ドイツでの総選挙結果を待って“みっつの選挙”というタイトルで、米大統領選・フランスEU憲法批准国民投票・日本総選挙を比べてみたいと思ったが、ドイツ新政権確立に向けての各党間交渉は始まったばかり。いずれにしても連立政権ということになるのだろうが、出口は見えていない。
今のところ、シュレーダーとメルケル抜きでの SPD とCDU/CSU の連立政権の可能性が言われている。この場合、シュレーダーはメルケル連邦首相就任をあくまで拒否と言う“勲章”を得て第一線を退くことになる。この際、SPDはCDU/CSUからの首相選出を容認する条件として、メルケルの掲げていた独社会政策の大幅改革(税制など)は緩和させる意向であるようだ。
ちなみに、メルケル女史は“ハートのある鋼鉄の女”というキャンペーンを張っていたらしい。これは、サッチャーに対するヨーロッパでの評価にもいろいろあることが伺われて興味深い。ちなみに、仏国での彼女の評価は、イギリスをリーガンのアメリカに近づけ、英国鉄道・医療サービスの骨抜きをした政治家、となる。
投票率が77%を越える今回のドイツ選挙民の選択は、今後のドイツ政治・経済にとってはマイナスとなるかもしれない。けれど同時に欧州のまんなか、旧と新の際にあるドイツ、そして一国内に旧共産国を抱えるドイツと言う国の“困惑”をよくあらわしていると思う。そしてその“困惑”はヨーロッパに住むすべての人間の困惑でもあるし、広くはこの世界に住むすべての困惑ともいえるかもしれない。“社会”、“国家”しいては自分の“幸福”がなんなのか、といった選択にまつわる“困惑”なのだと思える。
SPDもCDU/CSUもともに“改革”と“失業対策”を選挙公約に挙げていた。けれど、その方法はまったく違ったふたつの論理/世界観を示していた。けれど、選挙後のアンケートを見ると国民が望んでいるのはその2大勢力の共同政権である。右にはFDP/ネオリベラル 左にはDie Linke/左の党、そして現外相フィッシャーの率いる緑の党も控えている。このあと一ヶ月近く続く交渉と国民間のディベイトによって、よりよいコアリションが現実化されるのを望むばかりだ。
注:タイトルのジャマイカンはCDU/CSU、SFP、緑の党の連合政権。色がジャマイカの旗になるのだが、現実性は少ない。ラスタにガンジャをアンジー女史に期待してはいけない。saisenreihaさんとこからもらった参考
参考記事
ルモンド《L'hypothèse d'une coalition sans Schröder ni Merkel se renforce》:シュレーダー・メルケル抜き連合の可能性強まる
《Les différents scénarios de coalition en Allemagne》:ドイツ・コアリションの複数シナリオ
クーリエ・インターナショナル《Allemagne: une coalition sans Schröder ni Merkel évoquée》:ドイツ、シュレーダー・メルケル抜きの連合が言及される
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