まずはエルカバッシュ(サルコ組ジャーナリスト広報の親分)によるGS(ゴールドマン・サックス)ヨーロッパCEO であるYoel Zaoui氏インタヴュー画像であります。これはラジオのユーロップ1で6月9日の朝にオンエアされたもの。かなりの見もので、米国SECのサブプライムに関した公聴会で証言した米国同じGSの若手(同様にフランス人)のフェイバラス・ファブ君(本名Fabrice Torre )と同じテクでありますね。お答えはちゃんとGSの法律とCOMのスタッフによって準備されてると考えてよろしいでしょう。
株式・債券両分野とも世界中で混乱が続くなか、GSは2010年1月から3月の決済で昨年同期の2倍の利潤を上げている。参考(日本語ブルームバーグ):米ゴールドマン:投資家欺いていない-第1四半期の利益はほぼ倍増
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いや、アタクシにはアンチGSキャンペーンの一環を担っちゃおうという意図はまったく(あるいはほとんど)なく、単に、銀行・金融・保険業全般がなす‘市場/les marchés/ markets’ がこれもカジノ化した経済を引っ張る原動力になっちゃったことに憤慨しとるんであります。
そして、そのカジノ金融とカジノ経済の21世紀巨大マシン内では、国家もかつてのようには機能していない。一方では、ネゴと討論と合意を重ねないとなにも決定できない政治的時間と、‘市場’の過剰反応の時間との間の格差が大きすぎることがある。これはギリシャを巡る欧州各国の反応を思い起こせば理解してもらえるだろうし、あるいはそういった政治プロセス構造を有しない共産資本主義中国が、金融危機に対して最も迅速かつ的確に対処している例も’参考になるだろう。また、政治アクターである政治家自体にとっても、自分の次期選挙をどうやってクリアーするかが最重要問題なのであって、結果、政治はせいぜいがロビーイングの対象であり、同時に、それは方向性と購買力を失った国民がそのナショナリズムを誇示する場所になっている。
したがって短期的な利潤を‘合理性’に基づいて追求する‘市場’と、4年から5年の中期的サイクルで自己再選にかける(同時に再選されなかった場合のパラシュート落下先探しもある)政治家が繰り広げるポーカー戦が、今年2月初めからアタクシが追っかけている‘ギリシャ→ユーロ悲劇’の実態なのだった。
まあ、書きたいことは多い、というか多すぎるんですが、現行金融システムの構造と言うのは調べれば調べるほど分からなくなる。上に挙げたGSがサブプライムをめぐって組んだ債券abcus7AC1あたりでもうお手上げ:これは分からん=買手の大手金融業者に分からんように出来ておるのだ。
まあ数学の天才たちがボーナス賭けて組んだアルゴリズム複雑系「金の卵」製造システムなんだからアタクシなんぞに理解できるわけない、ということがやっと理解できた次第でございます。いろいろな分野の専門家がジャルゴン/専門分野の人間にしか分からないボキャを使って非専門シロウトを煙に巻くのはよくある話だ。
‘市場’の合理性を極限まで演繹するとこうなる。21世紀版「利益の私有化、損失の社会化」の起源がここいらへんだ。
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休憩時間:ちょっと古いですが、フレンチお笑いグループles inconnus です。TV株式解説をパロってます。
</休憩終わり>
だが現時点での問題は、この「金の卵」製造システムが、卵を産む「ニワトリ」自体の首を絞める結果になりそうな事実です。それで、業界内(金融・政治=エリート軍団)からポツポツとこれまでの流れに反する発言が出て来てる。
あの、ジョージ・ソロスがウィーンで、CDSのネイキド・ショート・セリング/nakied short selling /空売り/vent à nue はよろしくない、と発言。参考(ブルーンバーグ):ソロス氏:「危機の第2幕が始まったところ」-30年代を想起
パリを訪れたブラジミール・プーチンロシア首相は「どこまでもユーロを支援する」と発表。
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そのほかにもネタとしては、英国新内閣の方針を「市場」とはいっても格付け会社(たしかS&P)が「英国はもちろんAAAを保持するが、財政引締め政策はアカンこれちょっと過激すぎ」と突っ込みを入れ、(米財務長官ガイトナーのオーダーだった)内緒で進行中の欧州銀行ストレス・テストをめぐっては、いくつかの欧州大手ユニバーサル(なんでも屋)銀行が自己資本のラシオ(割合)の低さと汚染債券保持が日の目を見るかもとガクガク・ぶるぶる状態だったり。そのうえ(これは中期的展望ではありえないと思えますが)クラブ・メッド国債がデフォルトしたらこのビッグ・バンはリーマン・ブラッズ崩壊時より大きな津波を引き起こすことになる。
こちらはあまり話題にはなっていませんが、欧州金融基金/EMF が創立されると、IMFへのヨーロッパ各国からの「年貢」が約半分に減り、同時にアジア基金もすでにあるし、米国のVETO 権もなくなる。結果、中途半端な位置にいる、同時に財政赤字に悩み、おまけにCity の繁栄を自国経済の重要な基盤にしている英国のここ2・3年の立場は苦しくなる可能性がある。
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まあ、これらの事柄は、上等のスーツを着たエリート世界で起こっていることなんですが、下界では、シャンペンも五つ星ホテルもプライベート・ジェットとも関係ない、貧乏派による日々の戦いが繰り広げられてる。
ここ、フランスでは民営化されたEDF・GDFの、競争力効果で料金は下がると言う当初のキャンペーンに反し、同時に天然ガス・原油価格の下降にもかかわらず、両者とも料金値上げ幅が高く、実質的デフラション(給与上昇を伴わないインフレーション;ちなみに2009年のインフレ率は1.7パーセント)。(高所得者への)増税はしないと公約した仏国元首は、アンポ(税金)は上げない代わりにタックスは上げ、低所得者対象の社会福祉額を実質的に低下。国家の支出を地方共同体へ振り分け(エンロンの手口だ)、自分は買ったばかりのエアバス仏版「エア・フォース・ワン」にふたり用風呂とピザ焼き用天火を設備させ、パリ郊外の軍用基地滑走路を2000メートル拡張させたた。。。
スペインでの失業率は20パーセント近い。とくに若年層の失業率はたしか47パーセント。ギリシャでも同様なんだが、仕事を見つけられないそれら青年たちが過激な反政府行動に出る、あるいはナショナリズム運動に流れたとしても少しも不思議ではない。
先週の選挙ではオランダでもベルギーでも、保守極右あるいは分離派がかなりの票を獲得している。これは北イタリアでも同様。ヨーロッパというタガが緩んで、それぞれの国家内部抗争が表面化しているわけだ。
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なお、ショック・ドクトリンについてと、貧乏派による危機解決策は、また今度展開してみるつもりです。
でもさ、バフェット氏と昼食2億4000万円 ネット競売で落札 だそうですが、これって異常でしょうが?まあいろいろな読み方はできるんだろうが、それにしてもそれにしても、異常です。あるいは、アタクシの頭の方ががイカレタのでしょうか。さかさまの世界だ。
世界貧乏派対策あっち向いてホイ作戦サッカー・ワールド・カップが騒がしくも盛大に進行中ですが、英国vs米国戦が、英キーパーのミスで1-1の同点に終わった:BP問題もあるし、なんか世界はサカサマ。
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金融グリークになりたい方々へのお勧めリンク。
zero hedge ニューヨーク発信;主筆は若手の“テイラー・ダーデン@ファイト・クラブ”君。たとえば6月11日の記事ではJapan 国債のことを書いてます:Japan's New PM Warns Country At "Risk Of Collapse" Under Massive Debt Load
LEAP2020 欧州発;だからかデザインはゼロ・ヘッジに比べると涙がでそうなくらいダサイ。
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