ちょっとご無沙汰しておりました。
アンチ・サルコジの流れが、以前のようにマイナーな個人ブログや、もともと反権的ヌーベロプスとかリベの領域を越え、大手テレビ(たとえばアンヌ・ロマノフやモ・クロワゼはfrance2)でも人気を得るようになった。もちろん、その裏には批判を忘れたル・モンドの経済危機や、公共TVからコマーシャルをなくすという1月8日の大統領宣言といったバックグラウンドもある。
解説;公共テレビ(2・3・4・5・RFO、、)は視聴者の払うTV税とCMを財源にして経営されてるわけだが、CMをなくすと番組制作費が減る、おまけにCM分だけ番組長く組まなきゃいけない。でも政府は新財源を見つけられず悩んでる。おまけに、フランスTVの社長カロリス自身、CM撤廃案を知らされてなかったそうな。。
なんだか、フランス大学改革の費用はEDFの株を3%売って充填、、と経済相にも知らせず大統領が演説、結果EDFの株価が下がって政府のトラヌタヌキノ財源激減という、今年初頭の話を思い出します。付け加えれば、公共TVからコマーシャルなくすという大統領発表でラッキ!はブイグ(tf1)とボロレ(ディレクト8)。クライアントが増えるってんで株が上がった。
そういえば、北駅騒動の後生放送でサルコがむちゃ怒ったのもfrance3nord のニュースでしたね。f3は地方紙に身売り、という話が出てるからこりゃ危ないです。
ってなわけで、民営化の可能性が高いTV局の番組制作者たちに、大統領に気に入る番組ばかりは作っていられるかい、って動きがあったとしても、これは人情として当然でしょう。
サルコジの人気は急落下。一ヶ月で8ポイントダウンだそうです。TNS-Sofresによると、現在サルコジへの支持は41%、信用しないが55%だそう。
公約の目玉だった購買力強化が大ハズレで、まあ最大原因は世界的経済停滞にあるにしても、世界経済の不安定さを計算に入れず、就任直後高所得者対象の減税(たとえば相続税は実質的には0になったんだそうだ)にまず着手、目玉の超過勤務手当ては複雑すぎて適応不可能の模様だし、家賃・ガソリン・光熱費・食料品価格高騰にあえぐ中間および低所得者層の財布の軽さは、仏国成長率を支えるだけの消費増加したくてもできない状況なんですね。
L'Insee調査によるフランス国民の生活意識は、なんと、過去20年(l'insee開設以来)最悪なんだそうであります。
エクスプレスより:Le moral des ménages n'a jamais été aussi bas
そんな現実とは対照的に、ブリング・ブリング・ブランド志向のサルコ一世が、スキャンダル誌のカメラマンたちを従えて、ブランドなプリンセスとヴァカンスしてたら、そりゃあ腹たつ。おまけに、二回も離婚しといて、カトリック信仰の重要性をナンタラ・カンタラ言われてもねえ。。。カトリックじゃないアタクシでさえ恥ずかしくなります。
トゥールーズでは毎週火曜日夜、違法滞在移民の拘留に抗議して、フランチェスカンの坊さんたちが一時間の祈祷をしてる。これはTVで見た。サルコ、ツメアカ。
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米国FRB(FED)がまた金利を下げました。一週間に2回も下げるってのはこりゃ、かなりパニクッてる証拠です。おまけにウォールストリート株価は下がった。アカン。
ティム・バートンの新作映画、Sweeny Todd の批評で、『これでアメリカもおしまいだ』って書いてるのがありましたけど、そういうことかも。
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アングロ・サクソン形経済をモデルに、現在の社会を改革して“経済成長率”を上昇させる、というのがサルコジの夢だったにしても、(大体現在の世界経済の不安定さをまったく理解してはいなかった彼の)その夢は、相続税を実質撤廃した時点で終わってしまった。。
あとはブランド志向ヴァカンスをいくら見せびらかしても、“文明の政治”を語って、舌の乾かないうちに“カトリック思考”を説いてみても、大統領自身の(プラス、アンリ・ゲノの)人間性の空洞をさらに証明するばかりで、本来多様でおまけに頑固なフランス国民をひとつにまとめるはずの大統領という役職に、あの小男ではまったくのミスキャスティングなんだと今頃みんなが気がついたというわけ。
サルコジは情報(インフォメーション)とコミュニケーションを最初から取り違えていた。内容あるいは実態がなければ、アジョンスモン(agencement)あるいは編集でもいいけど、いくら編集あるいは管理しようとしても、それは空洞の周辺を複雑化するだけなんだよね。
ブッシュとそのコピペたちは同じことをしている。改革するといって、新しい世界オーダーが与える恐怖感圧迫感を自己への支持に結びつけた。彼らの“思想(新保守)”とは、いってみれば“思想の不在”であって、それは新世界オーダーつまり巨大化した資本に結びついた単なる先祖帰りなのに、恐怖する人口、つまり高齢者や低収入層、農民層に支持された。恐怖を伝播する媒体としてTV(+映画)が機能したんだと思う。
大手メディアをコントロールした時点で、サルコは自分は勝ったと思ったに違いないんだが、上にも書いたけど仏国民の頑固さ、いいかえれば左であったり、ドゴール主義であったり、カトリックだったりするフランス人口のコンヴィクションつまり確信とか信念を、あまりにないがしろにした。彼自身が、成功=金以外コンヴィクションのない人間だからだよ。
大統領がそういった多様なコンヴィクション全体を抱え込み、統一化する能力がある間は、仏大統領制度のモナルシー(君主)的性格を仏国民は容認するのだとアタクシは考える。サルコジの目的が、自己の目的達成(権力=金)であると理解できた時点で、国民はサルコジに見切りをつける。
ただねえ、任期はまだ4年と何ヶ月か残っているわけで、こりゃ長い。この行き詰まり状態から脱出するにはどうしたらいいのか。これを見出すのが今の最課題なわけですが、なにしろ仏国の大統領権限は、まあ独裁国は別にしても、世界でいっちゃん大きいわけだし、サルコジ一世は、そのコム力を総動員して対抗勢力を解体しちゃった。。。うーむ。。。
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以下は、サルコジ支持率急落下に関するル・モンド記事です。
LE MONDE | 31.01.08
おまけ:先週のオプスから、新著 Chronique de règne de Nicolas Ier を出したばかりの Patorick Rambaud による“国王とブルニ伯爵夫人”。サン・シモン風パロディで笑える。高級官僚クロード・ゲオンはゲオン枢機卿にヘンシーンしてます。
Le souverain et la comtesse Bruni
以下は新著からの抜粋;
Même parvenu, Notre Précieux Souverain ne trouva point la paix en lui-même, tant il restait secoué en continu par des nervosités. Qui l’a vu fixe et arrêté ? Il ne bougeait que par ressorts …
Il marchait des épaules avec une façon personnelle de se dévisser le cou, remuant par courtes saccades comme s’il était engoncé dans un costume …
Quand il parlait en public, plusieurs fois dans une même journée, il se rengorgeait ainsi qu’un pigeon et se livrait à de curieuses contorsions pour animer ses dires …
ムニンシパルに身内からも出てくるなっていわれて暇になりすぎちゃったのか結婚しちゃいましたが、セシリアにしてもカルラにしても、外国人でフランス人を馬鹿にする発言をしているし、そういう人とばかり結婚してる猿氏も根っこのところじゃフランス嫌いなんじゃないですかね。やってることにフランスへの愛は感じられませんね。
長い正月休みが終わって、レジスタンス再来の兆し。。。
投稿情報: Amina en résistance | 2008-02-02 15:33
つか、武器売るはずのチャドの様子もやばいし、ソック・ジェンでも“金融業界にモラル”とか自分の銀行口座にしか興味ないくせに、平気な顔して言ってたので、いつものアッチムイテ・ホイ要素もあるかと。
サルコが愛しえるのは、“誰もが愛しているはずの自分自身”だけじゃないのかなあ。つまり、はじめから無理。カルラもそこらへん同じだよね。数字とか、ゴシップ誌とか、ブランドでしか確認できない愛なんて、、、と一応言ってみる。
投稿情報: 猫屋 | 2008-02-02 15:54