- さっき、“アラーム・アラート” K夫人から電話あって話し込んでたんだけど、ブログや20minutes・リベ・obsに掲載されたクロノロジーやバンリュウにかかわるジャーナリスト・社会学者なんかの意見も読んでると、なんとなく“暴動”の“構造”みたいなもんが見えてくる。
大都市近縁の郊外HLM衛星都市;ゲットーで攻撃され・火がつけられる建築物の多くは、学校だったり図書館だったり、あれば警察オフィスだったりする。結局のところ“共和国国家”機関なんだよね。郊外若者グループが“戦争”してる相手は警察だったりCRS(機動隊)だったりする。今回はTVから送られたジャーナリストも攻撃されてる(日曜の夜)。いいかえれば、TVメディア(カメラ)も、“国家”枠に数えられてるわけだ。
昨日の夜は、大きな“騒動”はなかった。これは政府サイドが送った大人数の“保安要員”のおかげじゃない可能性が強い。サッカーTV中継があったんだよ。
(追記;この夜のヴィリエ・ル・ベルでの監視体制はかなりのものだったらしい。ヘリコプターと重装備警察・CRS、おまけに多国ジャーナリスト・カメラマンが結集。住人によると「シカゴみたいだった」そうだ。いくつかのゴミ箱が燃え、無人の街に出た男たちには書類コントロールがなされ、家族は子供たちを表に出さなかったのだそう。。。)
郊外ゲットーには何もない;企業がないから市の財源がないし(追記;国家援助も2008年予算で大幅に減額)、若い住人が働く先もない。中学・高校はあっても、“成功”モデルになるような対象がない。することがない。勉強する子や踏ん張って事業・スポーツ・音楽で成功する子もいるけど、彼らはゲットーから出て行く。“ゲットー”内にまだある経済活動に麻薬の売買がある。それを中心に“影の組織化”ができてるんだろうと思う。
ヴィリエ・ル・ベルはシャルルドゴール空港(ロワッシー)のそばだ。
トッドが書いているように、対移民抑圧政策と郊外問題のおかげでサルコジはフランスの大統領にまでなった男である。
ポリス(ゲットーに残る数少ない国家機能)と若い住人の衝突があって、死傷者がでる。死因に関する(事実であることもあるし、うそであることもある)噂が流れ、若い衆が周辺に集まり、ジャーナリストも集まり、警察(CRS)の大型保安部隊が送られる。この図式はクリシと今回の出来事だけではなく、すでに何回も繰り返されてきたシナリオだ。
マッチ・ポンプが“火薬庫化”している地区に、重装備保安部隊を送ったら“戦争”になるのは道理じゃないのか?
要するに、この国の大統領と郊外の“バンド”は同じロジックで動いている。“叩かれたら、叩け!”だ。同じ“攻撃性”さ。K夫人がさっき思い出させてくれたように、2年前、内務大臣が“ラカイユ”と発言、多くの人々を怒らせたあと、シラク大統領はTV演説をして“すべてのフランス人”という言葉を選んでいた。
ヌイイと、自分のコントロール下にある大手メディアと、同じく自分のコントロール下にあるアンケート会社の出す数字と、CAC40(フランスの大企業40社からなるパリマーケット)チェアマンの“仲間”しか知らないサルコジには、弱いものを叩くこと以外できるはずもない。フランスには大統領がいないんだよ。
毎回の“暴動”が終われば、次の“暴動”が起こるまで、“バンリュウ”はまた忘れられる。。
メモ;
- リベの記事:«Les facteurs d'explosion sont toujours les mêmes» この記事を書いたジャーナリストによるTV番組(残念ながらアタクシは見てない)に関するF2のページ、短いヴィデオがいくつか見られる。
- 二年前のクリシ・ス・ボワ事件に関するその後の公式調査で、少年たちは実際に警察に追われていたこと、少年たちと盗難の関連性はないこと、警察は三人の少年が変電所に入った事実を把握していたことが認められ、救急する義務を怠ったという罪で警察官2名が書類送検されている。なお、サルコ発言の“イスラム・グループが裏で組織”というのも“破壊活動を行ったのはすでに警察のブラック・リストに載ってる連中”というのはどちらも間違いだった。
- ヴィリエ・ル・ベル事件の翌日だったと思うけれどブザンスノが、“独立”機関に事件調査を依頼すべきだ、と発言している。彼は正しい。当局側は、群集鎮圧が目的なんだろうが、早い時間に“事件は単なる自動車事故だった。パトカーに乗っていた警察官3名の行動はまったく合法なものだった”と発表している。同時に“暴動”行為を行った若者
34人に、すでに実刑を言い渡している。しかし、あのパトカーとバイクの写真を見たもの(あるいは本物のパトカーとバイクを見たもの)にとって、この即席公式発表・即席裁判では、“正しい”検証が行われ、判断が“正しい”たかどうか、信用するのは難しい。ル・モンド見たら、関連記事がウェブ一面に載ってますね、クリップ。ここで問題になっているヴィデオは翌日ネットでみたやつだ。《アマチュア・ヴィデオはヴィリエ・ル・ベル事故の警察発表に矛盾する》
LE MONDE | 28.11.07
- NYタイムズの報道:In French Suburbs, Same Rage, but New Tactics、英国タイム報道 Behind the new riots of outer Paris NYタイムズは死亡した少年が働いていたパン屋の女性店主にインタヴュー。タイムス記事はヴィリエ・ル・ベル住人にインタヴューしてる。読者コメントも多数。
つまりあっち向いてホイ!のためにバンリュウ事件を起こしている人々がいるのでdしょうね?その間に、大事な案件がステルス的に決まっちゃうというような?司法のストというのは結局あったのでしょうか?
投稿情報: ラム | 2007-11-28 19:52
困った、猿ちゃん 今度は「これは、クリズ ソシアルじゃない!!!」 と騒ぎまくってます。
あ〜あ〜、誰か猿子先生の読む声明文を書く係に、もっと頭のキレる人を推薦、抜擢していただけないでしょうか?
では、猫屋さん、今晩も1つがんばってくださいね!
楽しみにまってますよ。
投稿情報: k | 2007-11-29 16:41