まずはル・モンドウェブから、
ゴンクール賞、ジョナサン・リテルに
近頃いろいろ批判の多い仏文学賞なんですが、ナンシー・ヒューストン(Lignes de faille )がフェミナ賞を受賞したのち、アメリカ国籍のリテル (Jonathan Littell、39歳) の文学作品第一作が、7票(他候補に3票)とって2006年ゴンクールに選ばれました。なお、同時に発表されたRENAUDOT/ルノドー賞は仏・コンゴ人Alain Mabanckou/アラン・マバンク(発音自信なし)、の Mémoires de porc-épic(ポーク・エピックの記憶)が受賞。
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リテルの本は夏休みから帰った時点でヌーヴェル・オプスの記事を読んで、9月に読み始めたんですが、なにしろ行間詰まりに詰まった900ページ、重さだけで一キロありそうな本。中身も重い重い。時々思い出しては読み続けてるんだけど、なかなか進まず。まだ200ぺージめぐらいをウロウロしています。受賞を機会に、もう一回気合を入れて再挑戦しましょう。ネブロ関連エントリー:この秋、絶対読みたい本 今読んでる本 日記、その2
また、こちらはル・モンドアーカイブからドイツの歴史家、Peter Schöttler による批判、“ショアの国のトム・リプリー”
パトリシア・ハイスミスの小説の人物トム・リプリーに比べてますね。
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“リアル”と“フィクション”の関連というのは、21世紀のテーマのひとつだと思います。それについて、いずれ(リテルの本読み終えてからだな、たぶん)書いてみるつもり。
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追記:フランスでもっとも読み手の多い文学系ブログ、La république des Livres (本の共和国)のピエール・アスーリンが今回のゴンクールとルノドー賞について書いています。仏文壇内輪話がわかる。
ニュースで見ましたー。 いや~、さすがにすごい本を読まれていますね。フランス人にも難しそうな。。 しかも900ページ。。
アカデミーフランセーズの賞も取ったのでしょうか?候補になったのかな?よく把握できませんでしたが。。 それにしてもすごいです。
書いた人もすごいです。フランスのリセを出たとはいえ、奥さまがベルギー人とは言え、今はスペイン在住でフランス語でここまで書ける。。 あー。。
投稿情報: りよんくま | 2006-11-06 21:21
何日か前、アカデミー・フランセーズの賞もとってますよ。
文章はそんなに難解じゃあないです。ドイツ名詞が時々使われてるけど、あれは慣れる。どこかで読んだけど、初稿には米語の影響が強くて、それと句読点とかかなり変えたみたいです。それよりしんどいのは、話の内容。いかに効率よく、感情を交えずに人を、それも膨大な数の人間を“処分”するか、つまり殺戮の“産業化”の、その重さが痛いのですよ。
フランス語で書いた外国人作家、案外いるんですよね。一時のナバコフやコンラッド、ベケット、イヨネスコ。ジョイスはパリにいたけどフランス語では書いてないか。。(ユダヤ家庭女性三代のディアスポラが主題)の小説でフェミナ賞のナンシー・ヒューストンはたしか米大陸の出だけれど今はパリでフランス語で書いてるし。
今からでも遅くはない。フランス語で書いてみよう(と、言ってみただけ)。
投稿情報: 猫屋 | 2006-11-07 01:01
父親がロバートリテルって聞いてびっくり。
投稿情報: | 2006-11-08 07:55
お久しぶりです。
あまりこの分野は詳しくないのですが、、、ミラン・クンデラもフランス語で書いたんでしたっけ?
フランス語を書けるようになりたいです。。。
投稿情報: Jazz_Funk | 2006-11-08 08:31
ななしさま、
アタクシはどっちかってーとSF系なんでスパイ物には明るくないんですが、そーかロバート・パパ・リテルは大物なのか。ジョナサンは子供の頃、父親の小説の題材集めとかを手伝ってた、らしい。参考:http://homepage1.nifty.com/ta/sfl/littell.htm
Jazz Funk 氏、お久しぶりです。
クンデラもチェコ語からフランス語に代えてるけど、一番いい頃の作品はチェコ語で書かれてるようです。もちろん、海外フランス語圏で仏語で書いてる作者も多いですし、必ずしも書き物でなくても、映画・絵画・音楽とフランスで創作するアーティストは多いですよね。また、デュラスやカミユのように、遠地での“フランス語”って立場もあると思うし、デリダとかもさ。
ってなわけで、フランス語はフランス人だけのもんだ、ってのはホントウじゃない。アスーリン・ブログのコメント欄でも、フランス語で書く作家はすべてフランス作家だって意見があった。がむばりませう。
投稿情報: 猫屋 | 2006-11-08 15:59