サボッテましたが、マイ・フェイヴァレット(コルトレーンでもメアリー・ポピンズでもない、つまらんヤツのほう)がタマリニ溜まって収拾がつかないので、いわゆる『タルナック』事件についてのリンク集を備忘録として貼ってみる。
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タルナック事件あるいはクーパ事件:昨年11月に対テロリズム作戦展開として仏国官憲がリムーザンの田舎の村タルナック(人口だいたい330人)に100人からの警官・機動隊員がヘリコプターまで動員し村に住む9人の若者を逮捕した。理由は無理に訳せば『テロリズムを目的とした策謀』だ。6ヶ月以上発った現在でも“主犯”と見られるジュリアン・クーパは刑務所に予備監置されている。6ヶ月の監置であるね。
しかし、実際の疑惑内容は、引き続き起こっていたTGVの大幅遅れの原因となった“公共物;鉄道へのサポタージュ”であるのだけどさ。つまり、TGVの架線に鉄とコンクリートでできたかぎ状のものを引っ掛けTGVの運行を妨害したというもの。この行為で列車が一時停止することはあっても脱線する可能性はないから、鉄道利用者の生命に危険が及ぶ可能性はいたって低いわけで、これをテロ行為とみなす(内務相アイヨ-マリの発言)には無理があると思える。
その上、いまだに物的証拠は挙がっていないし、逮捕された若者たちの自白もない。どうもテロ専門捜査部は、ジュリアン・クーパとその友人たちがギリシャやカナダあるいはヴィシーでの経済系あるいは社会系フォーラムなどに参加していた事実から、クーパをウルトラ左翼なるアナーキスト世界ネットワークの一部であるフランス・セクションの首謀と考えたようだ。彼らとその家族たちはかなり前から電話の盗聴・郵便物の開封・私服警官による尾行を受けていたようだし、捜査側は対テロ枠で通常は不可能である監置の延長を繰り返し、そのあいだに容疑の裏づけを試みている観がある。まあ、1970年代のブリガッド・ルージュ/赤軍やアクション・ディレクトの記憶(あるいは記憶想起発動への意志)が背後にはあるんだろう。
ジュリアン・クーパはもうすぐ35歳になる青年で、いったんはエセックと呼ばれる一流ビジネススクールを卒業するが、ここで方向を変え、社会政治学をEHESSを学びドクター論文を準備するところまで行くが断念。友人たちとコレーズにあるタルナック村に移住。農業をしながら食料品屋を開く。。。まあ、68年頃のババ・クールと呼ばれたコミューン組みなんだと推測できる。
参考:ウィキ仏版Julien Coupat リベ関連記事:Affaire Coupat : sept mois de traque d’une cellule invisible エクスプレス記事:Tarnac: les sept clés de l'enquête ブロガー・エオラス弁護士の監置延期に関する法的解釈:Quelques mots sur l'affaire Coupat 右上の写真を借りてきたLePoste 今年3月の記事:Julien Coupat en prison depuis 166 jours
ジュリアン・クーパとそのタルナックの友人たちを支援するグループがフランスばかりではない各地で組織され(その支援グループの何人かもその後監置されたのち釈放されている)、リベやル・モンド、エクスプレスなどのペーパ・メディアも記事を載せるようになっていたんだけど、25日ウェブ版ル・モンドに(サンテ)刑務所内のクーパとル・モンド紙記者との間で交わされた質疑応答が4ページにわたって掲載されていて、クーパの文章が読める。その記事と、その他同紙関連記事をクリップしておく。
Julien Coupat : "La prolongation de ma détention est une petite vengeance" / ジュリアン・クーパ:「私の監置延期は単なるリヴェンチだ」
Tarnac, le point sur un dossier aux zones d'ombre troublantes
Tarnac : Julien Coupat va être de nouveau entendu par le juge d'instruction le 27 mai
これは追加のリベ26日記事;引き続き行われている自宅捜査とそして72時間勾留と尋問の様子が内容です:Gardes à vue dans l’affaire Tarnac : la justice dans un cul-de-sac
これまた追加。タルナック支援グループのブログです:Soutien aux inculpés du 11 Novembre ←デザインがミルティテュード風。
エオラス弁護士が、アナーキー運動のリーダーっていう検察側説明もなんか分からんって茶化してたけど確かにそうだよね(解説;組織化を否定するのがアナーキー)。彼が実際に鉄道網のサボタージュを行った犯人だったとしても、公共施設破壊罪だけだったら6ヶ月の拘留で刑期はすでに終わってるはずだそうだ。
たしか、母国でも破防法とかあったよなあ。米国21世紀版はパトリオット法だ。
これもエオラス弁護士がブログで書いてたけど、仏憲法にある通り司法とは各個人の自由を保障するためにあるんであって、意味のない勾留や勾留時に行われる尋問ばかりではなく、身体検査や勾留所の不衛生さ、証拠隠滅防止を理由とした弁護士への連絡禁止なんかは、個人の自由を損害するところの憲法違反行為なんだよね。刑が確定していない被疑者は犯罪人ではないんだから誰もその身体あるいは自由を拘束はできないんだ。
これは別件:夕方のラッシュ時のマルセイユはサンシャルル駅で、警官による荒っぽい身元コントロールを目撃して憤慨したおじさん(46歳の高校哲学教師)は、「Sarko je te vois !(意訳すれば、サルコがやってる、とでもなるか)」と2回叫んで、裁判所への出頭命令を食らった。結果は罰金100ユーロの求刑:判決はまだ出ていないけれど、彼の犯したのは「公共の場で騒いで迷惑起こした罪」なんだそうだ。
トゥールーズの小学校出口では、自転車泥棒の疑いで6人の警官が下校しようとする6歳と10歳のふたりの子供を“検挙”した:結局、子供たちの持ってた自転車は盗難されたものとは別物で、6歳と10歳の被疑者はまもなく釈放されたそうだが、なんだそれ。
仏共和国の偉大なリーダーの長年の夢は米合衆国の大統領になることだったらしいが、Dream comes true;やっと米国にブッシュがいなくなったと思ったら時間差攻撃で仏共和国がブッシュ的米国化の道を確実にタドッテイルノダッタ。おまけにコピーはネタモトのキャラクター要素を簡素化し拡大化するというカリカチュア原則の悲劇までオマケとしてついておる。
この国の住民の1/10はブラック・リストにアップされてるって話もあるけど、そしたらアタクシなんぞだいぶ前からチェックされちゃってるよなあ。住民すべてが潜在的容疑者なんだからさあ。メトロの監視カメラにも律儀にアッカンベーしちゃってるもんなあ。。。
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