17日間の南仏生活に、本は何冊かもって行ったのだが(レヴィ・ストロースの悲しい熱帯、ガルシア・マルケス100年の孤独、ピンチョンのV.、ジル・カペル先生の新刊、以上仏語版)、やはり合計で10ページぐらいしか進まなかった。
ル・モンドとかクーリエとかオプスを律儀に買って読んでいたのは最初の一週間だけ。日差しと海の風とパスティスでカミユ的に洗いざらしになった脳みそに、若い友人たちのアホな与太話と浜の古い友人たちのもう何回も聞いたはずのムカシ話が、浜辺の穏やかな波のようにヒタヒタ響く。
*
南仏ロンリー・ハーツ・クラブ・キャンプ2008参加者(16歳から19歳のバカロレアを終えたばかりのクラスメートたち)のうちの2人が、午後居間で本を読んでいた。紅茶を飲みながらマット・シュップ(バカロレアの数学で19点を取った)はアシモフ、アドリアン=ドント・ディスターブ・ジ・エンジェル・イズ・スリーピング(かわいいのだ、おまけによく寝る)はスター・ウォーズ小説版を読んでいる。2人はたがいに、それぞれの小説の解説を始めるんだが、それがだんだんアシモフvsスター・ウォーズの戦いに展開。惑星や宇宙船の構造から、小説の展開法にまでおよんで、2人ともこっちのほうがスゴイと言い張るわけだが、最後は各人が紅茶を飲みながらかじっていたビスケットの残りの数までバトルフィールドに持ち出して(マット=1、アドリアン=1.5)、結局スター・ウォーズ・アドリアンの勝利におわったのだった。
ついでだから、タオルの闘いのはなしも。
若い隊員たち、夜はたいがい米国TVシリーズのDVD(チューダー)とかオバカなTV番組を遅くまで見ていて、毎朝8時起床の隊長は勝手に12時ごろ就寝していた。ある夜、バシッ・バシッという奇妙な音で目が覚めた。アパートの奥にある昔風にやたら広いサル・ド・バン(風呂場)に行ってみると、夜中の2時に、上半身裸のマットとアドリアンが長さ50cmほどのハンド・タオルを使って(鞭とか縄みたいにして相手を打つ)対決中。アホかおまいら。
*
まあ、ほかにもアホ話はつきない。たとえば「ブイトーニ、だ・だ・だ・だ・だ!(自動小銃を撃つジャスチャーをともなう)」と、なにがなんだか分からなくなると全員一緒に叫ぶとか、一日にアイスクリームを3つ食べる話とか、アリスト・トト(苗字にdeがふたつも持ついてる17歳)が隊長をを馬鹿にしまくってもう少しで強制送還になるとこだったとか、「ブイトーニ、だだだだだ」の仕掛け人歴史とビートルズ・オタクのJF(ジェフ;スナフキンに似ている赤毛青年16歳)は「ぼくには無駄な筋肉は1グラムもない」という名言を残したとか、ちょっとだけ太めでおもいっきり恥ずかしがりやブロンド男ヴァンソン(ラグビー・マン)が実は一番髪型と服と靴と海パンとサングラスに気を使ってるとか、、、はははは。よく笑った。
**
というわけで、文化生活を語るはずが、いかにわれわれのヴァカンスは非文化的に文化的なのかの話になってしまいました。
本来したかった美術展とか映画の話は、またこんど。
これぞバカンス!という感じのバカンスですね~。
(でも隊長はタイヘン。)←よく笑ったからいっか。(笑)
読んでる本から互いに討論になって、しかも幅広く(!)、それでも最後はビスケットの数で勝負が決まるという、なんとも議論好きな、でもおおらかなフランス人ですね~。(しかしバカロレアの数学19点とはすごい!!)
投稿情報: ねむりぐま | 2008-08-05 21:39
どもどーも。
隊員はそれぞれの休暇地とか、パリからのトランジットの途中にキャンプ参加だったので、全員集合は5日間ぐらい。つまり極度に騒がしかったのも5日間だけでした。
おまけに今年7月の南仏は気温がさほど上がらず、市場への買出しも楽だったし、夜もよく眠れたんですよね。蚊も出なかったし。
まあ、“遊びをせんとや生まれけん”のガキドモで、なんとも能天気。ま、あたりまえと言えばあたりまえか。おまけに男ばっかだったから、身も蓋もなし。
なお、数学19点のマット・シュップ:仏語筆記は7点。哲学は9点だそうで、天は二物を(普通のヒトには)与えないわけだね。ご安心あれ(??ちゃう?)
投稿情報: 猫屋 | 2008-08-06 00:21