ブウナ・トラオレとジェッド・ベナがクリシ・ス・ボワの変電所で感電死したのは、ちょうど2年前の秋、10月27日だった。2年後仏国大統領となるニコラ・サルコジは当時内務相で、すでにあの“ラカイユおよび、カルシェール(放水掃除機)”発言で郊外ゲットーの若い衆を挑発した直後の事件だった。事件発生直後、当時の内務相は“警察による追跡の事実はない”、“変電所に逃げ込んだ未成年たちは盗難未遂の疑いがある”と発言していた。
2年がたった。バンリュウでは何も変わっていない。
サルコジ内務相の抑圧的内政は、サルコジ大統領下、法務相ダティの法的裏づけをうけ、年間強制海外退去不法移民目標25000人を目指す、「国家アイデンティティと移民省」と、“ルペンが夢見、サルコが実現する”フランス警察国家への変貌を遂げようとしている。現在の警察をコントロールするはずのアイユ-マリ内務相(現フィヨン内閣ではただ一人残ったシラク派)は、クリアストリーム・スキャンダルへの関与疑惑問題があり、現在は沈黙を守ったままだ。
昨夜おそく、トッドのインタビューを訳し終わってからウェブを回った時、あるブロガーが郊外で起こった2人の少年の事故死に関して短いエントリーをアップしていた。そのとき読んだ情報は、サンドニの北にあるヴィリエ・ル・ベル(Villiers-le-Bel)で、日曜の夕方5時頃ヘルメットをつけずミニバイクに二人乗りしていた15歳と16歳の少年が、信号のない十字路で、サイレンは鳴らさず走っていたパトカーの横部に激突、死亡したというものだった。
だが、写真を見ると、事故後のバイクは無傷で、反対にパトカーの前面が激しく破損している。そのブロガーは、警察の発表とバイク・パトカーの破損状態がかみ合わない、ヘンだと書いていた。
事故直後、救急隊の到着が遅れ(どのぐらいの時間かは不明)、事故状況に関するさまざまな噂が流れ、警察当局の発表によれば、30分後には50人から200人の群集が事故現場にあつまり、すっかり暗くなった7時近くに、車・商店などの破壊延焼行為にいたった。。。
騒ぎは周辺の市にもおよび、結局焼かれた車は36台、自動車販売店などが延焼したそうだ。なお、現場におもむいたTVジャーナリストが負傷したり、そのカメラが盗難されたようだ。
30日に後記:事故後早々警察は、集まった周囲の若者が鉄棒でパトカー前部を破損したと発表した。事故数分後とられたアマチュア・ヴィデオでは、警察発表とは異なり、警官たちはエマージェンシー部隊が少年の心臓マッサージやってきた時点で退去、周囲の人々は現場検証まで、証拠のパトカーがそのままであるであるよう現場を取り囲んでいる光景が見られる。なお、二輪車は当初言われたミニバイクではなくモトクロス。なお死んだ二人の少年はそれぞれの両親の国、セネガルとモロッコに埋葬される。
クリップ;
Que sait-on de l'accident et des émeutes de Villiers-le-Bel?(フリーペーパ20minutes:ヴィリエ・ル・ベルの事故と騒動の何が分かっているか?)
Villiers-le-Bel: deuxième nuit de heurts avec la police (ウェブ・ニュースサイトrue89:ヴィリエ・ル・ベル、警察との対決二度目の夜)
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実際の事故の様子はわからない。わかっているのは、2年前からバンリュウ対策はほとんど何も行われていないことと、当時の内務相が共和国大統領になったこと。そして新聞・TV大手メディアの報道姿勢が根本的に変わったことだ。
社会運動として、公務員・鉄道員・ワーキングプアの住居問題が話題になったとしても、もっと生活がさらに厳しいはずのホームレス・失業者・バンリュウの若者については誰も語ろうとしない。
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K夫人、今のところはこれ以上書けないんですよ。でも電話連絡感謝しまつ。← 自己解説:最低無料TV(セルヴィス・ミニマム)しかない猫屋亭ではケーブルTV、TNT見れないわけで、結果TVニュースは一切見てないし、ル・モンドもリベも、ウェブ版のヘッドライン流し読みぐらいしかしなくなった(それで時々、K夫人が電話でマニュエル・ニュース・アラートしてくれてます)。
この頃のニュース源は、いくつかのブログと、フリー・ペパーの20minutes。ウェブ・ニュースはrue89と20minutesを使ってる。TNTのBFMtvはウェブキャスティングもしてるから時々目を通す。カナル・プリュス系のi tele も悪くないようだけどウェブでの配信は不安定なのが残念。あとアタクシ読んでおりませんがフリー・ペーパのメトロもこの頃悪くない模様です。
駅でアルバイターが配ってるマタンなんとかと、なんとかソワールは、あのサルコご滞在豪華ヨットとアンケート会社CSAのボロレが持ち主なんで近寄らないほうがいい。
以前は食事を用意しながら流してたラジオのフランス・アンフォもこの頃あんまりアッフォなんで聞かなくなった。クラシック音楽系fm系のニュース・フラッシュだけで普通人は困らない。経済・ハイテク系ニュースが多いのはBFM。お笑いと音楽系ラジオはRire et Chansons。普段はなんか滅入っちゃう化石的インテリ話が多いんだけど、昔の大物作家・哲学者の録音を流したり、毛色の変わった特集(たとえばジャニスとジム・モリソンの話とか、フランス鉄道ストを米国左派のおじさんがフランス語で語ったり、、とか)時々珠玉が混ざってるのがFrance Culture(でもあのエモーショナル・ファッショ、フィンケルクルートがクロニック番組持ってるからそれは避けたほうがいいかも)。
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本来は今夜メモだけでもまとめたかった、TVだけでは分からないこの頃のフランス動向、それと84歳にして“生粋の左派”であるダニエル・ミッテランについてのエントリーは、次の機会に叩きます。
後記:翌日、一部訂正および加筆いたしました。
次号、特集 楽しみにしてまっせ!
このごろの、経済不安が郊外の人たちの不満をたかまらせるのか、いなか、、、。
普通に稼いでた人だって、困ってるんだからそれより少し下の収入でがんばって来た人たちには、やりきれないと思う。
なんで、こうなって政府は何もコメントしないんだろう?
投稿情報: k | 2007-11-27 08:40