どもども、長らく御無沙汰いたしました。5ヶ月ほど休んだかな。
相変わらずアタクシは、激動の欧州でデフォ貧乏型生活人を坦々とやっております。
この2月にはかなり強烈な寒波が欧州に居座り、2週間ほど仕方なく家に閉じこもっておりましたがその寒さもやっと和らぎ、このところ陽が差す午後には春めいた空気が漂っております。小鳥たちも忙しそうに囀っている: もう少し暖かくなったら、春の大掃除しなくちゃなー。
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ブログさぼっていたのは「なんや、世の中むちゃくちゃやし、なにゆーたらええんか、さっぱりわからんようになってしもた」からです。なおこのエセ関西語は、さっきまで今はなき枝雀師匠の噺のヴィデオ見てたせいです。
「談志が死んだ(回文)」あと、いくつか落語ものヴィデオをネットで探して見てましたが、談志師匠と桂枝雀師匠のが、群をぬいておもしろい。もっと前の大家の落語(母が仕事しながらラジオで聞いてたの)は、うまいし洗練されてても、ナンカ物足りないんですよね。これは若い頃に(TVでですが)リアルタイムで聞いてた時のインパクトと、あの時代の空気とに反応してるからでしょうか。
同時代と言っても小三治のは、今聞いてもやっぱりおもしろくない。上記お二方の噺には、ひねくれたウィットがあって、これが多分自分にはぴったりするんだろう。なお自分のハンドルも、落語っぽく、ということで選んでますし。猫屋寅八、下町系です。
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しかしなんだね。考えてみますってえと、落語ってのはどうしたって下町の、それもお江戸か難波じゃないと生まれなかった文化だね。トントントーンと叩き込む会話の、おまけにどっかで話の筋が脱線しちまう、あのおかしみは、江戸弁、あるいは難波弁でないと出てきません。そこそこ近場ではあっても、杉並あたりとか関西では須磨あたりのおっとりした語りではあかん。NHK日本語でもBBC英語でもダメ。(逆で言えば、ウディ・アレンのジュイシュ系ニューヨーク訛りはほぼ落語だよね。)
狭い町内の長屋というビンボウ人社会内でのビンボウ人の宝は、あのウィット/諧謔だったわけです。お上や仕事の旦那や借金取りやウチのおっかあなんぞの圧力をかわすための手立てだったと思います。
あの愛すべき東北とか、北海道とか信州では落語は育たなかった。そのかわり北のほうには民謡がありますね。厳しい自然の中で、山や川や田んぼ、海、馬や牛を相手に暮らしていたら、人は寡黙になる。たまった想いを高々と歌い上げる「民謡」というのは、また違った文化でありますね。(ジョン・ウェインやジョニー・キャッシュは民謡だなあ。)
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と、マクラもこのぐらいにして、本文に入りたいと思いますが、なんで落語とか民謡とかの話になっちゃったかと言うと、どうも最近、今アタクシたちが生きているのは、ある「文化の終焉」期なんだろうなあ、とつくづく思っているからなのであります。ただ、いま死に絶えようとしている「文化」がいったいナンなのかはよく分からない。
単に、ハイエクが唱えサッチャーとリーガンがミルトン・フリードマン教授とともに展開し、グリーンスパンが破裂させたネオ・リベラル自由競争主義借金地獄の終焉なのか。
もっと時代をさかのぼって、19世紀産業革命に始まった西洋主義のおしまいなのか。← 言い換えれば、西欧的自由概念の終息でもありうるわけです。
資本主義経済構造のおしまいなのかもしれない。
いや、貨幣制度の、つまりカネカネという人類の文化終焉かも知れんが、オカネというのは実に素晴らしい発明だったわけで、人類を肯定するならオカネを否定すべきではないと思います。
じゃ銀行かもね。フィレンツェやローマを散歩してると、ストラテジックな場所に大手銀行本社が(何百年も前から)あって、その石造りの大きな窓(暑いし暗いからこれ必要)には非常に頑丈な格子が付いている。パリのユニクロ本店がそれっぽいつくりになってるんだけど、あれパリ風ではないと思う。
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と、この4倍ぐらいの(ひどく)長い文章を書いてみたんですが、まとまらないので途中で切ってアップします。
また別に、日本で継続する“原発事故”系事象の分析(=これはそのまま近代日本の社会・政治・経済構造自体の分析と重なる)と、それからこれと、メタファーとしての、しかし、同様に多くの被害者をだす汚染(or津波)を世界に伝播している「金融」危機とのアナロジー/類似性についても書きたい。ストレステストだの御用学者(金融の場合はグリーンスパンはじめとする経済学者)、モデルとリアルの格差、利権と天下りとロビーイング、人間に起因する避けられないエラー、、多国籍大型プロジェクトの諸問題点などときりがないわけで、おもしろそうでしょ。。ま、そのうち。
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今夜のおまけ、3日に東京であったシンポジウム、というかお話し会の映像。地震・火山の専門家とラップのお兄さんがおもしろい話をしています。タイトルは「首都圏直下地震と富士山噴火」の模様。2時間半と長いですが、見る価値多いにあり。
聞き手:DELI 学者:早川由紀夫 (群馬大学教授、地質学・火山)、小山真人 (静岡大学教授、火山学)、長尾年恭 (東海大学教授、固体地球物理学・地震予知・地球熱学)、山岡耕春 (名古屋大学、地震学・火山学)
この2時間半の対話にも出てきた映画「日本沈没」(2006年版←山岡センセイが監修、出演もしてるそう)、ネットで見つけて始めて見た。いや、これもおもしろい。貼っときます。
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ところで、5月にはここフランス共和国大統領選挙があるのですが、アタクシはそれに向けた動きをまったく追っていない。
社会党候補が元女房(ロワイヤル)から元亭主(オロンド)に変わっただけで、あとは5年前と何も変わってない。ルペンが親父から娘になった、ブザンスノがメランションになった。おサルの大将の作戦もまるっきりおんなじだし、どう逆立ちしても興味がわかない。仏国籍取ってないから選挙権もなしだし。
おサルの大将(あるいはルペン)が選出されたら、アタクシはここのアパート売って九州に移民しようかと思っとります。
右上はポリティカリ・アンコレクトなシミュリュス氏のポンチ絵:アタクシもまさにこの状態でありまして、今のフランスの政治状況を知りたい読者の方には申し訳ないですが、どうも何にも書けない。どうしても、という場合はうちのアーカイブの5年目の記事読んでも、それはそれで、知識になるかもです。
猫屋さま
ご無沙汰です。
お元気そうで何よりです。
よかったよかった。
>「なんや、世の中むちゃくちゃやし、なにゆーたらええんか、さっぱりわからんようになってしもた」
ほんまにそうでっせ……。
TPPの議論とか、どこ行っちゃったんだろ?
投稿情報: midi | 2012-03-06 16:29