えっと、まずはちょっと古いんですが、俳優ドパルデューが「フランス革命をやった連中の平均年齢は28歳だった。彼らは連日ほとんど寝ないで興奮しきっていた。そんな男たちがやったことが気狂い沙汰だったとしても不思議はない(←以上、アタクシの記憶から起こしてますんで、いい加減訳であります)」などと話してる映像さがしてた時見つけました。前回のサルコジTVワンマン・トーク・ショーがあった当日2月5日の Ce soir ou Jamais での討論です。
ドーフィン経済大学の教授やル・ポワンのジャーナリスト、それからオルター系変な叔父さんや、オプスを形骸化している張本人オリヴェンヌたちに混じって、経済学者ダニエル・コーヘン/Daniel Cohen が長く話しています。全部で一時間ぐらい。でも見る価値アリ。
Ce Soir ou Jamais 05/02/009 :Débat suite à l'intervention de Sarkozy
今夜のショー、今回はfrance 3 でも放送していたようです。で、今夜はなぜかライヴのCe soir ...もなしであります。
なお、このダニエル・コーエンの最新小冊(ブログ左にリストアップしたもの)は、読みやすいですが、彼の経済・社会観を早足で一巡した内容で、イマイチ物足りない。というわけで、昨日通りかかったサンミッシェルの本屋で、彼がdirection をPhilippe Askenazy と共同でやって全部で25人の経済学者の(邦人女性研究者もいる)文章からなってる本:27 Questions d'Economie Contemporaine (Albin Michel 2008年3月)の古本買ってきました。
この本は、経済研究者向けではなく、普通人に向けて各分野を専門家が説明し21世紀経済を分析していくというもの。仏ネオ・ケイネジアンのたくらみでありますね。
内容の27項目には、現在のフランスの若者の立場:若年層の失業は下がるのだろうか?学歴インフレについて。それから文化とグロバリゼーション、労働社会の変貌、ドルはどこまで下がるか?なんてのまである。面白そうでしょ。
ちょっとずつ、興味のある部分から拾い読みしてみたいと思ってます。
なお、今が売り込みとばかり自著新刊宣伝にTV出演する他の多くの仏経済学者とは違い、時々ル・モンドにも記事書いてるコーエンには最近の大きな著作がないのが残念です。
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大学人・研究者がらみで今日のル・モンドから。
仏科学アカデミー・メンバーの数学者 Wendelin Werner による大統領に向けた公開状です。見事な文なんで訳したかったんだけど、格調高くも厳密な文章で(さすが数学者)ちょっとアタクシの手には負えない。。。貼っておきます。こういった文章であれば翻訳ソフトでもクリーンな英語にでも独語にでもなりますから、時間ある方、お勧めの文章です。教育者・研究者の矜持とはこういうもんだろう。なお、教授は1968年にドイツに生まれ、9歳で仏国籍を取っている新世代の国境のない研究者たちのひとりですね。
LE MONDE | 18.02.09
なお、タイトルを訳すとしたら:大統領閣下、あなたはおそらく(国民・研究者の)不信感を買いかぶっている。
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こちらは、2月8日の記事で今は有料化してしまいました、ウェブ版購読してれば読める。ドイツはエッセンの社会精神学者、Harald Welzer (←リンク先Wiki 独語)が、現在起こっている危機と1930年代の人々の反応とを比べています。
ドイツがロシアに対して戦争宣言をした日、カフカは日記にこう書いた:『ドイツはロシアに宣戦布告。- 午後:水泳の練習。』 目前で実際に起きている大きな出来事を、人々は必ずしも正確には理解しないという話を、いくつかの研究を例にしつつ2ページ書いています。もちろん環境問題についても言及している。タイトルは、危機:ショックはやってくるだろう、Harald Welzer
Crise : le choc est à venir, par Harald Welzer
ブログDésirs d'Afrique がミラー化してますんでこっちも貼っとく:Crise : le choc est à venir
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これはやってくるだろう「帝国の崩壊」を予言した歴史・統計学者 エマニュエル・トッドがラジオで現政府エコノミー顧問ネオリベ経済学者と交わした「保護主義」をめぐる激しい論争ヴィデオです。
実際問題としては、かつて英国が行って今も起こっているポンド切り下げや、米国のドル刷りすぎ作戦も、広い意味での保護政策になるし、これは左のリストに常駐のEHカーも書いているように、実際には純粋な「自由貿易」というのは存在しないわけです。
もちろん、たとえば今ドイツでメルケル氏が銀行の国有化を、『これは暫定的処置だ』と繰り返すのには理由がある。WW2以前の段階で当時のヒットラー政府はユダヤ人の財産国有化をやっている。そしてメルケル氏の出生国東ドイツは全部国有の国家統制経済をやってたんだ。こういった各国の歴史を理解しなければ、経済政策にしろ、税制にしろ軽率に変えられるものではないんですね。これがヨーロッパ共通の税制なり、外交や防衛論が進まない理由のひとつであるわけです。
ありゃりゃ、前置きが長くなってしまいました。トッドの保護政策論争ヴィデオはマリアンヌから拾ってきました。Todd: il faut dissoudre le Conseil d’analyse économique
Vifs échanges entre Emmanuel Todd et Christian Saint-Etienne
envoyé par franceinter
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最後に。気になっているのだけれど、バッハ聴き(他の事できん)とブログ書きと日々のデューティーにかまけてまだ読んでいないグアドループでなぜゼネストをするのかを解説した2月3日の記事です。これも有料化してるかも、です。これから読む。
Grève en Guadeloupe : "'l'expression d'un mal-être économique, social et identitaire"
これも。ナイロビのル・モンド特派員による短い記事です。人類を賄うためには、無駄を省くだけで十分だろう。
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