70歳になったSydney Pollack がショーン・ペン、二コル・キッドマンを主演に使ったサスペンス・アクション映画。同時にNYの国連本部内で初めて撮影が行われたわけで、ある意味創設以来60年経ったあの建物も主演者のうち、と言えるだろう。
かのヒッチコックも国連を舞台に映画を撮りたかった。けれど当時は国連サイドのOKが取れなかった。今回ポラックは、事務総長コフィ・アナンに話を持ちかけて、“国連のイメージを落とさないなら”と言う条件でOKとった。ま、セサミ・ストリートに出ちゃう事務総長ですから、これは納得。
映画評を見ると意外に評判が良くない。しかし、ね式には良かった。たぶん、ポラック贔屓が評価を甘くしてるのか、あるいは最近の仏映画評論家は既に猫屋より世代がひと回りかふた回りか若い可能性もあるな。
構成はあくまで、クラシック。一つ一つのシークエンスがある意味丁重に扱われていて、早くはない。国連での同時通訳を主題に持ってきたのは、いいアイデアと思うけど、二コル・キッドマン、美人すぎ、背も高すぎ。NYの街中でヴェスパに乗った彼女を黒いメルセデスが追っかけるシーンがあるんだが、ちとトム・クルーズを思いださせるわけですね。
ショーン・ペンは渋い。おうおう、大人になったじゃん、って感じ。でもね、どーもこれはダスティン・ホフマン(あるいはハーヴェイ・カイテル)の演ずるべき役でない?通訳の役は、どーもジェーン・フォンダかメリル・ストリープがやるべきじゃない? といっても、彼らは歳取りすぎなわけだが、、、、。
結局、私はポラック・ファンなんですよ。というか60-70年代のアメリカ映画ファン。ポラックのThey shoot horses, dont they? や、アラン・J・パクラのコール・ガールとかのイメージが強すぎるんだ。
あと、ルアンダ・ホテルは見てないからなんとも比較できないけど、ポラックのアフリカでのエスニック・クレンジングの扱いはスマートと思う。
何年か前、パリで、やはり国際機関で働く白系ジンバブエ女性に会ったことがある。彼女も“自分はなんと言ってもジンバブエ人だ”と言っていた。政治不安からすべてを捨てて、両親とともに逃げてきた彼女は、居残った白系の友人男性が殺されたばかりだと言っていた。自宅で奥さんと寝ていたところを強盗に襲われた。取られたのはたったの200ドル。奥さんはブラック・ジンバブエ人で殺されなかった。あの家は鍵をかけたことがなかったそうだ。(もう10年ほど前の話)。
ポラック自身ももちろん出演している。たとえば“コーラテラル”とかに比べればスピード展開に欠けるかもしれない。でも、それを補う何かがあると思う。たぶん、それはヒューマニズムだな。きっとそうだ。
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