これはフランスに限られた事なのだろうか、それとも他の欧州国でもそうなのだろうか。あるいは世界中で、というか少なくとも経済先進国ではどこでも起こっていることなのだろうか。
フランスは明らかに変わりつつある。
グローバリゼーションに関連している。経済的にはそうだ。衣料品や雑貨の価格が目立って下がっている。日本ではもう当たり前だが、そのおなじ消費動向がフランスにもやってきた。
ショッピングがエンタテイメント化した。貧乏人・学生でも買える価格の衣服がTATI(廉価店、いまは一般店舗におされ低迷)じゃなくても、H&M やZARA で見つかる。センスだって悪くない。ギャラリー・ラファイエットやプランタン洋服売り場にはセール時以外は観光客しかいない。このごろはGAPも飽きられてきてるようだ。高いし、遊び心がない。
パリでいちばん古いデパート、サマリテンヌが閉まる。安全規定外で改装を検討、というのがオフィシャルな理由だけど、何年か前ピノ・グループが買収して名物だった地下のブリコラージュ/日曜大工売り場を閉鎖した。大型DIY店の進出で儲からなくなったんだろうが、地下の“キラメク”---本当にステキな売り場だったのだよ、ブリコなしのサマリテンヌはデパ地下なしの日本デパートみたいなもんである。存在理由がない。一階には高級ブティック(イタリア系か)を置くホテルになる、という噂がある。
メデフ/MEDEF(日本での経済連にあたる)の長に初めて女性が任命された。ロランス・パリゾ/Laurence Parisot、アンケート会社IFOPの社長。なお製造業ではなくサービス業経営者がMEDEFのヘッドにつくのも初めてだそうだ。これまでのエルネスト-アントワンヌ・セリエールが極めて古いタイプの仏企業人でアロゴン/高飛車なイメージが強かったし、候補者だったギヨーム・サルコジは大統領有力候補ニコラの兄弟というんで敬遠されたようだ。パリゾはラジオ・インタヴューで『リベラリズムと社会政策を対立概念とする発想は貧しい』と正論を言っていた。法曹界と教育界を除き、いまでも圧倒的男世界である仏経済界の体質をこの人物が変えてくれることを期待したい。単なるメディア受けを狙った人選では困るのだ。関連ル・モンド記事
パリ中のいろいろなところがキレイになった。オスマンからサンラザールに続くあたり、まだ工事は終わっていないが、おばさん娼婦の立ってたあたりもきれいになった。地下鉄14号線(無人線)沿線のビブリオテック・ナショナル/国立図書館付近や、ベルシー・ヴィラージュもどうやらパリに溶け込んできた。
パリ左岸の環状線はトラムウェイ設置工事で渋滞がひどい。でも完成したらポルト・ド・ヴェルサイユやチャイナタウンとか行きやすくなるかな?
下町だったバスティーユ付近は、今ではすっかりブルジョワ化して、夜の遊び場はどんどん北に上がってきている。また、ボボ/bobo=bourgeois bohèmつまりボヘミアン・ブルジョワ、簡単に言うと40歳前後の金持ちの娘・息子たちだがブルジョワ価値を否定でも保守、の連中が家賃の高すぎる6区14区や16区を避け、いままで庶民的と思われてた10区や11区、20区に棲み始めた。本物の庶民はパリに住み切れなくなり、郊外に退去。
10区あたりの元ジュイッシュ地区。住民平均年齢があがり、だんだん新住民に住処を譲り渡している。中国系、トルコとクルド系の街になりつつある。
観光地区とブリコラージュ・園芸、マルシェ/市場以外は日曜は営業してはいけないことになってる。例外はクリスマスとかの前でペナルティを国に払えば開店できた。でもこの例外開店がどんどん増えている。いつか、日曜開店OKになりそうな予感がする。やだな。マルシェが昼で閉まって、あとは静かなパリが私は好きである。夏の夜に、まだ陽が差してるのにブティックが全部閉まっている6区を散歩するのが私は好きである。そのうち歩きながらタバコをすって、吸殻を道端に捨てたら怒られるようになるんだろうか。
パリがパリじゃあなくなるとしても、そのころは猫屋も猫屋じゃあなくなってるかもね。
巴里も、変わってしまうんですね
旅での巴里しか知りませんが、夏の日曜の早朝の巴里なんて好きです。
オリンピック、巴里でなくてよかったです、もちろんフランス人や在仏の日本人の方々がどう考えるかは、別として東京オリンピックで根こそぎ変わってしまった、日本の悲しさを思うと、政治や経済の恩恵にあまり浴することの無い私としては、シラクさんの、EU憲法NONに続くダメージとは言え、「良いんじゃないの、所詮スポーツゲームじゃないの」と慰めてあげたい。
お休みの間、猫屋さん所によらせていただきます。
投稿情報: クノちゃん | 2005-07-07 11:18
クノさん、こんにちは。
東京の下町も変わっちゃうし、これはしょうがないですね。それでも、残るところはあるんだし、良くなる部分も多いです。
ロンドンの騒ぎがあって返事遅れました。ユーロスターに乗れば東京-大阪の感じで日帰りで行ける所です。ショック。
猫屋も来週から夏季休業に入る予定。欧州本土の年間5週間の休暇がなくなる可能性はあるのかないのか、、、。ここが問題です。
投稿情報: 猫屋 | 2005-07-07 17:51
猫屋さんも、バカンスですか。このフランス語ほど豊かに感じる響きはありませんね、もちろん貧乏人も、金持ちも関係なく、中身に差はあってもたっぷり豊かな時間が自分のものであることは、豊かさそのもの、という感じですかね?
一昨年、巴里で個展した時に、作品を買っていただいたフランス人が「これからバカンスだから、金がいるから、安くしろ」と値切られたのには、さすがの私も驚嘆しました。アートを買うのに値切る口実に、バカンスがなるのかと、多分このバカンスがフランスから消えるような事があれば、フランス文化の終わりを意味する事でしょうから、多分なくならないと思うし、バカンスの無いフランスなんて、そんな愚かな事は起こりえないでしょう。せいぜい、バカンスのためにもアンチグローバリズムで頑張りましょう。それでは、よいバカンスを!!!!!!
投稿情報: クノちゃん | 2005-07-08 09:50
あ、クノちゃん写真家さんだったかな?確か。仏人、値切りはよくやる。私もします。この間は日本陶芸家の湯のみ買って、二個目半額に値切った。だって欲しかったけど持ちがねが足りなかったんだもの。すみません。
この次こちらで個展する時にはお知らせください。バットマンのマスクでもして見に行きますよ。
でも考えてみると、ヴァカンスのバカになれる時間もアートも両方とも貴重ですよね。人間は機械にはなれません。
投稿情報: 猫屋 | 2005-07-09 00:48