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投稿情報: 2006-11-09 カテゴリー: Japonais/ 日本語 | 個別ページ | コメント (6) | トラックバック (1)
今日は半日空いたんで、読みかけの本4冊ティーテーブルに並べ、煎餅・茶なども用意し、いざ読書!と思ったら、覗いたウェブオプスにこんな記事があるじゃないですか。
L'existence du compte de Chirac au Japon se confirme (リンクは期限あり)
シラクの日本口座の存在、確認取れる、ですね。
《ジャック・シラクの日本隠し口座》というエントリーでこの5月短くご紹介した、キャナール・エンシェネ暴露記事の続きです。2人のジャーナリストによる共著 "Machinations、陰謀"(出版元 Denoë社、)という本が来週出版になる。そのなかでValdiguié とLaske はDGSE(仏情報局)の機密文書の内容を載せているそうです。それは1996年11月11日に東京の情報局員がパリ当局に宛てたメッセージ。記事によると、 .
"Le montant des sommes versées sur le compte ouvert par Sowa au nom de Jacques Chirac serait de 70 oku-yens, soit sept milliards de yens, soit environ 300 millions de francs"
つまり、「ジャック・シラク名義でSowaによって開かれた口座には70億円、つまり7,000,000,000 yens、およそ 300,000,000 フランに及ぶ金額が入金された。」と書いてあるんだそうです。コードネームが Jambage という人物が情報提供者だそうですが、最後には“この銀行は胡散臭い、近寄らないほうがいい”とコメントしている。
なお、レジオン・ドヌール勲章までもらった、当時のSowa銀行頭取Shoichi Osada は2000年に汚職で刑務所行き、だそう。
大体が、ド・ヴィルパン・サルコジ抗争のコーラテラル・スキャンダル、クリアストリーム事件に絡んで棚ボタ式に発覚したシラク隠し口座なんですが、仏大統領選を前に、こんな本が出るというのは、どんな裏が想定できるのやら。。。まあ、実質権力をドンドン失ってるシラクですから、おまけにアーユー性格の人物ですから、何が出てきてもおかしくはない。また関連情報があがったらお知らせいたします。
投稿情報: 2006-11-09 カテゴリー: France | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (0)
アタクシが読んだ、あるいは聞いたことなどいくつか。
Wikipedia仏語版の該当ページが長くなってます。また、リテル個人サイト内の audio,video ページ上から三番目のリンクで、これはめずらしいですが Radio Canada への長い、完璧なフランス語でのインタヴューが聞けます。
と、思いついたまま書いてみました。ホントウの読後感は読了後に。また、カナダ放送でのインタヴューは興味深いものなので、聞いてみることをお勧めします。なおこれから読んでみようという方へ:小説最初部分の虐殺シーンを含む部分はかなりシンドイですが、そこを越えると案外“ラク”になります。
投稿情報: 2006-11-08 カテゴリー: Livre / 本 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
まずはル・モンドウェブから、
ゴンクール賞、ジョナサン・リテルに
近頃いろいろ批判の多い仏文学賞なんですが、ナンシー・ヒューストン(Lignes de faille )がフェミナ賞を受賞したのち、アメリカ国籍のリテル (Jonathan Littell、39歳) の文学作品第一作が、7票(他候補に3票)とって2006年ゴンクールに選ばれました。なお、同時に発表されたRENAUDOT/ルノドー賞は仏・コンゴ人Alain Mabanckou/アラン・マバンク(発音自信なし)、の Mémoires de porc-épic(ポーク・エピックの記憶)が受賞。
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リテルの本は夏休みから帰った時点でヌーヴェル・オプスの記事を読んで、9月に読み始めたんですが、なにしろ行間詰まりに詰まった900ページ、重さだけで一キロありそうな本。中身も重い重い。時々思い出しては読み続けてるんだけど、なかなか進まず。まだ200ぺージめぐらいをウロウロしています。受賞を機会に、もう一回気合を入れて再挑戦しましょう。ネブロ関連エントリー:この秋、絶対読みたい本 今読んでる本 日記、その2
また、こちらはル・モンドアーカイブからドイツの歴史家、Peter Schöttler による批判、“ショアの国のトム・リプリー”
パトリシア・ハイスミスの小説の人物トム・リプリーに比べてますね。
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“リアル”と“フィクション”の関連というのは、21世紀のテーマのひとつだと思います。それについて、いずれ(リテルの本読み終えてからだな、たぶん)書いてみるつもり。
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追記:フランスでもっとも読み手の多い文学系ブログ、La république des Livres (本の共和国)のピエール・アスーリンが今回のゴンクールとルノドー賞について書いています。仏文壇内輪話がわかる。
投稿情報: 2006-11-06 カテゴリー: Livre / 本 | 個別ページ | コメント (5) | トラックバック (0)
今回はひとりで映画館まで行きましたら、館内はお子様だらけ。秋休みにアニメ映画ですから当然と言えば当然。まわりで、ポップコーンのにおいはするわ、3歳-10歳ぐらいのチビどもが喋りまくるは食べまくるわ。。でも、映画が始まってから最後まで、あいつらみんな口をポカーンと開けたまま静かでしたね。アタクシもですけども、ぽかーん。
タイトルの AZUR et ASMAR はフランス読みですと「アズュール・エ・アスマール」になります。アズュールはコートダジュールの海のように青い眼をした中世フランスの王子、アスマールは王子の乳母の息子の名です。双子の兄弟のように育てられた二人ですが、王子は少年になると、帝王学を学ぶために城を離れるんですね。同時に乳母とアスマールは城から追われてしまいます。
王子は大人になって、子供の頃乳母が語ってくれた地中海の向こうに行こうと決心する。北アフリカです。だが、船は難破してしまう。海岸に流れ着いた王子に待っているのは、飢えと疲れと絶望です。さて、王子は乳母が語ってくれた『ドラゴンやライオンとの闘いに勝って、大宮殿に住む妖精をお嫁さんにもらう』ことが出来るんでしょうか。アスマールと乳母にもう一度会えるんでしょうか。。。
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ストーリーで言えば、竹取物語や流譚篇の流れです。『むかし、むかしあるところに、、/Il était une fois, un homme....』ですね。これは世界共通のテーマ。新しいのは、グラフィックです。ディズニー系のCGアニメとは違って、3Dではなく、イメージが平坦。でもそれがイスラム絵画テイストに不思議にあっています。フランドル絵画(ファン・アイク兄弟)やユニコーンのタペストリとも通じる美学です。
一言で言えば、かつて欧州が夢見たオリエント、千夜一夜の世界。天文学・数学を初めイスラム世界が先端だったころです。関連記事を読んでみたら、建築はアルジェリア・モロッコ・チュニジアから、衣装は16世紀のイランをモデルにしたとか。
古い聖書も出てきますし、シナゴーグも廃墟化したキリスト教会も出てきます。アラブのプリンセスのグラマーさも忘れられません。
一部の会話、文学アラブ語だそうですが、訳がスパー・ポーズで画面の下に出てこないのも特徴。外からやってきた人間に外国語が分からないのは当然だからなんだそうですが、なるほど。あと、映画冒頭に、乳母が2人の赤ん坊におっぱいを飲ませるシーンがあるんですけれども、アニメでも米国とかシンガポールではおっぱい部分はカットするそう。病気かおまいら、とかおもっちゃいますが。
もう一回、友人の子供を借りて見に行こうと思う。DVDもいいけど、大画面がすてきです。
後記:この作品はヨーロッパ映画となっている。資本が欧州複数国から出てるわけですね。
投稿情報: 2006-11-04 カテゴリー: Cinema | 個別ページ | コメント (9) | トラックバック (2)
前エントリーにクリップしたル・モンド記事ですが、翻訳文を別エントリーとしてアップします。
《もしリスクが嫌いだったら職業を変えるべきだ》
ティエリー・デマレ(THIERRY DESMAREST) トータル社(TOTAL)CEOへのインタヴュー:10月31日付けル・モンド記事
ボリビア政府とトータル社を初めとする化石燃料(hydrocarbures)大型企業間に結ばれた契約についてはどうお考えですか?
南米における天然ガス価格の上昇は、ボリビア政府の収入増加を可能にしました。同時に、新たな資本投入を正当化しうる額の利潤というパースベクティヴをもたらしてもいます。
トータル社の次期CEOに指名されたフリストフ・ド・マルジュリ ( Christophe de Margerie ) は、かつてのイラク国連プログラム“オイル・フォー・フード”問題に関連していた疑いで取調べを受けました。それでも予定通りあなたの後任者となるのでしょか?
はい。理事会の同意を受け、2007年2月中旬にはクリストフ・ド・マルジュリがトータル・グループのジェネラル・ディレクターに就任するよう提案しました。私は彼の優秀さと潔白さを知っている。この問題には、クリストフ・ド・マルジュリにつながるエレメントは一切ありません。したがって、彼にはまったくの信頼をおいています。
シェルとBPはロシアで難しい状況に陥っています。カリアガ(Khariaga)油田におけるトータルと同じように。ロシア当局はトータル社が契約を守っていないと非難していますが、これにどうお答えになりますか?
当局の非難が理解できずにちょっと困惑しているところです。 私達は、特に環境問題を重点として、この契約内容を守っている。私たちが彼らに要求しているのは単純なことです:明快で予想可能なルールです。
最近の下降にもかかわらず、原油価格は高止まりしています。これは需要減少につながりませんか?
そうです。これは今年当初に始まった新しい傾向です。ヨーロッパ、合衆国、そして中国を除くアジアで、需要増加はほとんどゼロに等しい。
世界レベルで言って、経済成長率が5%であるのに対して、2006年での(原油)需要増加率は1%を下回る見込みです。この乖離は価格高騰の結果です。
価格上昇は同時にマイナス要因でもありますね:特にロシア・ベネズエラ、そしてボリビアでの原油をめぐるナショナリズムの回帰です。。。
驚くべきことではないでしょう。オイル価格が低い間は、国営企業は資本投下できずに外国資本に開発を依頼する。 価格が上がれば収入も増加し、独自の開発が可能となり、ナショナリズムのよみがえりに立ち会うこととなるわけです。
もっと一般的コメントをいたしましょう。リスクが嫌だったら、職業を変えるべきなんです。なぜならオイル業界でのリスクとは、地質学・工業・経済・政治といった広範囲にわたるからです。
ボリビア・ベネズエラそしてロシアを例に挙げられましたね。一般化してはいけません。リスクとは管理するものです。そして最もよい策とは地理的分散です。ペトロフィナ(訳注:旧ベルギー石油企業)そしてエルフ(旧仏石油企業)との合併は私たちのポートフォリオを世界中に広めることを可能にしました。私たちは自社のリザーブ拡大のキャパシティについて確信を持ち続けています。
生産国が、原油価格が低かった時に結ばれた契約内容の変更を求めるというのは正当ではありませんか?
原油価格が15ドルだった時点で、かなり冒険的プロジェクトをいくつか立ち上げています。特にベネズエラでの1997年の Sincor[非常に重いオイル] プロジェクトでは、40億ドルという思い切った資本投下を行いました。結果としてベネズエラ政府は低税率を認めました。
市場状況は変わり、私たちは高価格というコンテキストに見合った内容を話し合う準備がありました。残念なことに、ベネズエラは、建設的話し合いよりもユニラテラル(訳注:一方的)な道をしばしば選んでいます。現在は、Sincor への関与率を増したい国営企業PDVSA との交渉に入っています。
もうひとつ変化したエレメントがあります:可能性を秘めた(原油・天然ガス)鉱脈を持つ国々に対して、新顔の競争者[新開発国:中国・インド・ブラジル]を含めた候補がひしめくようになったことです。結果、受入国にとってはよりよい条件で契約を結ぶ可能性につながった。
化石燃料の埋蔵量枯渇は決定的問題なわけです。ペシミストの最たるものは、生産量ピークを2010年と見ています。あなたの状況分析はどういったものでしょうか?
トータルの地質学者は、国際エネルギー機関(IEA)の描く、2006年における1日あたりの生産量8500万バレルが、2030年には1億2000万バレルに増えるというシナリオを信じていない。私たちは、IEAのマルサス的過度には一線を置いていますが、その専門家たちの論理も堅固なものだというのは認めねばならない。
私たちは、ピークは1億2000万には達せず、むしろ1億から1億1000万の間だろうと想定しています。従って今から需要を抑えねばならない。もしも一年に2パーセント増加するとして、その場合あの“オイル・ピーク”は2020年にやってくる危険性がある。しかし、それがおよそ1パーセントという数値であれば10年の余地が生まれます。この猶予は産業レベルでの代替エネルギー開発、そして過渡期を準備するために重要なものとなるでしょう。
国連による対イラン制裁の可能性は、この国でのトータル社プロジェクトの障害にはなりませんか?
核拡散に関する-大きな-懸念は理解できます。けれど国連安全保障理事会内の多くの人間が、世界はイランの原油を必要としているし、同時にイランも世界を必要としている事実を認識しています。現在、世界の原油埋蔵の98パーセントが起動している。市場にさらに圧力を加え、自分の足元に弾丸を撃ち込む愚行は避けるべきでしょう。
インタヴューはジョン-ミシェル・ベザ (Jean-Michel Bezat) --------------------------------------------------------------------------------
トータル社に関する数値(2005年)
Chiffre d'affaires/総売上高: 1431億6000万ユーロ(前年に比べ17%上昇)
Bénéfice net/純利益: 120億ユーロ(31パーセント上昇)
Investissements/資本投資: 139億ドル(109億ユーロ、26パーセント上昇)
Production/生産量:原油に相当する1日あたり248万バレル(4%減)
Réserves/埋蔵量 2005年末において原油に相当する 111億600万バレル(12.2年分)
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訳者後記:フランス大企業CEOの中でも、同族会社の2世企業人や複数の会社トップ職を次々に経験していく企業人とも一種違ったリアリズムを見せるエンジニアたたき上げのデマレ氏です。(1945年生まれ、81年にトータル入社、95年以来PDJ/CEO)
なお原文は以下、
投稿情報: 2006-11-02 カテゴリー: Economics/経済, trad/翻訳 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
まずは、地球温暖化がもたらす経費は55億ユーロ(ってたぶん822兆円か)に及ぶだろうというル・モンド記事です。情報源は、この日曜日に英国オブザーバー紙が抜粋を発表したStern Review final report 。
元世界銀行責任者である、サー・ニコラス・スターン氏の700ページに及ぶレポートには、今から10年間に各国政府が大掛かりな対策に着手しない限り、地球は居住不可能になり、温暖化コストは、20世紀の2大戦と1929年の恐慌がもたらした金額を越えるだろう、と書かれている。
このレポートの重要性とは、これまでにあった自然科学者間・エコロジストの論議ではなく、経済学者の、しかも英国政府に近い人物の発言であること。そして具体的な(とは言えゼロが多すぎますが)数字を出してきていることだと思います。また、英国発なんで、米国政府に対する警鐘と見なしていいだろう。最近はカナダも京都議決を無視する方向にあるわけですし。
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こちらは、石油会社TOTALのCEOティエリ・デマレへのル・モンドインタヴューです。アングロサクソン系石油メジャーとオリガルク・ロシアメジャーにはさまれるこの仏系多国籍企業責任者が、ジオポリ・エコロジー・エネルギー等の諸問題をどう見ているか。大記事ではないですが、興味深い。時間があったら訳して見ます。
トータルCEO:『リスクが嫌だったら、職業を変えたほうがいい』
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直接の関係ないですが、あのチェルシーを買っちゃったアブラモヴィッチ氏が離婚訴訟で全財産の半分を(元)奥さんに持っていかれそうだ、とどこかで読みました。氏は現在は英国在住なわけで英国法が適用される、つまりロシア系オイル・オリガルクナンバー2の(サッカーチームを含めた)資産半分がパー。ロシア法だと国営アパートとロシア国産車一台だけ、とかになるそうですけんども。なんとも。
投稿情報: 2006-11-01 カテゴリー: Economics/経済, Monde / 世界 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (1)