ローマ旅行事後報告書を書き始めていたんですが、かなりな数の写真の整理とフォトショップでの処理、あとローマ(+ギリシャ+ローマ教会)の歴史を調べ始めたらキリがない。ついでに「なんで帝国は崩壊したか?」というドデカイ疑問にもはまってしまって、何時のまにやら報告書のことすっかりほうっていた。今のうちに書いておかないといろいろ忘れちゃうので、そのうち終わらせアップします。
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日本の福島原発をめぐる動向は今でもこちらから追っています。ただ日本の政治と、報道・ブログ・ツイッター等で展開されてる「泥仕合」は、本土を後にして26年になるアタクシにはまったくわからん。
反面、「空気の読めなさ」度ではかなりの高レベルと自認するアタクシとしては、空気と(その空気中に含まれてるかも知れない放射線ダストとも)無関係でいられるのが、申し訳ないが助かる。←3月11日以来すごいスピードで日本発情報をネットで読んだり聞いたりしてたら(こんなの生まれて始めてで)文体がヘンになった気がする:と他人のせいにするのはよくないが、自分でも読み返すのが辛い。
CNICの場で発言を続けている後藤さんと田中さんのレクチャーは欠かさず追っているし、一連のNHKスペシャルも全部ではないにしろ、放送直後にネットに上がった(非公式)ヴィデオで見ている。
政治関連でいえば、なんで現日本国首相が辞めなきゃいけないのか(まだ辞めてないけど)、そこの流れがまったく分からない。ただでさえ日本の首相交代のスピーディーさは「国際的に」知られているわけで、これって結局「首相」とは元来政治力がない人じゃないと務まらない臨時職だからなのか。
日本の社会構造あるいは政治構造について周りの人間に聞かれると(飲み屋の政治談議)「たとえば米国はメルカート・オリガルキー軍産学金融政治体制。フランスはかつて社会主義だったけど2005年から1980年代後半型ネオリベ構造に移行中(かつ失敗中)。日本は封建型消費主義どすえ。」と答えることにしてる。なお、この話しがかなりいい加減なのは飲み屋用だからだ。
ところで、こちらでも世の中は混沌としています。
今日はアフガニスタンは首都カブール近郊で仏軍が自爆タリバンに攻撃され5人死亡(翌日にもう一人で計6兵士)。昨日は仏共和国大統領様が(はやりの)突如カブール5時間訪問をし(=来年度大統領選挙キャンペーン+今のうちにやりたいことやっとこうプラン)、あしたはキャトルズ・ジュイエ革命記念日(パリ祭つーやつ)ですよ。
ギリシャのデフォルトがまたしても話題になり、今度はユーロ圏で3番目の経済大国であるイタリアの財政赤字が問題視されるまでになった。ギリシャとイタリアの間で青息吐息なのは相変わらずアイルランド・ポルトガル・スペイン。イタリアもギリシャ・スペインなどと同じく「緊急引き締め政策」を議会にかけ、予算の縮小・国営企業や資産の売却を図ろうとしている。
イタリアがこければ次はフランス。ドイツとオランダがギリシャのユーロ圏脱退をほのめかせば、こちらからは「ドイツのユーロ脱退がもっとも現実的」と言う声も上がる。小国ギリシャの財政困難は超大国アメリカの財政難に比べればクソみたいなもんだし、それが全世界に引き起こす影響も比べ物にはならない、という意見もある。しかしギリシャがデフォルトすれば多額の資本をあそこに投下してきた欧州金融業はかなりの損害を受けることになるんだ。
「緊急引き締め政策」はユーロ圏ばかりではなく英国でもかなり評判が悪く、あのルールには従順なイギリス国民もデモったりストったりしているようだ。ギリシャ・ポルトガル・スペインでは「アラブの春」にも刺激されてか、ゼネストも含む運動が続けられている(ようだ)が、こちらのメディアにはまず出てこない。
米国はドルを大量に刷ってアフター・リーマンを乗り切ろうとして失敗した。ヨーロッパは財政引き締めという正反対の方向性をとらざるを得ず失敗した。出口なしである。
中国では物価高が進み、バブルで膨れ上がった負債総額が、所有する米国債額とほぼ同じになったそうだ。
エジプトのタハリール広場には軍権力の再拡大を嫌った市民が再度集まってもう6日目。参考:リベの写真ポートフォリオ Sixième jour d'occupation place Tahrir ← 広場に掲げられている縦に並んだエジプト・シリア・リビア・パレスティナの旗と、その下に見える誰かのV字サインの手が印象強い。
シリアはむごいことになっている。
フランスではある時点からフクシマ発の報道がパタっと減った。来年度の大統領選を控え、このテーマの「危険度」は高すぎるのだろう。
しかし、フランスの「ヨーロッパ・エコロジー」では党内予備選挙で(アンジェリナ・Jとは親戚でない)エヴァ・ジョリー女史が候補に選ばれた。今の段階では、エコロジー党候補が仏大統領に選ばれる可能性はまずないが、核開発に対する姿勢を明確にしていない社会党を左から揺さぶって、長期計画ではあれフランスの脱原発へと道を開きたい作戦なんだろう。おばちゃんガンバレ。
影響力もなんもないアタクシがこんなこと言ったからってどうなるってもんじゃないが、世界的に行って原子力発電は徐々に消滅していくと思う。どこにも続けるメリットないし、もう誰も投資しないだろうし:ペイしない。ただ、ほっときゃなくならない。わいわい騒がねばいかん。
アレヴァ社のCEO3期続行を現政府の決定であきらめさせられたアンヌ・ロヴェルジョンの退社理由のひとつに「サウジアラビアでの原発発注契約を(安全重視のアレヴァ・プラントにくらべ)低価格オファーの韓国企業にとられた」というのがあった。しかしだねえ、考えてみれば砂漠は広大だし、雨も降らないし、からっからに暑いサウジには太陽光発電なんてのがぴったりだと思うんですが。
ところであのアトミック・アンヌは新聞リベ経営陣に参加するらしい。これも来年度選挙を狙っての作戦ですかね。
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と、ブログ書きをいったん休んでネット見回ってたらあの菅真人首相の個人的「脱原発宣言」ヴィデオに出くわした:ビデオニュース・ドットコム(神保さんも首相に質問している)。
ふーん。彼が言ってることは(ほぼ)正しい。ただ問題はどうやって具体的に前に進むのか、であるね。半世紀以上続いてしまった米国密着型官僚行政システムからどうやって抜けられるか。
それにはたぶん日本では初めての試みだろうと思う「民主主義」の確立を図らねばならない。菅氏が狙っているのは、直接国民の支持を得ることで、日本が変わることをブロックしている(特に経済産業省)実質的権力をかわすことなんだろう。このおじさんにもがんばっていただきたい。
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これは当ブログ開設以来、たびたび申しておりますことですが、現在世界の各地で起こっている事柄は同じシステム内で同時多発発生しているブラック・スワン群の異なった様相(フェイズ)であると考えています。
原子力発電および核装備の世界拡散は、20世紀風の「核神話」を使って、地政戦略はあるだろうがエティック(倫理)とは無関係なそろばん勘定で核技術を売り込む企業・国家があるから現実化する。
たとえば経済産業省の上にあるのは、利権で運命共同体的に結びついている経済界、またその上の金融界(両者ともに多くのマルチナショナルを内包している)。要するに利権ポンプグループであり、(ますます値の下がる)多額の米国債を抱える公民機関である。(地震被災処理・原発被災損害賠償にあてるため、貧乏人の税金を上げるよりは臨時国債を発行し、同時に「お宝」米国債を一部なりとも売却していいんじゃないですか?)
まあ、アタクシの話のほうもどんどん拡散してしまいますので、ここいらで切り上げますが、要は、現在の「出口なし」状況からの脱出に不可避なのは、まず民主主義の再確立と、エネルギーも含めた「産業」および金融、そして農業・漁業も含め地域単位での「独立性」を取り戻し、肥大した中央集権システム解体なのではないかと思うのですよ。
2001年の911が20世紀の終わりと、同時にウォールストリート金融の共食いによる終わりの始まりを告げたと考えると、10年後の2011年311は20世紀型消費自転車操業社会の終焉を警告している。あの社会は、要らないものをとにかく数売ることで成立し、資本の極度な集中と新しい貧民を数多く生み出し、我らが母である大地を海を、そしてそこに生きる生物を犠牲にささげた。
その不合理を、世界中の多くの人々がそろそろ気がついてもなんら不思議はない。
おまけ参考「スペクタクル社会」を書いたギー・ドゥボールの1988年の文章から原発関連部抜粋: Commentaires sur la société du Spectacle
それでもフクシマ報道を続けているのが
一般人向けサイエンス月刊紙Science et Avenirの編集長Dominique Legluのブログ:FUKUSHIMA (suite 40) Des décennies pour nettoyer la centrale de Fukushima
あの経済系ポール・ジョリオンのブログでも共著者フランソワ・ルクレルクがフクシマ・クロニクルを続けている。コメント欄で得られる情報も多い:FUKUSHIMA PREND TOUT SA DIMENTION
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アタクシは昨日、突然てんぷらが食べたくなって、生まれて2回目だがかき揚に挑戦するもやはり大失敗。1回目と同じくブツが油の中ではらはらと分解してしまった。あとの油の処理やガス周りの掃除に手間はかかるし散々な目に会った。今日は出かけた近所のタバコ屋の前でgûepe(アシナガ蜂かな)に刺された。こちらの天気は悪く、気温も昨日あたりから急に下がった:はっきり言って寒いのだ。こんな時はブログを書くに限る。
しかし、美味いかき揚食べたい。なお右上の写真、ローマですが今年はやりのスパルタカスサンダルの足。長さが1mぐらいあった。
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