アタクシはマット大門君(マット・デイモン)のファンなんでありますが、このシリーズは「なんだ流行のアクション映画じゃん」ということで、第一(The Bourne Identity)、第二作(The Bourne Supremacy)は見ていなかった。
だいたい、しばらく映画館にも行ってなかったんですが、なぜかストレス溜ってる秋の今日この頃、昼前のチケット安い上映(レ・アールにて5.5ユーロ、800円ぐらい)を狙って、土曜に見てきました。
The BOURNE ULTIMATUM / ボーン・アルティメイタム←オフィシャルサイトのトレーラー、よくできてますのでご参照あれ。なお、フランスでのタイトルは、La Vengeance dans la peau(これは訳しようがないなあ、、リベンチ・イン・ザ・スキンですが)。
いや、面白かったです。
監督は第二作を作ったのと同じ、英国生まれで元ジャーナリストという、ポール・グリーングラス(Paul Greengrass)です。“ユナイテッド93”をとったのもこの人。
本来アクションよりもストーリー展開とかサスペンスの持ってき方(おんなじか、)に興味あるんですが、この映画では、同じ大門君の出てきたシリアナのパズル式とは違って、ストーリ展開自体は案外単純、でも話が進んでくスピードとカメラの回し方が普通じゃない。
ハンディ・カムの多用と、リアルなデコ;ロンドンのワーテルロー駅やガーディアン紙オフィス、マドリッドのアトーチャ駅(テロのあったところ)、モロッコはタンジェの迷路のような市場や家屋内・屋上など、またパリや、もちろん(はちゃめちゃカーチェイスのある)ニューヨークも舞台となります。
CIA 殺人機械プロトタイプとして“再教育”されたエージェント、ジェイソン・ボーンが、プロジェクト失敗の後、記憶喪失状態のまま、当局から次々と送られるプロトタイプ端末抹消担当(殺人)者たちを次々と倒し、同時にプロジェクトの真相(=自己アイデンティティ)を暴こうと、だんだんCIA中枢に近づいてく、といのがストーリーです。
ここでのマット君不死身ぶりは、ゴルゴ13を彷彿とさせる。絶対死なない lol
タンジェのチェイス;ベルリンでの女性同僚と2人+Desh というキラーと(どっちがどっちを追いかけてるというわけでもないんだが)のチェイスは、最後近くにマット君のwindow to windowのジャンピングガラス窓つき技まででて来まして、よし ;)
圧巻は、エシュロン、グーグル・アース、ネット、携帯電話、バイオメトリック、それにたとえばロンドンの監視カメラなど、情報管理網によって閉じられた(きわめて狭くなってしまった)世界システムに、“過去を失った男”ボーンが、“直感”と“格闘能力” を-- とはいえ、それらはCIAによって叩き込まれた能力なんですけれども -- とにかく、目いっぱい行使し対抗する、という図式自体です。
たとえば、英ガーディアン紙の一記者が、ボーンの動きに興味を持って記事を書く。同じ“事実”を知りたいボーンは、このサイモン・ロス記者(Paddy Considine)にコンタクトを取り、ワーテルロー駅で落ち合うことになるんだけれでも、、、という流れはまことにスリリングで、スパイ・アクションには本来関係ない新聞記者さんを巻き込んだ実際の駅構内の“雑踏”のなかで行われるシステム(+キラー)と2個人のチェイスは、ハンディ・カメラの多用もあって、リアリズムの新パターンを形作ってる。
大門君の健闘は言うに及ばず、脇役の好演がストーリーの流れを強固してるね。ま、最後のオチというか、ボーンが見出した“真実”というのが、ちと弱い気もするが、それは大きな問題ではない。重要なのは、いかにして“真実”が隠され、いかにしてその隠されたものを探し出すのか、ということではないか。
なお、CIA幹部の一人である、パメラ(Joan Allen)、そして元同僚のニキィ(Julia Stiles)が、組織上部の意志に反してボーンを助けるんだけれども、父権的バリューに凝り固まったマッチョ・イエスマン・ヒエラルキーのなかで、“事実”を探し出す決意・活動を見せるのが女性陣営だってのは、なかなか信憑性があって、いい。
結論:“アイデンティティ”を失わされたヒトは、パラノイア化した情報システムと、いったいどうやって戦うのか、というアクション映画です。みなさん、体を鍛えましょう。
なお、フランスでは今夜(23日日曜)、TF1 がこのシリーズ第二作、La Mort dans la peau(The Bourne Supremacy 2004年)を放映します。見なくちゃね。
なお、カンヌ映画祭ではこの映画の続きはない、と言ってたマット・デイモン、ドーヴィル米映画祭では、もし監督がグリーン・グラスならシリーズ続編に出てもいいっ、て発言していたようです。話は本作の15年後だって、、ふふ、期待しちゃいます。
> London Waterloo
あら、うちの近所じゃないですか ^_^
あそこ、ホントに混んでますからねえ。
アクションものは最近見ないのですが、ガーディアンの記者さんとか、関心を引かれる要素がいろいろと。
投稿情報: ぴこりん | 2007-09-23 21:10
おお、あの駅アタクシは行ったことないんだけど、駅上階にある広告パネルが変わる瞬間に、縦パネルの隙間からスナイパーがガーディアンの記者さんを射殺、、という、、ありゃ、ネタバレしてもうたっすが。
投稿情報: 猫屋 | 2007-09-24 00:14