今日は、雑用の合間をぬって映画を観てきた。なかなか genius に great なレイ・チャールズ伝記映画 RAY 。行った甲斐はあったな。ストーリーも、最後の当然予定調和風が典型すぎで弱いけど、まあオスカー狙いの妥協ってのはしょうがないんで、全体として音楽にウェイトが行くようにしつらえてあって重過ぎない。脇役人達も、女性やマネジャーが気を抜いてないしキャスティングもよい。
しかしなんといっても主役はレイ・チャールズの音楽なんで、観客の世代によって好きな曲はことなるだろうが、同時にカントリー・ブルーズ・ゴスペル・ファンキージャズから米国民音楽オーケストラつきまでの、----こうやって並べると今更ながらRチャールズの幅の広さに感嘆しちまうんだが---すべてのファン層を想定してるし、レパートリー展開が無理なく彼の人生の歩みと共に分る仕組みになっている。ラフなシーンで、なんとショパンまで弾いてましたねえ、大将ニクイよ。少年クインシー・ジョーンズが冒頭でポッて出てきて観客を喜ばせるところもなんとも、玄人だねえ、寿司食いねえ。
2時間半の中に、分離主義南部のシングルマザーの暮らしようと悲惨、不幸、少年が盲目になるの話、それからミュージッシャンやマネージャー、プロモーターたちとの出会い、金の話・ビジネスの話、Rチャールズの性懲りのない女癖、もちろんヤク話、ハリウッド名産サクセスストーリーまで盛り込んで、後半は若干重いかな、定番になってしまってるがこれは彼自身の人生後半が(映画では途中省略=ロック全盛期)音楽的にはあんまりエキサイトするモンじゃないのでしょうがない。
中毒治療後、過去のトラウマを乗り切っちゃうとこは『まあな』って感じでしたが、昨年亡くなったRチャールズ御大が観た(!)と言うことですので、これはもういい“親孝行”だったと言うしかない。少年時代に係わるフラッシュバックには木につるされたストレンジ・フルーツじゃない、ストレンジ・ボトルスの色使いとか、良い。旅行かばんから子供の死体、、のとこはシックス・センスかよ、と戦慄してしまいましたが。
でもやっぱなんといってもの一番は、音の使いかた、主演ジェイミー・フォックスのプレイ部分。途中で、おうおう、こりゃ昔のライヴ映像じゃないの、、@!?って感じで記憶と現実と映画がオーバーラップしてしまう。関係ない比較ですが、アニメ “動く城” で女の子が婆さんになったり叔母さんになったりするあのノリです。フォックス自身ピアノが弾けて歌も歌えるけど、実際のチャールズの演奏テープを編集しなおしてダブらせたそうで、スゴイ。『what'd said』、これはnekoyanagi が一番好きな曲ですけど、音がぶれて完璧じゃないのは、ライヴの音がそうだったからかと察しますが、それがまたライヴ感を増強してるという。音キチにはヨダレが出る映画であります。あー、よかった。
大昔ダイアナ・ロスが演じたビリー・ホリデイ/ストレンジ・フルーツ、ベッド・ミドラーのジャニスジョプリン/ローズ、ブルース・ブラザース、(Oストーンのドアーズもイーストウッドのパーカーも観てないんだけど)、あとホアマンのモーツァルトもだが、音楽系アメリカ映画はいいのが多いですね。同じくホアマンのヘアーも好きだし、だいたい個人的映画ベストワンは “ウエスト・サイド・ストーリー”であります。
なんだかアメリカ映画が元気取り戻してきたようで、これはうれしい今日この頃、でした。
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