えっとですねえ。この記事書き出すの3回目。トロジャンウィルス攻撃を2回受けて、書きかけが2度またしても宇宙の果てに消えた。立ち尽くす日々、ではなく、継続は力なりのオールド・エコノミーなアタクシですから、もう一度はじめから:やれやれ。
なお、右のイラストは:ニューエージの学校の先生にしてマンガ家のMartin Vidberg /マルタン・ヴィドベルグ氏のブログ:L'actu en patates (ジャガイモ時事)、から再び借りてきました(サンキュ)。ダウ・ジョーンズとcac40 と書かれたジェット・コースターが疾走しております:素直なところが大変よろしい、の花丸です。
おとといあたり読んだですが、あるエコノミストがこう書いていた。
お隣さんが職を失うのがリセッション(不況)、自分が職を失うのがデプレッション(恐慌)
言いえて妙ですが、そんなら定職なしの風来坊(アタクシ)のような連中は、リセッションとデプレッションの間をさまよう昨今の経済・社会ファーズにおいてどう対応したらいいんだろうねえ。
レッセ・フェールの牙城ロンドンで、ユーロ・セプティックのはずの元経済相にして現首相であるゴードン・ブラウンが欧州に先駆け、ファイナンス・セクターへの大型国家介入策を導入、欧州諸国との協調も見せたわけで、これは革命的な出来事であります。
しかし、火曜のニューヨーク市場は下げ。あああ、で、またしても明日の世界株価が危ぶまれる。記録的高値は必要ないけど、今週は安定してほしいところだよね。金融危機は、経済危機に移行し、この次は失業問題を含む社会問題として世界にのしかかって来ます。
為替も株価も原油価格も、コンパスが狂って、まったく合理性のない過敏反応をしてますが、この現在進行形混乱がどのぐらい続くかによって、それからの不況の長さが決まってくる。楽観論者は最低2年、多くのエコノミストが5年間はつらいだろう、と言ってる。
パリの西新宿、デフォンスに出来上がりつつある建物の価格が1/3に下がったが、買い手が見つからないという記事を読みました。アーチのすぐ横に建設予定のジョン・ヌーヴェル設計の巨大ビル:住居と商店およびオフィスが共存する都市型タワー・プロジェクトも凍結されたという話も聞いた。両方ともファイナンスにリーマンが介入してたようだ。
昨日ちらっと見たTV討論番組Ce soir ou jamais では、デニス・ホッパーとマチュー・カソヴィッツ、それから米国で仕事している仏映画人、パリにすんでいる米シナリオ・ライターたちが、ハリウッドへの巨額投資がなくなれば、銀行によるシナリオ介入も限定され、配給ルートももっと開放され、インディペンデント映画も再び活動可能になるし、自由に映画が作れるようになるだろう、という話をしていた。ふーむ。
アンチ・ブッシュが評価されたんだろうクルーグマン教授は、受賞が決まったあとのスピーチの中でこれからの経済展開について、Nobody knows と言ってた。本当に明日なにが起こるかは誰にもわからんのだね。ふう。
まあ、自分には借金がないのが強みといえば強み、貧乏ってのも過去に経験あるから、それなりに免疫はできている。しかしなあ。
ところで、田中ウー氏の文章もこの頃また読んでるけど、あの人、米発あるいはFTあたりの英文記事だけ参照でやってるから自己意見部分で陰謀説に流れてしまう。もったいない:権力とは案外いい加減なもんだってのが彼分かってないんだ。相変わらずのジフ・コード使いだしさ:困ったもんだ。
さて、日曜夜出かけていったアーチー・シェップのライヴ報告です。
非常に楽しかった。フリー・ジャズを期待してたんだが、これは見事にハズレ。会場のニュー・モーニングは満杯で、バーの横に陣取り立ち見でした(ビール注文にも、結果としてのトイレ通いにもOK)。
第一部の、英語しゃべりのトランペッターとポーランド・ジャズプレイヤーの入った小型ビッグ・バンドの演奏は、とてもコンセルバトワール(仏国立音楽学院)風で折り目正しいが、しばし退屈。それでも折り目正しい仏人聴衆は折り目正しく聞いてた。アタクシは、隣にいたチェット・ベイカー風に帽子をかぶった同世代フレンチおじさんと、互いのジャズ暦のはなしで勝手に盛り上がっていた。
第一部が終わり、場外でタバコすいながら、まわりの人間と話してたら、このJVCジャス・フェス・パリスタッフのにいちゃんが、今日の入りは451人。でもまったく金にならんとぼやいていた。
で、今夜のオヤビン、アーチー・シェップとピアノ、ベース、ドラムのクワルテット登場。展開は、アーチーのサックス先導で、まずはニュー・オーリンズ風味クール・ジャズのクラシック、途中前座で出てたトランペッターも参加。
んで、なんと、アーチーが歌い始めたのだよ:ブルースである。ブルース・ブラザースみたいじゃん。いや、もっと泥臭い。ニュー・オーリンズ真性ブルーズだ。あああああ。
スローな曲では、ビリー・ホリデイが横で歌っててもおかしくないかもと、思ったら、それからフリー・ジャズに突入する前のマイルスで言えばキリマンジャロの雪あたりのノリで、オヤビン、よれよれとソプラノサックスを取り出し、ありゃ、こりゃ伝説のビレッジ・バンガード・アゲインのマイ・フェイヴァレットのコルトレーンに二ア・ミスじゃん、って感じで飛ばす・飛ばす:オイラ・ゴキゲン。となりのおじさんも大ゴキゲン。アーチーの展開は、ジャズ・ルーツをたどっていたのだった。
残念なのは、古老アーチーが南部の奴隷ブルーズを歌って「Revolution !」と叫んでも、あくまでアカデミックなここの聴衆は答えないこと。まあ、さすがのアタクシもレ・ヴォ・ルーーションと反応するド根性はないので、イエイ!でごまかす(まあ、革命への道は長いのだよ)。
演奏が終わり、再び入り口近くの路上でタバコをふかしながら、チェット・ベイカー風おじと、一緒に来てた息子だという24歳の青年に挨拶したら、息子のほうも、ああ、よかったねえ、と笑っていた。
ラウンド・アバウト・ミッドナイトのパリ、季節外れの夏の夜に、月が出ていたよ。
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今夜のおまけ、アーチシェップのこんな感じヴィデオでがす。
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