フランスとドイツの高校で共通の歴史教科書を使うプロジェクトが進められています。この件に関するヌーベル・オプセルバトールの2記事からその概要をお伝えします。(って、なんかメディさんのイントロみたいだな。でも、メディさんとは違って荒っぽく略訳・意訳ですが。)
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記事によると、2007年の新学期(9月)から高校の3年間、フランスとドイツの高校生は同じ教科書を使って歴史を学ぶことができるわけです。フランスとドイツの2出版社が仏-独の共通教科書を現実化する。もちろん、この仏独の歴史学者が共同で作る教科書を、実際に使うかどうかの選択は各教師の自由で、検定リスト上の別の教材を選ぶこともできます。
当プロジェクトは、2003年のエリゼ協定40周年をきっかけに始められた。エリゼ協定とは独仏両国コオペレーションの土台となったもので、この延長が欧州統合だ。選ばれた出版社はパリのナタン/Nathan とライプティッグのエルンスト・クレット/Ernst Klettで、一冊25ユーロ/約3500円の予定。出版社は販売冊数についての予想は控えているが、一年目の目的はまず一般に知られること、と言う。
当初この教科書が対象とするのは、ヨーロッパ・クラス(カリキュラム・オプションの“インターナショナル・ハイスクール”)のバイリンガル・クラス、あるいは外国のフランス高校/リセ、と語るのはフランス教育相のフランソワ・フィヨン(写真)。またフィヨン相は、共通の教科書を使用する目的について、“ヨーロッパ史について、共通なヴィジョンを持つことは決定的な一歩だ。”とベルリンでの記者会見で語っている。
教科書が扱う内容は以下の通り。
最終年(高校3年にあたる):1945年以降の近代史。
プルミエ年(2年):19世紀、第一および第二次世界大戦。
スゴンド年(1年):古代と中世、近代。
また教科書全体の3/4は共通、あとの1/4は自国の制作部となる。
コンセプト構築には2国から選ばれた8人の歴史学者が当たり直接“一冊”の教科書を共同で作り出し、出来上がったモデルを後から訳すという作業はしない。このプロジェクトの責任者であるドイツ歴史学者レイニエ・リーメンシュナイダー/Rainer Riemenschneiderは “これは、若者に他者がどう考えているのか理解させることだ。”と指摘している。
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参考にした記事
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本文に直接の関係はないが、参考:清水正義さん/ドイツ近代史研究者によるドイツ戦争責任に関する文章 異ならない悲劇 日本とドイツ
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