米国ミネソタの高校で、また生徒による連続虐殺事件が起こってしまった。今回は、レッド・レイクのインディアン・リザーヴ(日本語での的確な翻訳が分らないのでそのまま)で、この少年はまず自分の祖父母を自宅で殺害、それから高校の警備員と先生、生徒計9名を射殺、最後に自らに銃を向け撃ったとル・モンドの記事にある。少年の祖父は退役警察官で、少年は祖父所有の武器を持ち出したらしい。犠牲者合計10人のこの事件は映画《ボーリング・フォオ・コロンバイン》、《エレファント》でもあつかわれた、1999年4月コロラドのコロンバインでの12名の死者を出した事件を思い起こさせる。
リベラシオンによると、少年の名は Jeff Weise (17才)。少年が押し入ったクラスの一少女は 『やめてジェフ、やめて。私にかまわないで頂戴。何してるの。』と叫んだとある。 また、このレッド・レイク高校はChippewa住人5000人が住むインディアン・リザーヴにあり生徒数は350人だとのこと。周囲の人々の証言では、引きこもりがちな《奇妙な子》で、ネオナチに強く影響されていたらしい。フォーラムへの書き込みには«NativeNazi» «Todesengel(死の天使)»というハンドルを使用し、いつも黒い服と黒いトレンチコートを着て、ヘビーメタルのファンだったという。
追加文、英国ガーディアンの記事から。
ガーディアンによると、ジェフの年齢は16才。ショットガン1個と短銃2個を使った、最初の犠牲者は祖父とその伴侶。彼の父親は4年前に自殺し、母親は自動車事故で脳の傷害を受け入院中。少年が去年の春から夏に書き込んでいた掲示板はthe Libertarian National Socialist Green party と言うのが主催するNazi.org だそうですが(ここで私は混乱する)、この集団はナチの哲学と純血種思想をプロモートする団体だ。フォーラムの管理人は“ジェフ”について『34の書き込みを残しただけだが、正確に表現でき、特に彼の年齢にしてはとてもインテリジェントで深い考えを持っていた。』と語った。 なおこの高校の生徒のうち4/5の生徒は貧しさを示すレッド・ライン以下の生活を送っている。
(早熟にならざるをえなかったのは分る。でもなんでインディアン/ネイティヴ・アメリカン の彼がアーリア純血主義に走るんだ。と、私は混乱したわけだが、、。たぶん、狂気とはそういったものなのだ、と言うべきなのか。。。)
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マイケル・ムーアが映画の中で比較した、合衆国と(ミネソタとは湖をはさんだ)カナダとの比較は、ひとまずかっこでくくって良いと思う。もちろん米国での銃砲所持問題はひとつの大きな鍵であって、銃規制が厳しければ少なくともこういった事件での犠牲者の数は減るだろうと言う1点は確かだが。
映画《エレファント》の監督、ガス・ヴァン・サント/ Gus Van Sant は映画仏封切り当時、リベラシオンのインタヴューで、コロンバインで起こった射殺事件は米国に特有なものか、と聞かれ、『いや、これはアメリカに限った現象ではない。彼らはライフルが手に入らなければ、ブルドーザーかなにか他の物を使って学校を襲うだろう。ただ、現在の消費社会のありかたと結びついたものだとは思う。』といった内容の返答をしていたことが印象に残っている。
しかし、いったい、ジェフの世界は何から出来上がってしまったのだろうか。
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映画《エレファント/Elephant》 は不思議な映画です。コロンバインの事件が何故起こったのか、知りたい人には何も答えてくれない。ただ、映画内で繰り広げられるきわめてまともな高校の日常のどこかに、いや、そのきわめた《まともさ》のなかでこそ、なにやら渦巻くものが生まれてしまうのだ、と漠然に思う。 この映画、身近の人間のうち、2名(おとな)はまったく分らん映画だ、と怒っていたが、中学・高校生たちは『良かった。なんでだかわかんないけど、、』と言っていた。ご覧になることをお勧めします。上の写真はこの映画からのもの。
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