今日はひとりだったので、キッチンで夕食の支度をしてたらラジオ(フランス・アンフォ)から急に『シラク・シラク』熱烈コールが聞こえた。なんじゃ、UMP党大会の時期でもあるまいし。外語理解能力システムを聞き流しモードからハイレベルにアップしてみると、、なんと、大阪大相撲春場所だった。TVは今日もつけなかったから残念ながら映像確認はできませんでしたが、日本シラクフィーバーはフィードバックしてフランスで燃えているような。関連報道があっちにもこっちにも。
media@francophonie のメディさんが リベラシオンの記事3本、日本語訳してくれています。昨日からシラク系、なんか書きたいなと思ってたんですが、私事雑用がドカーンと入り、手が出ない状態だった。こういうときは『他人のふんどしで相撲』、(一応シラクに引っ掛けたのだが)というきわめてヘタレなnekoyanagi の今日この頃。
シラクがらみではあっても日本の古典文化が紹介されるのはいいことです。リベの記事内に見え隠れする批判、特にシラクの得意技:税金使い、をチクチクと使うとこなんざ、あくまで反権力オピニオン紙/リベラシオンなんですが、こちらの日本ブームは相変わらず続いてますし、リベの記者も(たぶん訳者のメディさんも)リラックスして楽しんで書いてますね。
書き加えれば、シラクの“ジャポン・モナムール(日本・わが愛)”道楽に国費を使っちゃいけないよ、は当然の批判です。あと、大統領 monarchie /君主説という見方もあって、ド・ゴールが確立した第5共和制では大統領の権限が強まり、同時に内政は首相が責任とることになっている。結果、シラクはエリゼ宮内の大改装してみたり、“国際社会”で大見得切ったり、リベの記事にもあるポルトドベルサイユで開催される農業展で“恒例シラク牛尻叩き”してみたりのパフォーマンスに励む。EU憲法国民投票・低下しない失業率・教育危機・人質問題・社会保障問題、、と積み重なる国内問題をある意味スケープゴート的に任命された“首なし男”ラファラン首相に押し付け、シラクには日本学お勉強の時間はあるよな、とイヤミも言いたくなる。
ただ、政治はコストパフォーマンスだけでは測れないものである。大統領というのは、隣国ベルギーを見るとよく分かるんだが、君主政における国王と同じように国民国家統一性保障機能といった一面を持っている。なかなか微妙です。
あと1点、これはアンドレ・マルロー批判にも通じるんですが、“東洋通”が愛する“東洋”なり“日本”は過去形、つまり古典に限られるんですね。ある意味すでに固まってしまった“文化”を対象としている。これはサイードが問題にする“オリエンタリズム”とも繋がってくる。たとえば、現在形の日本を追うル・モンドの東京駐在フィリップ・ポンス氏の視点には、(NYタイムスのノリミツ・オオニシ氏ともまた違った)知識・理解と批判力がバックにある。そういった生きた対象を全体で捉える態度と、“通”が自分が愛する“愛すべきフラグメント群”のみを対象にする態度には明らかに差がある。 こう考えると“日本通”のシラクが原爆記念50周年に無神経に核実験を行ったのも理解できます。
あ、長くなってしまった。やな性格だ。今回のシラク日本滞在でフランスでも相撲がかなり一般化したですね。ヌーベル・オプスはシラク写真入、相撲解説してます。
追加・参照ただし期限付き:ル・モンドに《シラク、日本とフランス両国企業に大規模なパートナーシップを呼びかける》といった記事があります。このページの右サイドの《Voir》をクリックすると写真ポートフォリオ《シラクの日本への情熱》が見られる仕組み。
なお、当初このブログエントリに入れたル・モンド読みは別エントリであつかいます。ゴメンナサイ。
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