アメリカ合衆国のイスラエル援助は、メディア・レベルで扱われる機会がとても少ないわけですが、ル・モンドNY駐在記者コリン・レスヌがその個人ブログで関連本を紹介しています。
ハーバードのケネディ・スクールとシカゴ政治科学の先生2人が共著した、The Israel Lobby and U.S. Foreign Policy (イスラエル・ロビーと合衆国外交政策)、ケネディ・スクールのサイトでpdfダウン・ロードが可。またロンドンレヴュオブブックスで長い抜粋が読めます。
コリンのブログから拾ってみると、
1976年以来、イスラエルは米国の経済・軍事援助を最も多く受けている国である。国民平均収入はスペインや韓国と同レベルであるにもかかわらず、イスラエル国民一人あたり、年間500ドルの米国援助を受けている計算になる。またイスラエルは援助金の25パーセントまでを自国軍事産業に使えるが、他の被援助国は米国相手の支出をするよう義務付けられている。支出内容の報告が不要な点でもイスラエルは特別扱いを受けており、援助金は米政府が反対する西岸移民プロジェクトにも使われている。
以下結論としての英文をコピー、
"No lobby has managed to divert U.S. foreign policy as far from what the American national interest would otherwise suggest, while simultaneously convincing Americans that U.S. and Israeli interests are essentially identical."
追記:このブログ・エントリーよりかなり長い記事がル・モンド(24日付)に掲載されています。
Une étude américan critique la plitique pro-israélienne des Etats-Unis
アメリカの研究文書、合衆国のプロ・イスラエル政治を批判
ハーバード・ケネディスクールのディレクターであるステファン・ウォルト(Stephen Walt)とシカゴ大学の政治学教授ジョン・ミアシェイマー(John Mearsheimer)の共著ですね。
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なお上のイメージもコリン・レスヌのブログから。ブルー・ステイツとレッド・ステイツのUSA図変化の模様が拡大すると見える仕組です。
19日の記事、私もはらはらして読んでました。とくにコメント欄。でもコメント欄炎上とはいっても、「炎上」の質が違う。私としては本文を読んだとき、評価なしのでの紹介、ル・モンドの特派員としてはナイーヴすぎはしないかと思いました。
投稿情報: fenestrae | 2006-03-22 15:49
私はコメント欄は読んでないんで、別の意味ではらはらしました。
本紙には書けない部分を個人ブログ枠でフォローしてるという認識だったんでリンクしてみた。コメント数がやたら多いのは気がついてましたが、『やっぱりね、、』と思ったが読んでないです。
投稿情報: 猫屋 | 2006-03-22 16:14
昨日のネット版で本記事のしかも一面紹介になっていたので二度驚きました。ブログを見たとき最初はquelle mouche a piqué ? という感じだったのですが、彼女そしてル・モンド自身がシリアスな問題意識に基づいていたんだなと思い直しちゅうです。ブログで話題沸騰したから人気記事になるという発想で作られる新聞ならともかく。
投稿情報: fenestrae | 2006-03-24 10:58
(本文を読んでいない人に誤解を与える恐れがあるので付加えます)。本記事のほうは、とりあげられているレポートに対し必要な距離を置いたものになっている。これがブログでの扱いと大きく違う点。
投稿情報: fenestrae | 2006-03-24 11:03
私も本文PDFの方は読んでいません。ブログでのコメントが多かったのと、レッド・ラインを超えたコメントをル・モンド編集部のほうが削除、またコリン自身がコメント欄を凍結させたようなので、これはどうしたことやら、、と思っていました。
結局ブログの“個人的”記事からル・モンド記事への一種“格上げ”があった、というのはル・モンド編集部のブログ扱いの“姿勢”が垣間見える、というか。同時に、インピーチメントまで行きかねない米国内部政治状況からル・モンドはゴーサインだしたんだろうと思います。これも猫を猫と呼びたいル・モンドの態度かも。原文、さすがに米国では出版社が見つからないそうですから出版社さがしのアドバルーンと言えないこともない。
ケネディ・スクールですからね、おまけに。日本で訳して出したっていい(笑)。内容については漠然とは知ってましたが、アカデミックなレベルで書かれたのは初めてじゃないかな(フォーリンアフェアとかはもう読まなくなって久しいです。まあ民主党的って言えばそれまでなんだけど、NYTもヘタレてるからなあ。やはり大学が“最後の砦”なのかしらんと思う今日この頃です)。
投稿情報: 猫屋 | 2006-03-24 13:15