さて、おとといの夜、寝不足および白ワインの飲みすぎから結果したファイアフォックス・タブ操作ミスで消えてしまった、3月4日のVictoire de la Musique TV生中継(FR2)についてのエントリー再現を試みます。
説明してみると、これ、日本レコード大賞の幅をもっと広げたようなものでありまして、フランチ・ポップスのアルバム、コンサート、DVD、映画音楽まで含み、過去一年の活動が対象。プロによる投票と一般オーディエンスからの投票で受賞者が決まるわけ。
Raphaël /ラファエル:シャンソン・ヴァラエティ、男性最優秀歌手、(オーディエンスが選ぶ)最もオリジナルな歌、の3部門受賞→ネブロ関連ページ
Camille/カミーユ: 新星(révélation)アルバム、最優秀新星コンサートの2部門受賞、→ネブロ関連ページ
Juliette/ジュリエット : 最優秀女性歌手
Amel Bent/アメル・ベント : (オーディエンスが選ぶ)新星アーティスト部門
Louise Attaque/ルイーズ・アタック : ポップ・ロック部門最優秀アルバム、 A plus tard crocodile
Est - ce que tu m'aimes ? (Arthur H et M), Rodolphe Pauly製作 : 最優秀ヴィデオ・クリップ →ここのページ右上のvideoをクリックするとクリップ冒頭のみですが見れる。
Zazie/サジ : ミュージカル・コンサート部門に "Rodéo tour"
Emilie Simon /エミリ・シモン”: La marche de l'empereur 、映画・TV音楽部門
Souad Massi /スワッド・マシ: アルバムMesk elil 、ワールド・ミュージック部門
Noir Désir/ノワール・デジール : DVD部門 、製作者Don Kent
Disiz La Peste/ディジ・ラ・ペスト: Les histoires extraordinaires d'un jeune de banlieue(バンリュウの若者のすばらしい物語)に、ラップ・レゲ・ヒップホップ・R&Bアルバム部門
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ラファエルは余裕。カミーユは受賞後コメントで答える代わりに、バック・ミュージシャンと共に歌を披露。乙。
印象に残ったのは、30歳台アーティストたちが世界中の音楽をミックスして自分の音とする傾向と、女性陣の一種過激なオリジナリティだ。アーティストたちの人種的ミクスチャぶりと、広い意味での政治性は言うまでもない。20歳のサンドニ住人でアルジェリアとモロッコの血を引くフレンチ・ソウルのディーバ、アメル・ベントの歌『 Ma philosofie/私の哲学 』 は現在の二十歳の女の子がどうやってこの社会で生きていくかを歌ったものだし、賞はもらわなかったけどベテラン・シンガー、アラン・スーションがオランピアからのライヴで歌った、Et si en plus y'a personne /そしてもしも誰もいないのなら、は差異に引き裂かれる同時代性を歌ったもの(歌詞はここで読める)。
現在、服役中のベルトロン・コンタのグループ、Noir desir のライヴDVDが映像賞を撮り、またShibuya Station という隠れた秀作をレパートリーにもつルイーズ・アッタクの受賞時コメントの最後は 『シャルリー・エブドよ永遠に!自由万歳』 だった。
なお、開催側は一切何も言わなかったけれど、シャンソン界のディーバ、ジュリエットのバック・ミュージッシャンたちがアンテル・ミートン(国とアーティスト労働条件法改定をめぐり現在も交渉中)声明文を読んだ。
また、バンリュウ組デジィ・ラ・ペストが歌った時にはディアムスもステージで熱唱、貫禄ぶりを見せていた。
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賞はもらわなかったけれど、アナイスという不思議な女の子が披露した、ケルト音楽をシンセを使って一人でやっちゃう(声でやるフェイクなバグパイプや縦笛、アクセント付き英語の歌込み)が凄かった。映像探したんだけどネットではまだ見つからない。オリヴィア・リュイズのリタミツコっぽい踊り付きパフォマンスもよかったし、Superbus のJ-POP影響強しのロック振りもよし。映画『ペンギン』がオスカーとったけど、あれは音声が米国版なんで仏国に残ったエミリ・シモンもこちらでは受賞してよかった、よかった。
ザクっとみつくろってアーティストのリンク貼りました。また、今のところfr2のサイト該当ページ右側 videos 欄からカミーユがニュース・インタヴューに答える映像があります。最後に(時間が足りなかったらしくて)高速版 Ta douleur 聞ける。また、アナイスの mon coeur mon amour は→ moncoeurmonamour.asxをダウンロード 。
オスカーの発表もあったですね。個人的には、クルーニーがシリアナで助演男優賞、アン・リーが監督賞、皇帝ペンギンがドキュメンタリー、おまけにポラックとならんで猫屋大好き、ミロス・フォアマン←(見事に勘違い、同様に東欧系ではあるんだがのう)、ロバート・アルトマンが特別賞取ったようす。ま、こんなもんだな。ハウルの城はワラス&グロミットにオスカーをさらわれた。ま、そうだ。
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当ブログ編集者感想:各フランスポップアーティストの公式サイトにリンクつけて見ましたが、なんかやたらユニバーサル・ミュージックが多いんですよね。いやただ言ってみただけですけども。
猫屋さん、フォアマンじゃなくてもアルトマンもお好きなんですよね?作品賞はサプライズだったみたいですが、下馬評が高すぎるとかえって反動が出てくるあたりアカデミー賞らしかったんじゃないですかね。ラリー・マクマリーさんの脚本賞受賞はよかったですね。オスカー授賞式は多分NHK衛星放送が録画ダイジェストを放送するまでみられない(ウチは生中継した放送局とは契約してない)ですが、ゴールデン・グローブのはかなり遅れてですが先日やっと観ました。ラリーさんかなり味のある爺さまでした。
おっと、Musiqueの方の話題。上の受賞者リストで唯一リンクのないアルチュール・アッシュとM(エム)のヴィデオが気になるのですが、どんな感じでしたか?Mは単独でもノミネートされてたようですね。もう十年近くになりますが、彼のデビュー盤だったのかな、パリVirginで買って帰ったですよ。今でも時々引っぱり出して聴いとります。
投稿情報: imasaru | 2006-03-07 04:56
アルトマン、いいですよお。名前忘れてたけど。
>ラリーさんかなり味のある爺さまでした。
ウィリアム・クラインもだけど、ポラックもだけどこの世代がみんな爺さんになって、当たり前なんだけどビックラしたり、するこの頃ですよね。
該当ヴィデオ探したんだけど全部版見つかんない。内容はおっさんが2人、ウエスタンをTVで見ながら、画面内砂漠でウェスタンを演じると言うノスタルジーもの。製作者の男の子は20ちょいぐらいのアクター兼の人。白状すると、アドなんかに凄い人気のMですが、私はちょっと苦手なんだよね。(コミック・バンドじゃん、って感じで、音がネチッコイ。有名歌手の二代目だしさ。) なお、いくつかリンク追加しました。
投稿情報: 猫屋 | 2006-03-07 12:53
猫屋さん、こっちでもメルシー。
Mてそうなんですか。日本でほとんど紹介されないから、手持ちのCDの印象で内省的な宅録青年のイメージのままでした。でも、H&M、揃っておっさん。
仏語ポップス好きなのに、歌詞を理解しようとするとバカの壁が(定義が違う?)。
地元のCDショップで見やすいディスプレイのワールドミュージックコーナー(イギリス以外の欧州・アフリカ〜アジア、中南米)があった店が消滅し、ジャケ買いの楽しみがなくなって久しいです。アマゾンだとあまりそういう買い方しないものですよね。反動か、海外に行くと試聴機に入ってるのを片っ端から聴いては買い込んでしまう癖が(最近海外にも行けないけど)。
投稿情報: imasaru | 2006-03-08 01:30