RSSという言葉をどこかで読みました。Rien sauf Sarkozy つまりサルコジばかりであとはなし、という意味であります。TSS;サルコ以外なら誰でも、TPS;セゴのためならなんでもする、に続く新しい(これは傾向ではなくて)仏状況であります。TVラジオメディア、新聞雑誌の多くがサルコジに直、あるいは間接的につながっていて、話題といってもサルコばかりという今のフランスのことだ。
まあ、TVは映画にテニスとヌーベル・スターやトークもの以外は見ませんという、猫屋みたいな人間って、周りを見回したら案外いる。ほんと、洗脳メディアですよ。まあ元来TVというのは、モノを売るための洗脳家電だからね。なくたっていいんだけど、ないとロラン・ギャロスが見られなくなる。今夜のギヨーム・デュロンの番組ではマリリン・メンソンが、歌わなかったけどインタヴューに答えてたし。やっぱTVは捨てられない。
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さて、フランス憲法によれば、大統領というのはプレジッドする、つまり国を統率する(うまい言葉が見つかんない)のが役目で、直接政治執行するのは首相が責任者であるところの内閣なんですよね。そんで首相を指名するのは大統領だけど、内閣の各大臣を任命するのは首相の役目。で、各大臣は各省の財政責任を担う、、、でいいんだと思うけど、現在のサルコジ政権では、大臣任命から、ジョギングするとかしないとかまで、大統領がすべてを決めてる。(憲法違反なんですけど、マジこれでいいの?) 結局、今のところ各大臣は単なる大統領のスポークスマンの役割しか果たしていない。
もともとド・ゴールが制定した第五共和制では、WW2 時の状況を引きずってるせいだろうけど、大統領の権限がむちゃ大きい。たとえば、これも大統領権限大の米国にしたって、議会の権限はフランスよりも強いわけで、インピーチメント(元首弾劾)だってできるわけなんだ。
それに対して、フランスの大統領制には君主政治的性格が強くて、これはよく批難の対象にもなってて、元ル・モンド編集長プレネルなんてミッテラン時代に本まで書いてるんですね。それをどうにかしようと、今回の選挙ではバイルーもロワイヤルも第六共和制を打ち立てて大統領権限を制限しようとしたけど、残念ながら、結果はみなさんご覧のとおり。(たしかにサンパだったけど、何にもしなかったシラクは長い王宮生活で、アジア・アフリカ文化への薫陶を深めちゃった。大統領の仕事は、単なる現状維持=大統領職維持で、フランス国家はいつのまにか時代遅れの中央集権装置になりさがった、というのが最近のトレンド論です)
たとえば、社会党からUNP内閣に入った“裏切り”ものが話題になってるけど、全員とは思わないにしろ、何人かの政治家、それに今になってサルコジ支持を表明する元“左派”知識人なんて、早い話、レイモン・アロンがあれだけ嫌ってた、権力におもねる マンダラン(mandarin お偉方)ってわけだろう。エリゼ大統領宮は絶対君主制の王宮であって、マンダランを引き付けるというわけだ。そうするとプラダがお好きなセシリアはマリー・アントワネットか(笑っちゃうけど)。
しかし今の権力っつーのは、よーするにカネなわけでよけいみっともない。徳も品もない。
カネという、フィティッシュ対象から宗教対象にいつのまにかなってしまった“マテリアル”についても書いてみたいんだけど、これはまた次の機会に。
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下は、フィヨン内閣要員に関するル・モンド記事です。ちょっと長いんだけどこの週末に時間あったら訳してみます。タイトルは、内閣:国家改造の元年