こないだの記事《猫屋は元気です》の続きに書いた文に手を入れてどうにかしようと思ったけど、やめた。漢字ばっかりの檄文になっちゃってて、ありゃ(自分を含めて)誰も読まないよ。で、作戦変更:脈絡も順番もなしの出たとこ勝負で行ってみます。では
仏大統領選挙
5年前と変わったのは、ロワイヤル→オランド、ルペンじじい→ルペン女版ニセブロンド(声とイントネーションおんなじ)、ブザンスノ→メランション(歯並び悪すぎ)だけ、と書きましたがこれ忘れてた:おサルの奥さん2番目セシリア(you're breaking my heart♪)から3番目の♂ハンターnakedカルラに変わってた。見栄えはおんなじよーな気もします(10歳若いか)。
で、その3番目夫人がTV局ジャーナリストに「Nous sommes des gens modestes.」と言ったそうな。そりゃあ、ない。
おサルが「わし、大衆の大統領だもんね」というキャンペーン張ってるから、これの一部なんだろうけど、誰がみてもひどい。オーガネもちの元モデル大統領(3番目)夫人が「Nous sommes des gens modestes.」ですよ。訳すると「私たちは慎ましやかな普通の人よ。」
「パンがないならブリオッシュをお食べなさい」といい勝負のお言葉である:、これギロチン・レベル。
なお、左は今週のパリマッチ表紙。社会党候補オランド氏とそのパートナーのヴァレリー(ジャーナリスト)。関係ないけど、まあ、貼っておきます。次回の仏ファーストレディは彼女だろう、というのが大方の人の下馬評のようですな(なお彼女、離婚暦2回で子供3人;ググって探した、ヘヘ)。
ギリシャ・ユーロ危機動向
結局のところ、ギリシャの負債は実質的破綻処理/リストラクション、つまり借金の「53.5 パーセントははチャラ、のこりも長期で返済新債と交換でひとまず落ち着きそうです。ギリシャへの新たな“経済援助”も決まった。
これまでギリシャが発行した国債総額は3500億ユーロ、うち2060億ユーロは民間金融機関(銀行・保険・ファンド)が持ってる。
クレディ・デフォルト・スワップ/CDSも結局、ギリシャ債CDSを起動することになったようだが、実質支払い総額は32億ドルに相当すると報道されています。2008年のAIG破綻は、サブプライム負債をカヴァーするCDSを同保険会社が多く発行していて、支払額が膨大しパンクしたわけで、今回も大手の銀行・保険があぶないと懸念されていた。
まあ、CDSの問題は、他のデリヴァティフと同様にその不透明性にある。(まだ全体は理解できてないけど)いったい誰が発行し、いったい誰が購入したのかが明確でないし、たとえばギリシャ国債を持っていなくとも購入できる。おまけにCDS指数(どんくらい売れてるか、つまり買う人が多いってことは破綻の可能性が高いってワケ)が対象の企業なり国債の評価点数になるから、たとえばA国のCDSを大量に買い込み、ついでにA国財政に関する悪い噂をリークして、さらにCDS値を上げさせ、結局破綻したら、架空の“被害額賠償”を受け取ることができる(これはゴールドマンがリーマン破綻で行ったオペレーションの一部)。
同時に、おなじ金融機関が、中央銀行から低金利で借りた金で(欧州では3年物で金利1パーセント、米国では2014年まで一年もの0から0.25パーセント)CDS値の高い国の国債購入すれば、かなりの金利差を得ることができる仕組みです。
昨年の最悪の時期のギリシャ国債金利はたしか10年物で30パーセント、1年物でナント130パーセントぐらいまで上がっていたはず。まあ、この130パーと言う数字は実際には、誰も貸してくれなかったってのが実情です。しかし、これはサラ金同様、金利を払って満期になった国債を買い戻すためにまた借金せなあかんという借金地獄ですね。
ギリシャはデフォルトしてEUから去れ、ってのがドイツ・デンマークあたりの意見だったわけですが、加入国EUあるいはユーロ圏から退出するためのロードマップが欧州ルールのどこにもないし、ギリシャのユーロ脱退が引き起こすパニック(リーマン・ショックに相当する可能性あり)について思いが及んで、強気の北部組みもしぶしぶ腰を上げたというのが本当のところでしょう。
結局ギリシャは、実質的にはデフォルト/破綻したが、政治的配慮からユーロ圏からは脱離しない、というわけ。まあ、ギリシャ危機が騒がれだした2010年の初めに、すぐ対策取ってなかったことがイタイです。
かつてのポールソンや今のバーナンキもそうですが、あの上のほうにいる人たち今のシステムの本質が分かってないのか、あるいは分かってはいても(何かが恐くて)正当な英断を取れないんだろう。
局部的出血はいったん止まったかもしれないが、瀕死の財政危機を抱えているのは欧州に限っても、スペイン・ポルトガル・アイルランド・ベルギー、それから大統領選挙前なんでいまだタイトな“財政引締め策”をとっていないフランスと続く。欧州全体が経済停滞に入っていますから、輸出国ドイツにも影響も出てきている。
英国は、米国と同じQE/量的緩和と、ドラスティックな“財政引締め”で対処しています。
米国も、今は一時的に安定しているように見えますが、株価の上昇も、実は刷りすぎたドルがだぶついて、それが株式や石油の投機に流れているせいでしょう。(シリアやイランでの政局不安も原油価格上昇の原因となっています→結果、オイル業界はもうかる)
欧州中央銀行が刷るユーロも、低金利での銀行への貸し出も、結局は金融・保険・ファンドの“狭い”サークルの“循環冷水システム”としては機能して銀行破綻ドミノを防ぐとしても、相変わらずの貸し渋りで実質経済内(中小企業・小売業・個人業・個人)には届かない。
税金・公共料金・医療費の上昇と国家から個人への援助の減額、公共サービス(教育・医療・司法etc.)の質低下、おまけに失業(あるいは失業への不安)から、一般人は使いたくても金を使えない(あるいは金がまるっきりない)。
これは日本でも同じだと思いますが、こんな状態で消費税を引き上げるなんて、国家としても自殺行為でしょう。(なお、今のフランスでは、ガス代にも19.6パーセントのTVAが加算されます)
かつてアルゼンチンが破綻したときアルゼンチンは、IMFや世界銀行のオファーした「財政大幅縮小・国家構造再編成」が条件の援助を断って、危機を独自で乗り切ると言う判断をし、通貨を切り下げ、荒波を乗り切った。
けれど、EUに属しユーロを通貨とする諸国には、その自由がない。
ユーロ危機ばかりではなく、英国も米国も、また日本も、低労働条件と人口数と輸出に頼る中国も、結局は同じ船に乗っている。
今の世界金融・経済界は、蛇口から湯がどんどん出て止まらないバスタブみたいなもんです。湯はあふれ続ける、要人・エコノミストたちが必至で湯をかい出していますが、終わりがない。
蛇口を閉める。つまり、1)暴力的な為替変動を防ぐために新しい国際通貨制度を確立し、2)金融を含むマルチナショナル企業群や個人の(課税と規制をすり抜ける)国境なき利潤追求活動を制限することから始め、その上で現行の金融・経済システム構造を変え、世界レベルでひどくなる失業者問題をクリアしないかぎり、危機は終わらないだろう。
それが不可能な場合、悲惨なところに行き着くという可能性は大きいわけで、それではウィン・ウィンどころか(人類ばかりではなく、自然とすべての生き物も含めた)ルーズ・ルーズに行き着いてしまう。
もうこの地球上には、(いくら金や方便があろうとも)逃げていくべき先のパラダイスはないんですよ:あーあ。
日本での今の状況も同様だと感じますが、以前のようには決して戻れないのです。失われたものは、それをいくら認めたくなくても、取り戻せない。それを認知しないで、同じセオリーを繰り返して元に戻そうといくら努力してみても、被害が大きくなるばかりでしょう。
しかし、システムは人間が作ったものです。そうである以上、人間がそのシステムを変えることは必ずできるはずです。
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