でもって、翌日ル・モンドの短い無署名社説翻訳にかかりました。しかし、猫屋ル・モンド社説翻訳はこれまで何本もやったけど、今回の社説だれが書いたんだろう、こういう文体は初めて。ということでかなりな意訳アップです。
なお右の写真は本文といっさい関係ありません。
Attention, gadget !
新製品に危険あり!
ル・モンド 2008年1月5日国家元首のエリゼ大統領宮就任以来の政治マーケティング革命実現化のあと、今回は内閣マネージメント変革の時である。以後チーム要員の活動は、数値をともなった具体的基準にもとづいて公表・評価されるとアナウンスすることで、現政権リーダーは明確なメッセージを、各大臣およびフランス国民にむけて送った:フランス国は、近代的で有能かつ勤勉な企業のように運営されるべきなのだ。したがって、トップ・レベルに位置する “パートナー” である各人は、多国籍企業のごとく “結果主義(culture du résultat)” に服従することになる。さらに首相が、これら指標表とパフォーマンス指針構築を、民間代理店に依頼している。
ようやく!と、政府、さらには行政機関の機能を、混乱し無能で費用がかかりすぎると批判するものたちは言うだろう。管理に若干の厳密さもたらすことは悪いことではないと、彼らは言うだろう。そして、これは英国でかなり前にトニー・ブレアが始めたと同じ一歩じゃあないか、と声をそろえて主張するだろう。この熱狂は、即座に大きな懸念を呼び起こした。そうでなければ、これは喜ばしいニュースだったかもしれない。第1の問題は、サルコジ・フィヨン各氏が賞賛する結果主義が、すでに経済秩序に退廃的効果をもたらしている事実だ。したがって、この(生産性の)政治への単純な適用には疑いがつきまとう。生産性信仰は、犠牲をともなうショートタームでのパフォーマンス・パラノイアを養い、場違いな決定や虚偽の結果発表というリスクに行き着く。ヴィヴェンディ、アーサー・アンダーセン、エンロン、パルマラットがそれを証明している。
第2の問題は、フランス国が一企業ではない事実だ。政治行為を、現政権の2・3の具体的“生産性”目標に限ってしまうのは危険だ。移民大臣を単なる国外追放された違法滞在外国人数で評価する、あるいは文化相を無料化される美術館入場者数で評価する、外務相を省内スタッフの欧州議会出席率で評価するとしても、ことはさほど重大ではない。より有害であるのは、数値の独裁が、争点の複雑性・問題点・解決法を見えなくしてしまうことにある。
そして最後に、議会権威の信用性回復が目的と想定された機構改革が準備されている時に、政府コントロール機関である国民代表/国会議員(la représentation nationale)が存在しない(nul et non avenu)と無骨に示すのは、少なくとも無遠慮だと言える。あるいは、まったくの時代遅れ(vraiment trop ringard)でしかない。知られるように、民主主義においては、まさに反対勢力こそが--たしかにフランスのそれは臆病に過ぎるわけだが--行政の起こりうる悪癖から市民を擁護するのだ。それは、行政権自体によって間に合わせに組み立てられた新製品ではありえない。
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訳者後記:売り上げ低下に原因する編集部内混乱が続くル・モンド紙なんですが、最近アンチ・サルコの帰還傾向にあります。たしかに、政府広報新聞なんてフィガロにまかせときゃあいい訳ですし、フリー・ペイパーの追い上げもあり、ル・モンドにはカウンター・パワーとしてのオピニオン紙という性格を(可能な限りで)保持していただきたい、と猫屋は考える。
さて、サルコへの支持率が始めて50%を下回ったそうで、次のテストマッチは市長選挙であろう、とか、いや大型マニフ(デモ)きゃない、とか少なくとも猫屋周辺ではアンチ・サルコの声は高まっておりますね。
48%? もう一声!!
投稿情報: k | 2008-01-06 22:45
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。ルモンドの最近の傾向や、支持率の話は、やはりフランス人の本体の知性と底力の感じさせますね。しかし、数字で評価するという部分、移民大臣は、昨年のノルマを達成できなかったために、トリストな年末を過ごしたのだとか。結果外国人には暗黒の年明けとなっているようです。もうじき自分もエロワのリストに乗りそうな勢いです。。。皆様の今年が良いものでありますように。
投稿情報: Amina | 2008-01-07 00:47
k夫人、
もってけ泥棒!セールですし、来週も7パー下がるに7000ドラクマ。たぶんヤバクなったところで、ゴケッコーンとかゴセイターンとかゴリコーンとかのパフォーマンスをかますのであろうが、もう効き目ないってばさ、ね。
Anima氏、
あけおめ、であります。いざとなったら、プラカードとかお面とか自作してデモ参加いたしませう。生き残らなくっちゃ、ね。
投稿情報: 猫屋 | 2008-01-07 02:35
テレビのチャンネルの [histoire] では、去年はヒットラー、今年に入ってからはやたら68年の暴動のドキュメンタリーを繰り返しやっています。 これって、ささやかな抵抗ってやつでせうか?
投稿情報: k | 2008-01-07 08:39
最初はたったひとつの水滴が、やがて桶からあふれ出し、やがて防波堤を決壊させるのであります。たぶん。
投稿情報: 猫屋 | 2008-01-08 03:23