、ように“プレスの不在よりは、内容がいかなるものであってもプレスの過剰を選ぶ” と宣言しているわけ。
どう考えても、実際の裁判沙汰にまでは行き着かないケースだと思われますが、ここでのサルコの目的は、メディア全体に対する警鐘、あまりいい言葉じゃないですが要するに脅しです。これ以上サルコジをおちょくると怖いことになりますよ、、という意味だ。
ここは微妙です。元来、少なくとも政治家のプライベイト・ライフはオモテに出さない、というのがフランス式だったわけですが、この“お約束”を、コンプレックスもタブーもなく奥さん・子供・母親・友人・愛人と親族総出演で自分のキャリア構築に利用してきたのはサルコジ自身です。
あんな記事は、たとえばイギリスだったら別に訴訟の対象にはならないんじゃあないかなあ。どうなんだろう。また、メッセージ内容のの真偽はともかくとしても、ネタはセシリア・サイドから流れた可能性が大きいと思うんですが、たとえばヴァティカンの教皇の隣でも携帯出してメッセージ読んでたサルコですから、報道されているように、離婚後もセシリアにメッセージ攻撃してたって話も、まんざら嘘とも思えないわけでありますよ。
まあ今度の奥さん、大体グラビア・スキャンダル専門誌に定期出演の元トップ・モデルで今は“歌手”。だいたい資産も奥さんのほうが桁違いに多く持ってるらしいし、情けない話ではあるが、こうなったらサルコジ髪結いの亭主を目指して、政治から足洗ったっていいわけじゃん。
ラマちゃんヒューマンボンブ
アパティのラジオ番組(2月8日)に出演したラマちゃん人権担当相が、チャドとフランスの関係について語るはずが、ちゃぶ台ひっくり返し技出して、突然激しいメディア批判を展開。サルコを批判・攻撃するメディアを“charognard”と形容した。関連記事AFP
charognard とはcharogne、つまり腐った屍骸を食べる動物;ハゲタカやハイエナとかのこと、また他人の不幸を食い物にする人でなしに対しても使うそうです。
アパティの出演しているカナル・プリュスのサルコ批判、オプスのSMS記事、また先週の週刊誌ヌーベロプス、エクスプレス、ル・ポワンがそろってサルコジに批判的特集をしたことの結果が、ラマちゃんのちゃぶ台返し発言になったわけです。
問題のラマちゃんが喋ってるところのヴィデオ、TVで見たけど、ところどころメモ見てた。ははーん。シャルニヤールの出所はアンリ・ゲノじゃないのかねえ。ありえるありえる。
さて、本日アパティは「結局のところ、シャロニャールが襲い掛かるのは死んだ相手だけ」と言ってた。そうだ。この一戦、アパティの勝ちだな。
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さて、参考に上記にあげた雑誌のサルコ特集です。
Le Nouvel Observateur - Le président qui fait pschitt...
また、マリアンヌもサルコ特集でMarianne : Hier ils se couchaient... aujourd'hui, ils le lynchent ! おもしろそうなんですが、残念ながらネットでは(2.5ユーロ払わないと)読めない。
なお、エクスプレスの次の号は、カルラ・ブルニへのインターヴュー独占記事特集だそうで、、あーあ。
しかし3月の市長選挙を前に、UMP内ではサルコ派と非サルコ派間の抗争が絶えず、お家騒動の気配がだんだん強くなってきました。結局のところ、サルコジは孤立し結局辞任という可能性も大いにあるよね。
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翌日追加、サルコジ支持率低下に関するル・モンド社説です。ブーメラン現象
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いまだゴタゴタが続くル・モンド社なんですが、アラン・マンクにかわって、ル・モンド社の監査役会(Conseil de surveillance)議長に Louis Schweizer(元ルノー社長)が就任することになりました。参考記事マリアンヌから:Le Monde sort provisoirement de la crise
一時はサルコジの兄である、ギヨーム・サルコジが監査役会に入るんじゃないかって噂もあったんで気をもんでいたわけですが、ひとまず安心。
なお、2007年から2008年にかけて収入が平均40%アップしたのが、、、cac40上場企業CEOたちだそうであります。サルコのスローガン、“もっと働いてもっと稼ぐ”は彼らに当てられたものだったようですね。。。仏経済不振、ユーロ高、国家赤字増大、産業移転で工場閉鎖が続いても、シャッチョウさんの給料は上がるという新資本主義の大不思議です。
以下は、かつてサルコジが救ったという企業アルストムの実情についてのELBの手厳しい記事。これも貼っておきます。
猫屋さま、中々エキサイティングな展開ですね。純ちゃん劇場を上回るものを予定しているんでしょうね。サルコ2号、という命名には笑いました。神経生物学者のコメントもさらりと言っちゃうところがダンディ。くれぐれも御身ご自愛ください。
投稿情報: ラム | 2008-02-14 23:06
しかし、仏国住人の意地にかけてなんとも阻止したいものです。
投稿情報: 猫屋 | 2008-02-15 04:15
一つの衝撃的な問題は、通貨である。
中国とロシアは、これまでの決済をドルから、それぞれルーブルと人民元という「ドルに変わる強い通貨」で貿易結成を行おうとしている。米ドルが天下だった二つの共産主義全体主義的市場で、それぞれの国家が、自国の通貨への信任を強めていることこそ、西側アナリストの想像をこえる事態の出来(しゅったい)なのである。ソース=宮崎正弘
これ、遠因でしょうか?
投稿情報: ラム | 2008-02-16 01:08