今週のヌーベル・オプス別冊、パリ・オプス(ParisObs)から。ここで新テク・デジタル版が読めるし、写真も拡大できます。必見。
長い間、フランス史のブラックホールのひとつと考えられていたフシのあるパリ・コミューン(1871年、ウィキ仏版とウィキ日版)。フランス語ではラ・コミューン・ド・パリになりますが当時の薬屋さん店主イポリット・ブロンシャール/Hippolyte Blanchard (薬屋はボナパルト通りにあった、6区ですね。写真は余暇だった)の撮ったパリ・コミューン写真銀板が、パリ市歴史図書館(BHVP)地下倉庫で最近見つかったわけ。その未公開ものを含めたブロンシャール写真150枚を中心に「コミューン、いちパリ市民の視点」というタイトルで公開されてます。
もちろん、パリ・コミューンの写真は他にもありますが、この薬屋さん写真の特徴は、彼が単なる好事家、つまりアマチュアであって権力から遠い位置にいたことだ。ジャーナリズムとも無関係に、パリに住む人間としての興味からこれらの写真を撮っているんですね。
公式写真が現場検証的スタティックな画像なのに、コミュナール(蜂起側)を含めた実際の人物が一緒に写っていたりする。実際、当時の写真は露出させるのに時間がかかったはずなんですが、破壊されたパリ市庁舎を背景に乳母と子供とかも写ってるし、コミュナールたちの写真も無名だったり名ありだったり、当時の立ち上がる庶民の姿が浮かび上がってきます。
Regard d’un Parisien sur la Commune; Photos inédites de la Bibliothèque historique de la ville de Paris. 230 photos, dont 150 d’Hippolyte Blancard, présentées par Jean Baronnet. 09/11/2006 - 04/02/2007 22, rue Malher (4 e). Du mardi au dimanche de 11 h à 19 h (sauf le 11 novembre). Entrée de 2 à 4€. Livre-catalogue coédité par Paris Bibliothèques et Gallimard, 35€ .
*
今読みかけ中(今やっと中世からルネッサンスのあたり)の“アフォにもわかるフランス史”をチョンボして泥縄・先読みしてみました。
コミューンに先立つプロイセンのパリ包囲ではパリ市内から食糧が消え去り、ドブネズミから犬猫・はと・すずめ、動物園のキリン・象までパテやステーキに姿を変えたとか。。また、パリ・コミューンという世界初の社会主義政府は、短命ではあったものの、教会と国家の分離・ライシテ・教育の男女子すべてへの無料化・職業専門校、などを後世に残したんだと。
このパリ・コミューンという市民戦争はなんと、一週間で3万人の犠牲者を出している。革命時でさえ、この5倍の期間で犠牲者は五分の一だったとか。また、蜂起共和主義者サイドにいたのはヴィクトル・ユゴー、クレモンソー、ベルレーヌ、ランボー。黄金のラインアップですが、他方、エミール・ゾラは“火をつけ虐殺するものは裁判なしに銃殺刑にあたいする!”と書いてるし、フロベールは“すべてのコミュナール、すべての労働者はセーヌに投げて水死させるべし”と書簡に書いてるそうだ。ゴンクール兄弟、ルナン、ジョルジュ・サンドも当然ヴェルサイユ側サポーターだった。んー、歴史って面白いというか、凄いというか、、。
「鞍馬天狗」はパリコミューンを守らんと獅子奮迅の末に果てる予定だった、と聞いたことがあります。
すごすぎ。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2006-11-13 12:36
これは面白い。ありがとうだチュー。ああもういっぺんBHVPに行きたいなあ。毎日のように通ったのですがね。
投稿情報: ねずみ王様 | 2006-11-13 14:54
Hi-Low-Mix 氏、
ん、鞍馬天狗がコミューン?と思ってググッテみたら大仏次郎なんだね。鞍馬山はちと遠いんだが、すごいっす。コミューンのジャンヌダルク、ルイーズ・ミッシェルと言う女性もいたですよ。V・ユーゴーのグルピーだったんだが蜂起軍を率いて闘い、騒動後銃殺は免れたが、ニュー・カレドニアに流刑。でもそこでは原住民カナックの運動をサポートしてる。世界初の女性アナーキストだそうです。
ねずみ王様、
どういたしなむすてでにゃ。そうか、王様はBHVPがネグラじゃない、テーズ書き本拠だったんだ。猫屋は明日あたり行ってみようかと思うけど、いかに勉強しとらんかばれるわけだが、初めてにゃり。
投稿情報: 猫屋 | 2006-11-13 17:34
素晴らしいです。これは恥ずかしながら、最近僕も教わったのですが、大仏次郎の第三共和政期を題材にした作品は中々凄いそうです。ちょっと集めようかと思案中です。
投稿情報: chorolyn | 2006-11-14 00:15
お、ハテナ市民二番目おかくさんは王様についでチョロリン君だ。よこせう。素晴らしいのは、TVガイド目当てに買ってるヌーベロプス(月10ユーロなり)ですが、当エクスポ2月までやってんで冬休みに来たらよかよ。と博学ブログにコメントできんのでここで失礼。
投稿情報: 猫屋 | 2006-11-14 00:43
ついでに、
アノfenestrae 氏(ハテナの人)もこっちに一時帰国すりゃあいいんですよね。
投稿情報: 猫屋 | 2006-11-14 00:45